【Catch up! Amazon Connect】双方向の SMS のサポートを開始

catch_up_amazon_connect.pngこの連載記事はAmazon Connectの機能を実際に試して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。

Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントご参照ください。

Amazon Connect が双方向の SMS のサポートを開始

Amazon Connectは双方向のショートメッセージサービス(SMS)機能をサポートすることを2023年11月に発表しました。この新機能についてご紹介いたします。

■機能概要


今までもAmazon SNSなどを利用したSMS送信は可能でしたが、Amazon Pinpointと組み合わせることで双方向のSMS通信が利用できるようになりました。

・Amazon Pinpointを使用してSMS専用の電話番号を取得し、Amazon Connectインスタンスに紐づけることでSMS送信(AWS → ユーザ)と受信(ユーザ → AWS)が可能。

・エージェントは会話履歴全体にアクセスでき、顧客とのコミュニケーションはAmazon ConnectのCCP(Amazon Connectソフトフォン)チャット画面で行う。

■メリット・デメリット

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メリット

・SMS送受信用のUIを作成が不要で即座に利用可能
 SMSは携帯電話のメッセージ機能を利用するため、お客様側の入力画面等のUI作成が不要です。 また、エージェント側は標準搭載されているCCPチャット画面を利用するため、エージェントにスキルを付与することで利用開始できます。

・SMSは開封率が高い
 携帯電話番号への送信の為、到着率は100%に近いです。また、SMSはメールよりも開封率が高いと言われており一般的には、メールの開封率は20〜30%程度ですが、SMSの場合90%以上と言われています。確実にお客様にお届けすることができるツールといえます。

・お客様の返信が容易
 お客様は受信した画面に直接返信ができます。メッセージ内に記載されているURLに移動し、IDとパスワードを入力してから問い合わせるなどの手間は不要となります。

・お客様の携帯にも履歴が残る
 送受信したテキスト内容をエージェントだけでなくお客様も確認ができます。双方で履歴が確認できることで、過去の情報を振り返りながらサービスや商品に関する疑問や課題のよりスムーズな解決に役立ちます。

デメリット


・文字数制限がある

 1回のメッセージは全角67文字、もしくは分割送信により630文字までです。67文字を超えた文字数は67文字毎に分割され送信されます。そのため多くの情報を送信する場合には適していません。

・お客様がメッセージを送信する場合SMS利用料がかかる
 SMSを送信するには利用料が発生するため、頻繁なやり取りは顧客負担額の増加につながり適していません。また、送信する文字数でも利用料金が変わる為、お客様から頂くメッセージ内容は簡潔に済むような内容を検討する必要があります。

・SMSのURL付きメッセージは警戒されやすい
 SMSを利用したフィッシング詐欺被害が近年増加していることで、お客様側でもSMSに対する警戒意識が根付いています。 企業側が送信する場合、お客様の名前を挿入するなどお客様にフィッシング詐欺だと思われないための工夫が必要です。

■コールセンターでの活用例

1.アンケートSMSを工夫してCX向上に繋げる

問合せ後のアンケート調査でSMSを利用する企業が多いと思います。
SMSの双方向サポートを活用してアンケート以外に、お問合せ内容が解決しているかや不具合が継続していないかなどのフォローメッセージを送信することでカスタマーエクスペリエンスの向上に繋げることに役立ちます。

💡活用例💡
「昨日お問合せ頂いた◯◯は解決しましたか?解決していない場合、このメッセージにご返信ください。担当者がメッセージに返信いたします。」

などお問合せ頂いた内容を踏まえたメッセージをお送りすることで解決率の向上の他、きめ細やかな対応によるCX向上につなげることができると思います。

2.コールセンターのIVRとSMS連携をしてSMSでお客様のご要件を伺う

IVRとSMSを連携を行う場合、FAQへの誘導やコールバックの予約が多いと思います。ただし、FAQでは解決せず問合せをされたお客様や、FAQの内容をより簡潔に説明してほしいと考えているお客様はSMSの誘導だけでは十分なサポートができません。

SMSの双方向サポートを活用して、問題解決に役立てることが可能です。

💡活用例💡
IVRガイダンスにSMS送信に関するガイダンスを追加します。
送信メッセージに、「今回のお問合せ内容を記載しご返信ください」のような内容を記載します。お客様がお知りになりたかった内容をSMSに返信していただくことで、適切なFAQのURLをお送りしたり、必要に応じてコールバック予約に誘導しお客様とコンタクトを取ることができるようになります。機会損失を予防するとともに、顧客満足度向上にもつながるでしょう。

■利用料金

1.Amazon Pinpoint料金

AmazonPinpointryoukin1.png例えば、1日100件メッセージを送信した場合、$7.451、その1割に当たる10件を受信した場合、$0.85 となり、Amazon Pinpoint の1日の合計コストは $8.301となります。
注: Amazon Pinpoint SMSの料金は国、地域、および電話番号のタイプによって異なります。同じ国や地域内でも、宛先の電話番号の通信事業者によって料金が異なる場合があります。
さらに、メッセージのサイズによっては、Amazon Pinpointはメッセージを複数に分割する場合があり、分割された各メッセージに対して課金されます。詳細については、「Amazon Pinpointの料金」をご参照ください。

2.お客様に掛かる費用
お客様がSMSメッセージを送信した場合にかかる費用は、お客様がご契約されているキャリアの定める料金となります。受信にかかる費用は発生しません。

個人契約のSMS利用において、1通あたりの送信料の相場はおおよそ以下の通りです。

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■まとめ

今までコールセンターにおいてSMSを使用する際、主にお客様への通知手段として活用されていました。しかし、双方向サポートを導入することで、チャットやメールのような非同期のコミュニケーションチャネルに変化する可能性があることがわかりました。活用方法によっては呼量の削減にもつながると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。

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執筆者紹介

プロダクトエンジニアリング&サービス部
オペレーションスペシャリスト
長谷川 円
コールセンター立ち上げ専門SV、コールセンターの業務コンサルを経て、現在はコールセンター向けソフトウエア製品を取り扱う部門にて、製品企画、プリセールス、運用サポートを担当。
コールセンタの現場経験や知見を製品に反映させ、業務に即した製品の提案、使い方提案が強み。

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