チャットボット導入のその前に!見える化を含めたFAQのPDCAサイクル確立を

チャットボット導入のその前に!見える化を含めたFAQのPDCAサイクル確立を

コールセンター業界のAIブーム

当社の過去ブログにおいても見て取れるが、現在、AIはコールセンター業界においてもブームとなっていると言っても過言ではない。(※1)

様々な企業でAI関連ツールの販売・サービスを提供しており、顧客はそれらを自社のニーズに合わせて導入・活用することで、生産性の向上が期待できる。

今回はその中でもチャットボットに注目し、その導入時のポイントをお伝えする。


導入ポイント(チャットボット運営≒FAQ運営)

まず結論から先にお伝えすると

  • FAQのブラッシュアップ」およびそれを実現するための「PDCAサイクルの確立
  • 上記を支える見える化」の実現(「FAQの拡充、ブラッシュアップ」、「FAQの効果測定」)

をすることが大事である。

チャットボット導入の話が何故いきなりFAQの話になるのかは以下で述べる。

当社ブログ「チャットボット、4つの型で考える活用方法~第1回~」に記載しているとおり、チャットボットには4つの型がある。

その中でも、コールセンターの現場にいる管理者やSVが抱えている、人手不足やCS(Customer Satisfaction:顧客満足度)向上、コスト削減などの課題解決に大きく貢献するのがFAQ型であり、現時点ではコールセンターのチャットボットの大半はFAQ型であると言っても過言ではない。

FAQ型のチャットボットとは、名前にFAQ型と付いているとおり、顧客からの質問に回答するものである。

チャットボットは、顧客から受けた質問内容を理解し、学習結果(データベース)の中から適切な回答を返信するという役目を担うのである。

さて、AIツールの一種であるチャットボットと聞くと、(AIと銘打っているのもあり)導入することで顧客からの問い合わせに対して勝手に(自動的に)回答してくれるような、あたかも魔法のツールのような印象をお持ちの方もいるかもしれない。しかし実際には、導入の際に質問に対する回答をチャットボットに数多く学習させる必要がある。そして、チャットボットの性能(認識率:質問の内容を理解できるか。解決率:解決に導けるか。回答率:問い合わせ学習結果ヒット率)を向上させるため、質問と回答の教師データ(FAQ学習データ)を拡充・ブラッシュアップし、効果を測りながら運用していくものである。

つまりこれは、チャットボットを顧客とのコミュニケーション窓口(チャネル)にしているだけで、チャットボットを利用しないFAQを運用していくのとなんら変わりがないと言える。

そのため、チャットボットを導入する以前にFAQの拡充、ブラッシュアップし、FAQ自体の品質を高めることが大切であり、そのFAQの品質向上のためのPDCAサイクル運用(仕組み)を組み立てておくことが必要なのである。

また、PDCAサイクル運用を行うには評価(C:Check)の部分を担う(サポートする)「見える化」の仕組みも必要と言えよう。「見える化」は軽視されがちだが、この仕組みがなければ効果的なPDCAサイクル運用は実施できない。

上記の仕組みはチャットボット導入後においても必要な仕組みであるため、効果的にチャットボット運用をするために先に確立しておくべきである。


FAQを効果的に運営

ここでチャットボット運営に大きく関わる効果的なFAQ運営方法のポイントを整理すると、FAQの品質を保つには以下の3つの視点が必要である。

  1. FAQコンテンツ
  2. PDCAサイクル
  3. 見える化の役割

各ポイントについて以下に羅列する。

1.「 FAQコンテンツ」について

<コンテンツ生成>

  • 顧客が求めている内容をコンテンツにしなければ意味がない。そのため、コールセンター(現場)に集まる顧客の生の声VOC(Voice of Customer:SNS、メール、コールセンターでの応対記録内容、通録、アンケート)を質問の回数や頻度、時期をなどを考慮した上で分類、パターン化、抽象化してFAQに落とし込む
  • 新商品や新サービスの投入時期に合わせて予め作成する予測系のFAQコンテンツに関しては、類似商品への問い合わせの過去実績を参考にすることにより、抜け漏れ防止やコンテンツ内容の充実を図る。
  • FAQの回答が意味あるものでなければならないため、どんな質問に対してどういう回答をしたら顧客が満足したかという結果を反映する。もしくは満足するかを考慮する。


<メンテナンス>

FAQを最新の情報に保つ、最適な情報にすること(チューニング)が重要である。

  • トレンドに合わせてすばやくFAQに反映するために問い合わせ傾向を可視化する。
  • PDCAサイクルを早く回す。
  • ミスや不足情報など、オペレーターからのフィードバックを反映する。


