RPAツール導入で慢性的な人材不足の解消と全社的効率性の最大化

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2017120800_tobira.jpg最近はどの業界でも人手不足や採用難が問題になっており、これは今後ますます顕著になっていくことでしょう。なぜなら、高齢化が進む日本では、生産年齢人口(15歳から64歳まで人口)が激減する予測となっているからです。

直近の2017年では生産年齢人口が75,782千人なのに対し、3年後の2020年には74,058千人となり、約170万人もの減少が見込まれています(※1)。

一方、労働力の確保が難しくなったことで賃金が上昇し、ビジネスの足かせになっているという現状もあります。例えば、コールセンター案件の時給(全国平均)は、昨年比で1,214円から1,243円と約30円の上昇です。

また、コールセンターが数多く存在している地域では、約50円の上昇も確認できています。ちなみに、これらはいずれも採用時の時給ですから、純粋に賃金のベースが底上げされていると考えて良いでしょう。(※2)

今後は生産年齢人口の減少がさらに進むことは明白で、人手不足の解消が進むとは考えにくい状況です。したがって、採用活動や時給の底上げだけでなく、労働力に関する考え方をドラスティックに変え、様々な解決策を模索していく必要があります。


そのひとつが「RPA」「ChatBot」「AI」といった先進技術の活用です。

これらはいずれも「人間の仕事を奪うもの」として語られることが多いですが、実際には「低コストかつ確保が容易な労働力」として人間社会に浸透していくでしょう。つまり、「不足している人員を補う仕組み」として捉えるべきなのです。

そこで今回は、人間の代替となる新しい労働力についてご紹介します。

1.RPA、Bots、AIの違いは?

人間の代替となる新しい労働力として「RPA(Robotic Process Automation:ロボティックプロセスオートメーション))」、「Bots(Chatbot)」、「AI(人工知能)」が注目されています。この3つは「人間の代わりに作業を行う」という点で共通しているものの、明確な違いがあるのです。そこでまず「RPA」「Bots」「AI」の特徴を簡単に解説します。

RPA

・人間が行うデスクトップ画面上の操作を、ルールに基づいて自動的に再現する技術(ロボティックプロセスオートメーション)

・各システムで操作が閉じることなく、ウィンドウをまたいでコピー、貼り付け、システム間のデータ交換が可能

・企業の内側(バックオフィスなど)で発生する業務を自動化・効率化

Bots

・人間の会話や行動をシミュレートするコンピュータプログラム(チャットボット)の略称

・対人間のコミュニケーションを想定したチャットボットだけではなく、チャットボット同士が互いに通信できるアプリケーションも存在

・主に顧客接点領域の自動化

AI

・大規模なデータセットを利用して「感知」「理解」「行動」「学習」が可能となるアルゴリズム

・AI技術は、従来のコンピュータでは分析しにくかったデータ(コンピュータビジョンや写真/ビデオなど)を組み合わせ、分析結果を提供

・人間よりも効率的なタスク実行と自己学習機能

・データ解析や未来予測、経営判断のサポートなど「分析や思考」の効率化



この3つの中で労働力の代替として特に注目されているのが「RPA」です。

RPAは、これまで人間がPCに向かって、キーボードやマウスを使って行ってきた定型作業を、コンピュータにインストールしたソフトウェア(ロボット)に記憶、代行させることが可能です。


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さらにRPAが革新的なのは、プログラミングを不要にし、現場のオフィスワーカーが「やって見せる」ことで事務処理を記録し、再現できることです。

例えば、担当者の伝票情報入力業務をトレースして記録し、そのまま再現できます。

従来であれば、業務効率化を目的としたITシステムの構築には、IT部門からユーザー部門へのヒアリング、業務フローの洗い出し、要件定義、設計とプログラミングといったフェーズが必要でしたが、RPAでは、こういったフェーズを省略しつつ、実際の処理を現場で自動化できます

このように導入から運用にかかるコストが低く、人間の雑務を容易に代替できる点がRPAの強みといえるでしょう。


RPAの活用例

以下のように各部門においてPRAによる自動化対応が可能となります。

(業務領域別活用例)

・財務、会計、経理部業務の効率化:請求処理や財務レポート作成の自動化
・人事、労務部業務の効率化:従業員情報の登録・更新業務の自動化
・情報システム部業務の効率化:ソフトウェアインストール・更新業務の自動化
・営業部業務の効率化:営業訪問日程や取引先情報の登録・更新業務の自動化 等


(コールセンター領域別活用例)

