コンタクトセンターの「いま」③ ~「警察の検挙」を参考に業務をゼロから構築。不動産情報サイトパトロールの舞台裏

メールやウェブ、SNSなど顧客接点が多様化している今日、コンタクトセンター業務はただ「電話を取る」だけではありません。スマートフォンやソーシャルメディアの普及に伴う新たなサービスやビジネスの誕生に伴い、それに付随する新たなコンタクトセンター業務も生まれています。

業務多様化の事例として、弊社が現在手掛けている大手不動産検索ポータルサイトのプロジェクトについて、コンサルタントの山野 翔太に伺います。

不動産情報サイトのパトロール業務とは?

弊社のクライアントであるWEB広告会社が、大手不動産検索ポータルサイト上で中古物件情報掲載のための新サービスを販売することとなりました。

それに伴い、弊社はサービスに参加(登録)し、物件を掲載してくれる候補となる不動産業者への非対面営業(アウトバウンド)の方針策定、実行のプロジェクトを受注。弊社コンサルタントがクライアントと共に策定した営業方針・計画をアウトソーシング部門が実行し、中古物件情報サイトで、物件掲載数業界2位に躍進という成果を達成することができました。

その結果が認められたこともあり、サービス開始後は、サービスの品質、つまり掲載物件の質を向上させていくための「サイトパトロール業務」を、再び弊社のアウトソーシング部門(佐賀コンタクトセンター)で担当させていただくことになりました。

サイトパトロールとは、不動産業者がサイトに広告(物件情報)を掲載する上でのルール違反がないかをチェックすることで、サイトの品質を保つ業務を指します。

不動産掲載にはいくつかルールがあり、例えば「都内で一番魅力的な物件です」、「とても広いです」といった主観的な物件紹介文はNGだったり、あるいは既に売れてしまった成約済物件を(客寄せのために)サイトに掲載し続けるのもルール違反となります。

こうしたルールは、公正取引委員会や業界団体(不動産公正取引協議会連合会や不動産情報サイト事業者連絡協議会など)が定めている規則もあれば、サイト品質のために、クライアントと弊社で設けたものもあります。

日々サイトを監視しながらこうしたルール違反の広告がないかチェックしつつ、ユーザーからの違反申告を受け付け、必要に応じ違反業者にコンタクトするのが、弊社のコンタクトセンターの主な役割です。

「警察の検挙」を参考に、ゼロから業務を設計

このプロジェクトをスタートするにあたり、我々はまず「不動産情報サイトのパトロール」という、世の中であまり一般的ではない業務をゼロから設計していく必要がありました。

違反広告を見つけ出して摘発するというサイトパトロール業務は、警察の検挙に似ているところがあります。そのため、警察の検挙にどんなKPIが使われているかを参考にしながら、「どの違反で何ポイントつけるか」「何ポイント以上になったら退会させるか」といったサイトのルールを、クライアントとの打ち合わせを重ねながら手探りで設計していきました。そうして設計したルールをベースに運用業務フローを組み立てました。

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本プロジェクトに携わった
コンサルタント 山野 翔太

実際に運用がスタートすると、どんな違反が多く発生するかなど、感覚的にわかってきます。それを踏まえて今度は、はじめに設計したルールや業務フローを適時チューニングし、少しずつ業務を効率化していきました。

当初はユーザーからの「これは違反ではないか?」という申告を受けて調査をし、もし問題が見つかった場合は摘発するという作業が中心でしたが、徐々にユーザーからの違反申告に対応するだけでなく、こちらから能動的に違反を見つけ出すようなアクションを取っていける仕組み作りにも取り組んで行きました。

なおルールについては、この取り組みにおいて対象としていた大手不動産検索ポータルサイト以外でも適用されるよう、クライアントを通じ業界団体等に働きかけることもしました。業界全体で品質が上がれば、そもそもの違反も抑制され、そもそもの業務効率化につながると考えたためです。

このプロジェクトは、従来のコンタクトセンター業務とは全く異なるものです。新しい業務をゼロから設計したという点では、新規事業の立ち上げ支援といっても過言ではありません。新たなサービスが生まれれば、それに付随して新しいコンタクト業務も生まれる、そんな事例といえるでしょう。

複雑な業務フローにあわせてシステムもカスタマイズ

このプロジェクトでは、サービス開始前の営業段階で、弊社が開発するコンタクトセンターシステム「inspirX」を導入いただき、サイトパトロール業務においても活用しています。

コンタクトセンターシステムでの顧客管理は通常、顧客ごとにデータを作成し、管理します。それをこのプロジェクトでは、何らかの違反があった物件ごとにデータを作成するという、少し特殊なデータ管理をしています。

違反の申告があった物件に対しては、様々な調査をし、確認をし、場合によっては公正取引委員会に問い合わせ、それから摘発し......といった具合に、解決に至るまでのフローが極めて複雑です。そのためこのプロジェクトでは、通常の顧客管理よりもシステム上で管理する項目がかなり多くなっています。

たとえば、通常は「未着手」「着手中」「完了」といった具合で分類する案件毎のステータスも、このプロジェクトでは「この部分の確認は取ったが、この部分の確認はまだ取れていない」といったケースもあるので、結果的には全部で9種類ほどのステータスを細かく設定しました。

データを見ればすぐに現在の状況と次に取るべきアクションがわかるような状態にするためには、これくらい細かいデータ設計が必要だったのです。

コンタクトセンターシステムは、実際の業務にあわせてカスタマイズが必要です。そして、コンタクトセンター業務そのものが多様化している今日、いかに適切な業務フローを設計し、それにあわせたシステムを迅速に準備するかが重要です。

その点でこのプロジェクトは、弊社のコンサルティング部門、テクノロジー部門、そしてアウトソーシング部門が連携しながら、新しいコンタクトセンター業務を作り出すことに成功したベストプラクティスといえるでしょう。

4.顧客対応の深化「ユーザーの心に寄り添う「恋愛コンシェルジュ」会員制SNSサービスのお問い合わせ対応プロジェクト」

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