【導入事例】ニーズの多様化、システム老朽化...複数の課題をCRM刷新によって解決/大手住宅設備機器メーカー

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顧客体験価値が重視される今、「コールセンターは企業の顔」と考える企業が増えています。同時に、コールセンターに求められる役割が増えたことで、さまざまな課題が発生するようになりました。それらには「顧客ニーズの多様化」や「増え続ける問い合わせへの対応」といった対外的なものから、「システムの老朽化」「オペレーターの応対品質のバラつき」など内部的なものまで、さまざまな内容が含まれます。これら複数の課題を解決する方法のひとつとして「CRMの導入(刷新)」が挙げられます。今回は、大手住宅設備機器メーカーの事例を参考にしながら、課題解決の手掛かりを探ります。


1. ニーズの多様化、ビジネスモデルの変化~A社導入事例の背景

大手住宅関連機器メーカーA社は、キッチン・浴室・化粧室といった住宅関連設備の提供を手掛ける企業です。これら複数の製品に対する問い合わせ・相談窓口としてコールセンター(お客様相談センター)を設置しています。今回、コールセンターーを支えるシステムの一部をバーチャレクスのCRMinspirX(インスピーリ)」へと刷新しています。その背景には、以下のような業界の変化があったようです。

○多様化するニーズ

A社の属する住宅関連設備業界は、新築住宅着工数の影響を受けます。新築住宅の着工数は、今後10年以内に年間60万戸を切る可能性が示唆されており、メーカー各社には新たな生存戦略が必要とされる状況です。こうした状況の中、業界内では多様化する顧客ニーズをどれだけ満たし、評価されるかが焦点のひとつになっています。

例えば、「新築のみならずリフォームにも対応する」「キッチンをはじめとした水回りは施主の希望を詳細に採り入れる」など、これまで以上に柔軟な対応が求められるとのこと。従来よりも多様化したニーズを満たすためには、顧客からの要望をしっかりと分類・整理し、対応するためのシステムが必要になるでしょう。

○変化するビジネスモデル

A社では長年にわたり、住宅メーカーを相手方として「BtoB」の取り引きを行ってきました。しかし前述のように、施主(エンドユーザー)からの要望に対応する必要が生じており、「BtoBtoC」もしくは「BtoC」といったビジネスモデルへと変化していく可能性が高いそうです。また、ビジネスモデルが変化していく中で成長を遂げるには、エンドユーザーから寄せられた情報を蓄積・資産化する仕組みが必要だと考えていました。具体的には、資産化した情報をベースにしながらエンドユーザーに対して良質な体験を提供し「A社だからこそ買いたい」といった指名買いにつながるような仕組みを目指しているそうです。

今回、導入対象とされたお客様相談センターは、もともとエンドユーザーからの問い合わせ対応がメインであり、BtoCに近い部門でした。一方で、BtoBに属する顧客からの問い合わせも行うことがあり、さまざまな問い合わせに対して精緻かつ迅速に回答することが求められています。


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2. A社のコールセンターが抱える課題

このような背景に加え、A社では以下のように具体的な課題も認識していたとのことです。

○システムの老朽化

A社のコールセンターを支えるシステムは、すでに導入から10年が経過。オンプレミス型の旧システムはハード・ソフトともに老朽化しており、コールセンター業務に支障をきたすようになっていた。

○可用性の低下

オンプレミス型のシステムであるがゆえに障害対応や設定変更にかかる労力・コストも無視できないものだった。

○変化に対応力が乏しい

老朽化したシステムでは、今後求められる多様なニーズに対応できるだけの機能がないことも課題だった。多様化するニーズやビジネスモデルの変化など、新しい要件に対応するため、「今後10年は使い続けられるシステムが欲しい」というのがA社の要望のひとつだった。


3. CRM刷新によって現れた効果、今後の展望

これら業界特有の背景や課題を受け、A社ではコールセンターの一部を担っていたCRMの刷新を決定します。選定したシステムはバーチャレクスのCRMパッケージ「inspirX(インスピーリ)」です。

inspirX(インスピーリ)」は、コールセンター運営者でもあるバーチャレクスが、実際にシステムを使う人の視点で開発したクラウド型CRMです。マルチチャネルや情報共有、可視化など、顧客接点における履歴管理・情報蓄積・共有・活用を後押しする機能を備えています。

A社においては、inspirXへの移行後に以下のような効果が確認されました。

○応対品質、履歴入力の精度改善

A社では、旧システム運用時から、コールセンターで取得した問い合わせ内容を蓄積し、テキストマイニングによる分析を行っていました。分析結果は各事業部に共有し、製品ごとに問い合わせ内容の数や傾向を周知して、問い合わせへの回答や製品開発などに活かす試みも実施していたとのこと。

しかし、旧システムでは問い合わせ履歴入力の精度が低く、データ分析やその後の利活用が十分とは言えない状況でした。

inspirXへの移行後は、豊富な入力支援機能やわかりやすいUIによって顧客対応の品質が上がり、それに伴って履歴情報入力の精度についても改善が確認されました。対応履歴が精緻化されたことでデータ分析や可視化が進み、業務運営における傾向や対策を把握しやすくなったそうです。

○使い勝手の良さが現場から高評価を得る

また、実際にコールセンターで業務にあたるスタッフからも、使いやすいとの評価を得られています。わかりやすいUIに加え、外部システム連携を含めて「何でもひととおり実現できる」点が高評価につながっているようです。

○業務品質が改善

一般的にIT製品の導入では「生産性」と「業務品質」の2つが評価軸になる傾向にあります。このうち、A社ではコールセンター業務全体で品質の向上を体感できているとのことです。

○他サイトへ適用も視野に

A社では、将来的にinspirXECサイトや会員サイトの相談窓口へ適用し、継続的に顧客満足度を高めていきたいとのことでした。顧客情報を扱う複数のサイトを連携・統合することで、更なる顧客体験価値の向上が期待できるでしょう。


● inspirXを組み込んだA社のお客様相談センターシステムイメージ


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4. CRM刷新時の選定ポイント

A社にバーチャレクスのCRMinspirX(インスピーリ)」を選定した理由をお聞きしたところ、以下4つを挙げていただきました。

○コールセンター専業企業としての強み

要望や要件を理解する速度・深さともに優れていることや、開発実績が豊富であることなど、コールセンター専業企業としての強みを評価いただきました。

○使い勝手の良さ

UIや外部システム連携など、わかりやすく柔軟なシステムも評価ポイントとして挙げていただきました。

○開発体制の充実

他社に比べて開発体制についての提案が厚く、プロジェクトを進めていく上での不安が払しょくされたことも選定理由のひとつとのことです。

○コストパフォーマンス

機能面とコストを比較した場合、他社に比べてコストパフォーマンスに優れているとの評価をいただきました。


5.まとめ

今回は、中長期的な業界の変化を見据えたCRM刷新の事例を紹介しました。今回の事例で紹介したシステムは、202110月の本番稼働以来、大きな障害もなく稼働し続けています。また、本番稼働時に追加しきれなかった機能についても開発を進めており、システムをアップデートし続けています。バーチャレクスでは、コールセンター専業企業としての強みを活かし、引き続きA社の顧客体験向上に寄与する機能を提供していきます。

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