2022年9月13日、14日に「ネクスト・コンタクトセンター・サミット2022 夏」が開催され、AWSで実現するチャットボット運用~自動化と品質を両立するには~ と題してセミナーを行いました。
本記事ではそのセミナーでお話した内容をダイジェストでご紹介いたします。
テーマは「チャットボット構築で失敗しないためのメソッド5つ」です。
①チャットボット切り替えのユーザー告知はSMS送信も使うと効果大
今まで電話受付していた問合せをチャットボットに切り替えた後、該当の問合せIVRを自動応答アナウンス後切断するという仕様に設計する場合があります。 その結果、エンドユーザーへ告知が十分に行えず、IVRに入ってくる電話が後を絶たないという事象が発生してしまいます。
対策としては改めて告知期間を十分にとる、ということも考えられますがシステム的に対処できることとして、
弊社では該当のIVRに入ってきたお客様に自動音声のガイダンスに加え、チャットボット利用マニュアルのURLをSMS送信する機能の実装をおすすめしております。
Amazon Connectに着信した呼をLambdaを通しAmazon SNSで着信してきた携帯電話宛に、操作マニュアルのURLをSMSで送信する設定を入れることが可能です。
自動音声応答での案内に加え、SMS送信も行うことで、お客様の手元でも簡単に操作マニュアルを見れるようになります。
AWSのサービスを組み合わせることでこの様な仕組みを作ることが可能です。
②チャットボットから電話対応に繋ぐ時は折り返し予約が便利!
チャットと電話を併用する移行期間を設けた場合でも、移行期間終了後も電話窓口に問い合わせが集中し、チャットボットへの移行が進まない。という事例を良く聞きます。
その様な場合の効果的な対策は2つ。
1つ目:オペレータの方にご協力を頂く
チャットで受付が可能というご案内にプラスして「チャットの使い方の説明」を行っていただきます。
2つ目:切り替え直後の混乱期は、有人で電話対応を実施が必要ですが、その後はAmazon Connectのコールバック予約での受付として、基本的には折り返しの対応とする。
折り返し予約にするメリットとしては、コールセンター側の稼働状況に応じて発信することができるため効率よく対応が可能となる点だと言えます。
チャットボットを導入目的としてコールセンターの負荷軽減、人員の削減が大半かと思います。導入初期の混乱期を過ぎたあたりからコールバックに変更をおすすめ致します。
Amazon Connectではコールバック予約を行う機能があります。
電話対応を行うオペレータの中で、発信可能なオペレータに自動的にコールバック予約を割り当てることが可能です。
コールバック予約を使うことで少人数でも効率の良い電話対応が可能になります。
③導入後はレポート分析が必須
チャットボットの導入後、レポート上ではアクセス数、応答率などの数字が出ていても離脱率が高い場合があります。
お客様が離脱してしまうポイントを明確に把握できるように、ログ収集の仕組みをAmazon Connectの問い合わせフロー上に設置し、どの様な状況で離脱したのか、操作に迷ってループしている状況等を把握することをおすすめします。
データの格納や分析には、AWSなどのクラウドサービスを用いることが有効です。
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Amazon Connectであればデータを蓄積する仕組みを含めた構築が可能で、拡張性も高いです。
とある企業での実例です。
頂いたメッセージは担当営業へ引き継ぎ、メールや電話で個別返答を行いお客様とのコミュニケーションを図っています。
チャットボットの中の任意のタイミングでお客様の声を収集するポイントを設置し、入力されたデータをそのまま社内チャットの担当営業へAPI経由で送信する仕組みを実装。
担当営業としても意見がその場で共有され、チーム内での対応方針もチャットで可能となるなど、効率化が図れました。 お客様がチャットボットの操作中に不明点が出てきた場合に、お問い合わせ先として電話番号を表示する場合があります。
Amazon Connectではチャットボットからの有人チャット対応への切り替えが可能です。ただしチャットオペレータは電話のオペレータとはまた別のスキルが要求されるため、適性の見極めには注意が必要です。 Amazon Connectではチャットボットから有人チャット対応への切り替えが可能で、ボットから有人に切り替わった際にオペレータはチャットボットでどの様な発話をしていたのか会話内容を見ることができます。
Amazon Connectと、弊社のConnectrekを用いればこのあたりの課題は解決できます。 今回ご紹介した事例については弊社のソリューションの組み合わせで対応が可能となっています。 ぜひお問い合わせください。 プロダクトエンジニアリング&サービス部 コールセンター立ち上げ専門SV、コールセンターの業務コンサルを経て、現在はコールセンター向けソフトウエア製品を取り扱う部門にて、製品企画、プリセールス、運用サポートを担当。
また、データ分析にはフローの改修以外にもデータを蓄積し、フォーキャストに役立てるなどのメリットがあります。
顧客属性のカットでデータ分析をした場合、パーソナライズ対応も可能です。
例1:月○回以上ご利用のお客様への特別メッセージを出す
例2:VIPのお客様は直接オペレータに繋ぐ
④全てを無人化せず、顧客接点は残そう
長いお付き合いのあるお客様とオペレータとの間で、日常的に「いつものをあれを」というような阿吽の呼吸のやりとりが行われていましたが、チャットボットを導入した所
「以前は毎日電話で声を聞いていたのにそれが無くなり寂しい」というお声があり、ユーザが離れていく危険性を感じておられました。
弊社でご提案した改修案は
チャットボットでお客様のやり取りが終わった後に「その他何かご要望があれば記載してください。改めてご連絡致します」というメッセージを出し、フリーテキストで入力していただくようにする。というものです。
処理自体は自動対応を行い、それ以外のコミュケーションを図れるように一手間加え、
頂いた声に対してはすぐに動けるように体制を強化していただきました。⑤チャットボットで完結できない場合の受け口を設ける
その場合、電話窓口には意図せずチャットボットの問い合わせ以外にも、通常の問い合わせ等が殺到し、結果的にはチャットボットの利用が進まない状況に陥るケースがあります。
そのような場合、チャットボット内から有人のテキストチャット窓口を設置し、お客様が「オペレータ」などのワードを発すると有人対応に接続する運用が効果的です。
そのためお客様は「また最初から説明するの・・・」ということがなくなります。
オペレータ側でボットでの会話、処理履歴を確認できるので、効率的な応対が可能になります。
今回のまとめ
執筆者紹介
オペレーションスペシャリスト
コールセンタの現場経験や知見を製品に反映させ、業務に即した製品の提案、使い方提案が強み。