インターネットの利用やスマ―トフォンが普及したことにより、消費者間の日常のコミュニケーションの手段は電話からメール、メールからSkypeやLINE、Facebook Messengerなどのメッセージサービスに置き換わりつつあります。
電話やメールよりも気軽にコミュニケーションが取れることなどが受け、どんどん普及していますが、ITリテラシーやスマホメインのツールであること(ガラケーだと使いづらい)、IDを知らないと連絡が出来ないなどにより、まだモバイルユーザーの全てが利用している、という状況には至っていません。
そうした条件下でもメッセージのやり取りが出来るのがSMS(ショートメッセージサービス)です。電話番号さえあればスマホ、ガラケー問わず送れるこのサービスは、既にいくつかの企業ではコールセンターのお客様対応にSMSを活用し始めており、その他多くの企業が興味・関心を持っています。
そこで今回は、コールセンターにおけるSMS活用事例を参考にしつつ、SMS導入のメリットについて探りたいと思います。
1)カスタマーサポートでの利用
ある国内大手航空会社のコールセンターでは、
・回線混雑時に顧客を長く待たせてしまう
・オペレーターが顧客の住所やメールアドレスを聞き取るのに時間がかかってしまう
といった問題を解決するため、SMSを活用しています。
回線が混雑していてオペレータに繋ぐのが難しい場合、IVRから電話番号を取得し、「後程オペレータより折り返しご連絡致します」とSMSでメッセージを送ったり、事前にSMSで登録フォームのリンクを送信して顧客に入力してもらうことで、聞き取りミスを防ぐような取組みが実施されています。
SMSの活用を開始した結果、待ち呼/あふれ呼の抑制、通話時間の短縮、聞き返しの減少による顧客満足度の向上などの成果があったとのことです。
その他にも、言葉だけでは難しいお問合せ、例えば会場への道案内や技術サポートなどは、画像や説明文が掲載されたWebサイトなどを見てもらうことですぐに解決できる可能性もあります。電話番号さえあればこうしたWebサイトのURLを送信出来るSMSは、応対時間の短縮、業務効率化に一役かってくれる可能性を持っていると思いませんか?
2)キャンペーン/リマインドメッセージ配信に利用
ある大手中古車買取業者は、電話で車の査定依頼を受けることが多く、大半のお客様のメールアドレスを把握していませんでした。いざ、車の売却促進キャンペーンを実施した際、電話でアプローチしたころ、「もうかけてこないで!」と嫌がられてしまうことが多く、困っていたそうです。
そこで携帯電話の番号を把握している見込み顧客に対し、SMSを使って査定やキャンペーンを告知したところ、同じキャンペーンをメールで告知した場合よりも開封、クリック率が高く、成約率も増加したそうです。
また上記にあわせ、車検間近のお客様に対しても売却キャンペーンをSMSで案内したところ、こちらも開封、クリック、成約数ともに増加したとのことです。
加工食品を扱うAceitera General Dehezaなども、顧客への情報提供にSMSを活用するなど、SMSを活用した情報提供、販促などは各地で実施されています。
これらの事例は「電話番号しかない場合=SMS」という考え方も出来ますが、開封率UPなどキャンペーン効果UPのために、SMSを活用するという選択肢もあることが分かるかと思います。
LINEなども高い開封率が有名ですが、SMSもメールなどに比べ、開封率が高くなる傾向があるようです。
3)アンケート調査に利用
某大手ガス会社では、コールセンターに関する意見調査を郵送アンケートから、問合せ直後に顧客をSMSでアンケートページに誘導する方式に変更しました。
郵送だと発送から到着までのタイムラグがあり、対応内容を忘れてしまったり、DMと勘違いして捨てられてしまったりするリスクがあるため、電話番号さえ分かればすぐに送信、回答をもらえるSMSはこうしたコールセンターの対応満足度調査にも効果があると言えるでしょう。
また、顧客管理(CRM)システムと連動してこうした調査を実施、蓄積することが出来れば、個客ごとの回答に応じて次回以降の対応方法を変えたり、属性情報(年齢や性別、居住地域など)による傾向の分析などもやりやすくなるでしょう。
SMSも送信できるCRMシステムはこちら
メッセージサービスの普及やメールマーケティング、営業電話の効果低迷などは、企業として消費者とのコミュニケーションチャネルを再考するタイミングを示唆しているのかもしれません。
また、ある程度の問題は「Web検索して解決」してくれる世代が増えている一方、コールセンターにはより複雑な問合せ(Web検索で見つけられなかったり、Webだけでは解決できなかった問題など)が増える傾向もあり、より電話だけでは対応しづらい案件が増えることも予想されます。
そうした場合にはSMSのような、電話番号さえ分かれば利用できるメッセージサービスを活用し、より効果が高く、効率的なコミュニケーション手段を取り入れることは、価値がある選択ではないでしょうか。