インターネットや携帯電話の普及、テクノロジーの発展は、コールセンターにも大きく影響し始めています。その流れの一つが「ノンボイス化」かと思います。多くの人、とりわけ現在働き盛り層や若年層は、電話よりもまずググったり(ウェブで検索したり)することが多いのではないでしょうか?
そういった「ノンボイス化」の流れの背景と、企業、消費者にとってのメリットについて考えます。
「セルフサービス化」、「ノンボイス化」は必然の流れ
携帯電話→スマホが爆発的普及の起点?
企業のオンラインFAQやOKWAVE、Yahoo!知恵袋など、オンラインヘルプサービスは前々から提供されていましたが、いずれも「パソコンの前に座ってアクセス」という方法が主だった為、アクセスするタイミングや頻度が限定的だったかと思います。それがスマートフォンの登場によってよりインターネットが身近になったことで、「こまったらGoogle先生に聞こう(ウェブを検索しよう)」といった習慣が出来てきたのではないかと思います。
ウェブが身近になったことに加え、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア、LINEなど新しいチャネルの普及により、消費者間でのノンボイスでのやり取りが増え続けています。普段よく使うチャネルだからこそ、企業とのやり取りにもそのチャネルを使うことを求める流れが来ても不思議ではありません。
「出来ることなら電話したくない」層が増加中
ウェブがより身近になったことにも関係しますが、今は「電話をすることが煩わしい」、「自分で解決したい」という人が増えつつあります。
ZendeskとNuanceが実施した調査によれば、
・75%がセルフサービス型(自分で検索する等)が楽で便利と回答
・67%が電話で企業担当者と話すより自分で解決したいと回答
参照元
となっており、またDimension Dataが2015年にコールセンターに対して実施した調査によれば、
・74%の事業者が消費者とのやり取りがここ2年間で増加したと回答
・42%の事業者がコール(電話)が減少していると回答
・87%の事業者がSNSやウェブチャットなど、「ノンボイス」でのコミュニケーションが増加したと回答
参照元:2015 global contact centre benchmarking report
など、「セルフサービス(自己解決)」や「ノンボイス」の需要が伸びてきているのが見受けられます。
セルフサービス、ノンボイス化のメリットと気を付けるポイント
これらの潮流は企業にとってメリットがあることでもあります。カスタマーサービスのセルフサービス化が進むことによって、
・コールセンターのコスト削減(ウェブ解決が増える→電話が減る)
・「電話は煩わしい」と感じる層の不満解消
・24時間365日、オペレータ不要で対応可能
などが可能になります。また、ノンボイス化によって、
・消費者の元に記録が残るので、見返すことが出来る
・URLなどの補足情報を送信できる
・1:N対応(1人で同時に複数人の問合せに対応)可能
などのメリットがあります。
ただし、
・お客様が「どんなキーワード」で検索するのか配慮し、FAQが見つかるようにする
・オンラインヘルプを陳腐化させない(常に内容の更新が必要)
・誤情報が出回りやすい(個人の非公式な回答がウェブ上で閲覧される可能性がある)
・感情が伝わりづらいため、消費者を不快にさせぬよう「言葉」への配慮が必要
など、気を付けなくてはいけない点も多く存在します。
SMSやLINE、Twitterなど「ノンボイス」の普及が続く
日本でもノンボイスを取り入れ始める企業が増え始めています。たとえば、エイチ・アイ・エスや伊藤忠都市開発はLINEをチャネルとして活用したカスタマーサービスを提供開始しています。
SanSanではSMSを活用した顧客認証サービスも提供しています。また、Twitterを活用したカスタマーサポート(アクティブサポート)は既に日本でも多くの企業が実践しており、オフィス通販のアスクルやソフトバンクなどが積極的に取り組んでいる事例としてよく取り上げられています。
電話がなくなることはない。でも「セルフサービス化」、「ノンボイス化」へのシフトは今後も増加
もちろん、ウェブやスマホを利用していない人も多い高齢者層や、自分だけでは解決できない際、急を要する際などまだまだコール(電話)が求められるシーンは多いでしょう。
ただ、紹介した調査結果や近年のテクノロジーの発達も考えると、「セルフサービス」、「ノンボイス」(あとは人工知能などを活用した「ノンヒューマン」なども)のニーズは今後も増え続け、企業がマストで対応しなくてはならない必須要件になってくると考えられます。
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