・メールなど非音声データの判断・入力・加工・転記業務の自動化
・コールレポート作成業務の自動化
・ホットボイス抽出・加工業務の自動化 等


2.RPAソリューションの分類と活用例

RPAには、「サーバー型RPA」と「デスクトップ型RPA」という2つのソリューションがあります。


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※ROI:Return On Investment(投資利益率)
※BPM:Business Process Management(ビジネスプロセス管理)


●サーバー型RPAの特徴

サーバー型RPAは、サーバーに多数のロボットをインストールし、集中管理可能なエンタープライズモデルを構築するソリューションです。

業務プロセス全体を自動化できる上、企業間やサービス間の連携も可能という特徴を持っています。
大量データの取扱いを得意とし、セキュリティや可用性、冗長性が高いことが強みといえるでしょう。

●デスクトップ型RPAの特徴

一方、デスクトップ型RPAは、サーバー型RPAよりも個別領域で活躍するソリューションです。
例えば、デスクトップPC一台ごとにロボットをインストールし、デスクトップ内のアプリケーションを自動化する、といった方法が考えられます。

バックオフィスなどで現場担当者の雑務を自動化し、業務効率化に役立つでしょう。
デスクトップ型RPAは、サーバー型RPAに比べると導入が容易で、初期投資も小さい傾向にあります。

このようにRPAソリューションは、用途や状況に応じた使い分けが可能です。


3.RPAの導入検討にあたって

では実際にRPAソリューションの導入には、どういった点に配慮すべきなのでしょうか。RPAソリューションの導入を成功させるには、次の3点が重要といえます。

●BPR(=業務の棚卸、再構築)の実施

RPAというロボットが、全ての問題を解決してくれるわけではありません。
RPAの導入に当たっては、過剰な期待や丸投げ意識を捨て、「業務プロセス改革の一環」という意識が必要となります。
まずは、手作業の業務や改善したい業務の棚卸を実施していきましょう。


●現場で使いやすいソリューションかの見極め

全てのRPAが、「1回セットすれば、あとは自動で動いてくれる」ものではありません
適切に運用するためには、幾度かのトライ&エラーが必要になることがあります。
そのため、ITに対する専門知識がない現場担当者でも、直感的に操作できるソリューションを選択していきましょう。


●全社的な取り組みとして展開する

RPAの導入にあたっては出来るだけ「聖域」を排除し、全社的な取り組みとしての意識付けることが重要です。例えどんなに複雑かつイレギュラーな業務が多い部門であっても、どこかに効率化のポイントはあるはずです。

また、「業務の種類」よりも「作業の形態」に着目して横断的にRPA導入を進めると、全社的な取り組みに発展しやすいといえるでしょう。

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4.まとめ

冒頭でも述べたように、人手不足は将来にわたって慢性化していくと考えられます。したがって、RPAのようなツールを用いて自動化・効率化を社内に浸透させ、できるだけ人間の手作業や意思決定の手間を省いていく必要があるでしょう。

そして、単にRPAを導入するということではなく、「業務プロセス改革の一環」としてBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の視点を持った人材の育成も合わせて行うことが非常に重要なのではないでしょうか。

弊社では、ひとつのRPAツールに固執せず、最適なRPAソリューションの選定をサポートいたします。

それと同時に、「そもそもRPAをつかわずともやれないか」「既存のシステム改修で対応可能か否か」といった視点も大切にしながら、客観的な視点で評価、判断していくことを旨としております。

RPAの有効活用、自動化にご興味がありましたら、是非お気軽にお問合せください。

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※RPA、チャットボット等、バーチャレクス・コンサルティングの取扱いサービスはこちらをご覧ください。
https://www.toolhouse-vxc.com/

<出典>
※1:日本の将来推計人口(平成29年推計)国立社会保障・人口問題研究所 年齢3区分(0~14歳,15~64歳,65歳以上)別総人口及び年齢構造係数:出生中位(死亡中位)推計よりデータ引用
※2:コールセンター白書2017

執筆者紹介

バーチャレクス・コンサルティング株式会社
オペレーションサービス統括本部 業務運営管理グループ
CRM/BPOソリューション構築担当 マネジャー
谷川 陽介(たにかわ ようすけ)
2003年より弊社にてISP、飲料、飲食、オフィス用品通販業界等の多数のコンタクトセンター運営マネジメントを手掛ける。応対品質管理、業務設計構築、新規事業立上支援、社内研修構築含め、コンタクトセンター領域のプロフェッショナルとして従事。

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