
Catch up! Amazon Connectは、Amazon Connectの基本機能を紹介するシリーズです。今回は第3回記事として、Salesforce連携に特化してご紹介します。なお、本項は、Service Cloud Voiceや、SalesforceのCTIアダプターを利用せずに、オペレータの操作はAmazon Connectの画面を使って行う場合について記載しています。
Amazon Connectを顧客対応における電話やチャット機能として使用している場合、個々の応対でSalesforceを検索、参照するのは手間がかかります。データ連携をするとエージェントワークスペースやプロファイルエクスプローラーでSalesforceのデータを参照できるため、オペレーターの顧客応対の品質向上・従業員満足度向上をかなえることが可能です。
第1回の記事では顧客プロファイルの機能一覧・CRMとの比較などの概要情報を、第2回の記事では顧客プロファイルの注目機能の詳細な紹介を扱っています。ぜひ併せてご覧ください。
CRMとどう違う?Amazon Connectの顧客プロファイル機能を基礎から理解する(第1回)
顧客プロファイルを使いこなす:エージェントワークスペース・カスタム項目・名寄せを徹底解説(第2回)
※この記事での画面キャプチャ画像内の赤枠や赤文字の書き込みは弊社による注釈です。実際のAmazon Connectの画面には表示されません。
目次
Salesforceを統合する(データインポート、マッピング)
Salesforceを統合する(データインポート、マッピング)
Salesforceのデータを顧客プロファイルに取り込む設定について説明します。
Amazon ConnectとSalesforceの統合設定は、Amazon Connectインスタンスの管理画面で、ドロップダウンから接続対象を選択するだけで簡単に設定が可能です。なお、本記事では解説を割愛しますが、Amazon ConnectとSalesforceの連携のための認証設定を事前に行う必要があります。
接続を設定している画面

Salesforceのどのデータを顧客プロファイルのどの項目に設定するかを決める「マッピング」を作成します。
大規模言語モデル(LLM)を使用して、データのマッピングを自動的に作成する「マッピングを自動生成」を使うと、標準項目は数分待つだけで自動的に設定されます。
実際に試したところ、標準項目は問題無くマッピングできていました。Salesforceに独自に作成した項目がある場合は、イメージしたとおりにマッピングされているか、作成後の確認画面でチェックすることをお勧めします。
その他のマッピング方法として、新しいマッピングを作成(マッピングをユーザーがマッピングを定義)、既存のマッピングを使用(既にAmazon Connectに同じ外部ソースの設定がある場合、再利用可能)があります。
すべての設定が完了した後、しばらく待つとデータソースの統合が作成されました。
システム間の通信の確立・データの連携・マッピング方法などを自前で用意する場合、それだけで1つの機構が必要になってしまう場合も珍しくありません。Amazon Connectは簡単に統合設定ができるので便利です。
統合が「アクティブ」になった様子

統合した情報を確認する①エージェントワークスペース
顧客プロファイルとSalesforceを統合することで、以下の操作ができるメリットがあります。
・エージェントワークスペースでSalesforce由来の顧客情報を直接参照できる。
顧客の基本情報や過去の商談・ケースなど、統合設定したデータをConnect上で一元的に確認できるようになります。
・プロファイルエクスプローラーでAmazon Connectのコンタクト履歴とSalesforceの情報を統合して閲覧でき、取り込んだ Salesforce データはAI要約にも反映される。
なお、AI要約への反映範囲は統合で設定したオブジェクト/フィールドに限られるので、適切な取り込みデータの範囲を設定してください。
・リアルタイム連携やバッチ処理を別途実装することで、Amazon Connectの応対情報やAmazon Connectのケースの自動作成などをSalesforceに送信することも可能になる。
※これは顧客プロファイルの標準機能ではなく、Lambdaなどを利用した拡張開発が必要です。
この章では、統合した情報を、エージェントワークスペースでの顧客対応中にどのように確認できるか説明します。
エージェントワークスペースでは、顧客プロファイルのタブ内に製品購入履歴が表示されます。
購入履歴が多すぎる場合、データ取り込み時にデータ制限を利用することで、直近のデータに絞って取り込むことができます。過剰なデータが表示されると、オペレーターが顧客対応時にどのデータを参照してよいのか迷ってしまい、対応品質に影響する可能性があります。連携データを適切に制限することは運用時のノウハウとして重要です。
製品購入履歴タブのイメージ(Amazon Connect管理者ガイドより抜粋)

