コンタクトセンターの「いま」④ ~ユーザーの心に寄り添う「恋愛コンシェルジュ」会員制SNSサービスのお問い合わせ対応プロジェクト

前回の記事では、多様化するコンタクトセンター業務の一例を紹介しました。

多様なサービスの登場により、コンタクトセンター業務は幅が広がるだけでなく、そこで交わされる顧客とのコミュニケーションそのものも、より深くなっています。

かつてコンタクトセンターが担っていた単純なお問い合わせ対応やアウトバウンドセールスでの受注などは今、どんどんウェブで完結できるようになっています。

そんな中でコンタクトセンターのオペレータは今、単に聞かれたことに答える「人間FAQ」にとどまらず、顧客の心に寄り添いパーソナルな悩みを解決する「コンシェルジュ」としての役割が求められるケースも多くなってきています。

顧客の生の声に接するコンタクトセンターは、進化するテクノロジーを取り入れながらも「人と人とのコミュニケーション」に特化した場所へと、どんどん変化しているのです。

今回は、コンタクトセンターでの顧客対応がより「コンシェルジュ」的になっている事例として、延べ200万人以上のユーザー数を有する婚活マッチングサービス運営会社様のプロジェクトを、弊社BPO部門の長谷川 円に伺います。

日々ユーザーから寄せられる「恋愛相談」

このプロジェクトでは、サービスのユーザーからメールで寄せられる毎日100件程度の様々なお問い合わせに、弊社アウトソーシング部門が丁寧にひとつひとつ返信しユーザーの課題を解決する、という業務を担当していました。

お問い合わせの内容は、サービスの使い方やシステムの不具合に関するものが主でしたが、それだけではありません。ユーザー間のマッチング、コミュニケーションを提供するサービスであったため、時には、正解のない、いわば「恋愛相談」ともいえるようなお問い合わせも寄せられるのです。

たとえば......

「もっと多くの人に『いいね!』を押してもらうためには、どうしたら良いでしょうか?」

「急に相手からメッセージの返事が来なくなったのですが、なぜでしょうか?」

「どういったタイミングで、直接会おうと切り出せば良いでしょうか?」

といった内容のお問い合わせです。オペレータは、こうしたユーザーの悩みに寄り添い可能な範囲でアドバイスをする、いわば「恋愛コンシェルジュ」としての役割も担っているのです。

こうしたお問い合わせが電話ではなくメールで寄せられることも、このプロジェクトの難しい点でした。表現の抑揚がある電話(口頭でのコミュニケーション)に比べると、文章だけでは読み手に本意が伝わらず、「冷たい」と感じさせてしまいがちです。

また万人に受ける表現、コミュニケーションはありません。コミュニケーションにおける人それぞれの好みについても、電話であれば、なんとなくの空気を感じつつ軌道修正が可能ですが、メールだとそうはいきません。

返信するユーザーは口語調が良いのか文語調が良いのか、箇条書き形式の説明が良いのか文章形式での説明が良いのか、常に模索しつつ対応していました。このようにメールと電話では、全く異なる種類のコミュニケーションスキルが必要なのです。

システムを活用してナレッジを蓄積、共有

コンタクトセンターでの顧客対応が「コンシェルジェ」的になればなるほど、オペレータ全員がマニュアルを覚えてその通りに受け答えするといった従来のやり方が通用しなくなってしまいます。そこで重要なのは、現場のオペレーションやシステム活用を工夫することで、日々の運用業務の中で得たナレッジを蓄積、共有し、センター全体のスキルアップを測っていくことです。

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本プロジェクトに携わった
ビジネスプロセスアウトソーシング部門 長谷川 円

このプロジェクトでは、アウトソーシング業務の受注にあわせて弊社が開発するコンタクトセンターシステムであるinspirXも導入いただき、日々のお問い合わせ対応に活用していました。

たとえば、メールの送受信履歴を全てシステム上で一元管理することで、過去の対応履歴をチーム全員で共有することが可能になります。クライアントの担当者にエスカレーションしたメールの修正履歴も全てシステム上で見ることができ、自分が作成したメールのどの部分をどう修正されたかもわかるので、学習して次に活かすというPDCAを回しやすくもなりました。

また、(電話対応が一切なく)メール対応に特化したプロジェクトが珍しいことともあり、inspirXの標準機能だけでは不十分な所がありました。これに対し、運用開始後もオペレータが現場目線の要望をシステム担当者に日々フィードバックしながら、スピーディーにシステムの機能やデザインをカスタマイズすることで、業務・システムを高度化していきました。

昨今はこの事例に限らず、コンタクトセンターに「コンシェルジュ」的な顧客対応を期待する企業が増えています。しかし、それをオペレータ個人の属人的なスキルに頼らず実現するためには、システムを活用してナレッジを蓄積、共有し、質の高い顧客サービスを安定的に提供できる仕組みを作ることが重要なのです。

コンタクトセンターの「いま」 総括

コンタクトセンターの「いま」を紐解く、「採用難とヒューマン・マネジメントの重要性」、「対応業務の多様化」、「顧客対応の深化」という3つのキーワードについて、弊社事例を交えつつ、解説してまいりました。

一般的に、アウトソーシングは、企業が限られたリソースを最大限、効率的・効果的に活用するため、付帯業務を外注化し、自社のコア業務に集中させることを目的に推進されます。しかし、アウトソーシングの最たる例である、コンタクトセンター業務は、上記したとおり、もはや単純な付帯業務の域を超え、効率化だけでなく、お客様に付加価値を提供する上での独自の創意工夫が求められるようになっています。

そうした中で、弊社がこれまで培ってきた経験やノウハウを活かし、多くのお客様に貢献していくことができれば、と考えております。

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