<コンテンツ参照時の利便性>

  • 自然文での検索、検索サジェスト機能を追加する。


2.「 PDCAサイクル」について

<体制作り>

  • FAQコンテンツ管理者・作成者・承認者等権限を明確にする。
  • FAQコンテンツの全体管理」、「FAQ分析とKPI確認」、「FAQ導入効果(問い合わせ削減効果の測定、解決率、CS(顧客満足度)調査)の検証」などを実施する。
  • コールセンターの現場の人を体制に組み込むか、VOCを可視化し、現場の生の情報をPDCAサイクルに反映する。

<P:計画>

  • KPIを設定する。問い合わせ件数やFAQの解決率、カバー率(質問に対する回答網羅率)、顧客満足度など。

<D:実行>

<C:評価>

<A:改善>

  • 会議体を定義し、改善活動を実施する。
  • FAQコンテンツ登録・修正対象の選定と登録・修正内容を検討する(1.「FAQコンテンツ」参照)。


3.「 見える化の役割」について

<見える化のターゲット>

<データ分析内容>

全体傾向、問い合わせ傾向、問い合わせ数、参照傾向、参照数

  • 不足コンテンツ調査、0件検索ワード調査
  • データ関連性分析、指標関連性分析
  • コンテンツ評価(スコア分析、解決率、CS調査)など

<プラスアルファ>

上記内容を更に充実させるため、

  • 形態素解析などによるテキスト分析(テキストマイニング)
  • 通話内容の自動要約、ボイスマイニング

ができると良い。


チャットボットの役割

さて、ここまでFAQ自体にフォーカスしてポイントを述べてきたが、チャットボットが担う役割(利点)について、FAQ形式で少しだけ記述してみようと思う。

Q.チャットボットとは何のためにあるか?

A.それは以下のような検索性改善のためにある。

  • 検索性を向上させる仕組み(AI)が備わっているため、同義語や送り仮名、漢字と仮名の違いなどの表記のゆれを吸収して検索ができる。
  • Webに大量のFAQを掲載すると、画面スクロール操作が大変だが、チャットボットでは大量の参照FAQデータがあってもスクロールが不要となる。
  • AIを利用していないWeb画面でのFAQ検索では検索結果(回答候補)が100件以上になってしまうなど、多く表示されがちだが、自然言語での検索により結果を絞り込むことが可能
  • 会話型での検索結果絞り込みが可能なため、コールセンターのトークスクリプトのように利用できる。(トークシナリオによっては、そのままコールセンターに電話をつなげることも可能なため、離脱率の改善やCS向上に効果がある)

また、問い合わせ内容の文面から顧客の感情を察知し、CS調査や怒っている顧客に対する対応優先順位付けなどを実施する役割を担うこともある。

まとめ

FAQのコンテンツ内容はチャットボットの頭脳となるものである。そしてFAQの運営には見える化の仕組みやコンテンツ拡充のためのPDCAのマネジメントサイクル整備などの準備が必要である。上記仕組みを揃えることにより、効果的なチャットボットの導入が可能となる。

当社では、コールセンターマネジメント経験豊富なコンサルタントやIT従事者が在籍し、PDCAマネジメントサイクル確立のためのコンサルティング、オペレーターからのフィードバック内容を反映できるFAQツールの導入、および見える化の支援等を行っている。

チャットボットの導入を検討されている方は、見える化を含めたFAQのPDCAサイクルが確立できているかを一度振り返っていただくと共に、当社サービスを活用いただくことで、効率的なコールセンター運営を実現していただきたい。

<関連サービスの詳細>

  • チャットボットソリューション「Kiten(キテン)」
    https://kiten.co/

ご興味がある方下記よりお問い合わせください。

▼チャットボットなど、AIツールに関するお問い合わせ
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▼コンサルティングサービスに関するお問い合わせ
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<出典>
※1 「月刊コールセンタージャパン2017年9月号(8月20日発売)」より。AIに対する意識アンケートの結果において、「関心があるので情報収集中」が54%、「導入検討中」が25%という回答となっている。


s_suwa執筆者紹介:

システムソリューション&サービス事業本部
マーケティングソリューション&サービス部
マネジャー 垣永 知昭(かきなが ともあき)

自社プロダクト/サービスの開発・導入支援を担当。近年はCRM導入支援からレコメンドシステム、DWH、データ分析・可視化などデータを中心とした開発プロジェクトに従事。