この記事はAmazon Connectの機能を実際に設定して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントを参照してください。
ルーティングプロファイルの着信の優先順位に前回のインバウンドコールからの経過時間を利用する
Amazon Connectのルーティングプロファイルで、着信するユーザーの優先順位に「前回のインバウンドコールからの経過時間が長いエージェントから順番に着信する」というルールを設定できるようになりました。
今までは「受け可(Available)」にしてからの経過時間が最も長いユーザーに着信する仕様(または、ユーザー個人を指定してのキューの転送)でした。この新機能を利用することで、ACW(後処理時間)が短いユーザーにばかり着信してしまう、「離席」などのステータスに変更することで「受け可」になってからの経過時間をリセットできてしまう問題点を解決できます。
設定手順
ルーティングプロファイルの「前回のインバウンドコンタクトからの時間に基づくルート」のチェックボックスをONにするだけで完了です。
動作例
この設定により、冒頭で取り上げた「ACW(後処理時間)が短いユーザーにばかり着信してしまう」という問題が解決していることを確認します。
同じルーティングプロファイルのユーザーが2名ログインしている状態を想定します。
Aさんが先にログインし、ステータスを「受け可」にします。
Bさんが次にログインし、ステータスを「受け可」にします。
この時点ではログイン後の着信が1回も無いので、入電は先に「受け可」にしたAさんに着信します。
Aさんが電話応対を終え、その後Bさんにも入電し、電話対応を終えました。
Bさんの方がACWの作業が早く終わったので、Aさんよりも早くステータスを「受け可」に戻しました。
その後、AさんもACWが終わり、ステータスを「受け可」にしました。
従来の設定では、早く「受け可」に戻したBさんに次の入電が入りますが、「前回のインバウンドコンタクトからの時間に基づくルート」をONにしているため、電話応対が先に終わったAさんに入電します。
まとめ
とにかく素早く大量のコールを捌く必要があるセンターでは従来通りの受け可にしてからの経過時間で優先着信する仕組みの方が効率的かもしれませんが、着信数にあまりに開きがあるとオペレータの正しい評価・オペレータ間での比較が困難というコンタクトセンター運営上の課題も考えられます。また、単純に公平性の観点から入電数をできるだけオペレータ間で均等にしたいという考え方もあると思います。そういったコンタクトセンターのニーズに応える新機能なので、是非活用をご検討ください。
今月のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
執筆者紹介
プロダクトエンジニアリング&サービス部