結局今どき生成AIとAmazon Connectで無人対応どこまでできるの? ~インバウンドコール編~

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AI技術の急速な進化と共に、インバウンドコールの対応も急速に進化しています。生成AIとAmazon Connectを組み合わせることで、無人対応の領域はどこまで広げられるのでしょうか?今回は、コールの入口からオペレータにつながるまで、さらにオペレータが対応を行う中での生成AIの活用について詳しく見ていきます。

アウトバウンドコール編はこちら
https://solution.virtualex.co.jp/2024/08/ai-amazon-connect.html

1. 電話を掛けて、オペレータにつながる前

コールリーズンの特定

お客様が電話をかけた際、オペレータにつながる前に、まずは自動応答システム(IVR)で用件を確認します。音声認識技術を活用し、お客様の発話内容を解析、その後に生成AIによりコールリーズンを特定します。

ここでポイントとなるのが、生成AIに渡すプロンプトの作り方です。プロンプトを適切に設定することで、コールリーズンの特定をより高い精度で行うことができます。これにより、IVR上での対応を正確に分岐させたり、電話がつながる前にコールリーズンをオペレータに伝達できます。

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お客様の発話からコールリーズンを特定するイメージ図

質問への自由回答

お客様が発した質問に対して、生成AIやナレッジベース(プロンプト内またはRAGなど)を活用し、適切な回答を自動生成します。これを音声合成でお客様に返答します。

ただし、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の運用にはまだ一定のハードルがあります。特に実用レベルの精度を担保するのはまだ難しいようです。コールリーズンがある程度特定できている場合は、回答の精度をさらに向上させることが可能です。

定型手続きの対応

リピート注文や定型的な問い合わせは、生成AIを使わずとも対応可能な範囲は広いですが、生成AIを活用することで、柔軟にお客様のさまざまな発話パターンに対応できます。AIによる「ゆらぎ」の吸収は、これまでのシステムでは実現しづらかったものです。

2. オペレータに電話がつながったあと

音声認識によるFAQ検索、リコメンド

オペレータが対応中の会話内容から、FAQを自動的に検索し、適切なFAQをオペレータにリコメンドする機能が実現可能です。FAQの検索精度を向上させるためにRAGの導入が考えられますが、RAGの運用には難しさが伴います。

Amazon Connectでは、現在Amazon Qの日本語対応がされていないため、現時点ではこの機能は利用できません。しかし、AWSの他のサービスを組み合わせることで、同様のソリューションは実現可能です。

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音声認識によるFAQ検索のイメージ図

オペレータによる手動FAQ検索

FAQ検索機能をオペレータが手動で活用する場面もあります。単純な文字列検索ではなく、条件を複数組み合わせた検索方法が求められます。例えば、「特定カテゴリの最新半年分を対象に、この文字列で検索」といった具合です。このような詳細な検索機能を実現するために、RAGとの組み合わせも有効でしょう。

要約機能によるACW(後処理業務)短縮

お客様との会話を音声認識し、要約を自動生成する技術はすでに実用化されています。これにより、オペレータの後処理業務(ACW)が大幅に短縮される可能性があります。現時点では、Amazon Connectでの要約は日本語に未対応ですが、Bedrockなど他の技術との組み合わせで同様の対応が可能です。

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お客様との会話内容の要約のイメージ図

インバウンドコールの自動化について理解が深まったでしょうか。

これからもAmazon Connectを中心にコールセンター関連の情報を発信してまいります。


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