統合した情報を確認する②プロファイルエクスプローラー
統合した情報をプロファイルエクスプローラーで確認するメリットを説明します。
エージェントワークスペースで表示される情報は、プロファイルエクスプローラーでも確認できます。
エージェントワークスペースの顧客プロファイルは、ログインユーザーがコンタクトした履歴がない顧客はリストに表示されず、検索しないと表示されません。一方、プロファイルエクスプローラーは初めから顧客がリスト表示になっているため、検索しやすいです。
コンタクト履歴や顧客価値などのプロファイルエクスプローラーの標準項目に加え、Salesforceのアセット、注文履歴などをウィジェットで表示可能です。SalesforceのデータとAmazon Connectのコンタクトデータを組み合わせて顧客の情報を確認したいときに便利です。
プロファイルエクスプローラーの例

顧客プロファイルのデータを連携する
顧客プロファイルのデータをSalesforceに連携する手段を説明します。
1件毎にリアルタイムでデータを連携する方法と、ジョブで連携する方法があります。どちらもAmazon Connectだけでは完結せず、他のサービスとSalesforceを組み合わせて構築する必要があります。
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方法の概要 |
メリット |
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🔴即時的な連携に効果的 Amazon Kinesis Data Streams(ストリームデータを他のアプリケーションなどに連携するAWSのサービス)を利用して、Salesforceなどのサードパーティーアプリにリアルタイムにデータを連携します。 |
Amazon Connectに蓄積するコンタクトデータをSalesforceにほぼ同時に連携できるため、リアルタイム性の重要な分析(例:コンタクトセンターのリアルタイムダッシュボード)にも利用できます。 |
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🔴大量データ連携に効果的 AWS APIまたはCLIを利用して、顧客プロファイルデータをS3に一括エクスポートします。S3のデータをSalesforceなどのサードパーティーアプリに取り込むには、Salesforce側の設定が必要です。 |
大量のデータを一括で扱うことができるため、リアルタイム連携のようにストリームデータの転送容量の設定を細かく気にする必要がありません。 データがファイルとしてS3に残るため、証跡管理も比較的容易です。 |
まとめ
本記事では顧客プロファイルのデータソースとして外部CRMを利用する方法を、Salesforceを例にご紹介しました。
Amazon Connectをベースに顧客対応をするコンタクトセンターであれば、Amazon ConnectのデータとCRMのデータが同じ画面で閲覧できるようになるため、オペレーターが情報を参照する手順がシンプルになります。ぜひデータソースの統合を利用してみてください。
ただし、既にCRMを中心とするオペレーションが確立されている場合、Amazon ConnectのデータをCRMに統合する方が現場にとって便利なこともあります。Amazon ConnectにはSalesforceやZendeskでAmazon ConnectのCCP(カスタマーコントロールパネル、電話やチャットに対応するための簡易的な画面)を利用するための純正アダプターが用意されているので、そちらの利用も併せて検討できるとよいでしょう。
弊社はSalesforceの導入支援も行っております。Amazon ConnectとSalesforceのワンストップ導入支援も可能ですので、ご興味があればこちらのページからお問い合わせください。
バーチャレクスでは、Amazon Connectを中心としたAWSサービスと生成AIを組み合わせ、顧客接点領域に向けたソリューションを提供しています。今回ご紹介した顧客プロファイル以外にも、Amazon Connect Contact Lens、Amazon Q in Connectなどの最新機能のご導入を検討されている方は、ぜひご相談ください。
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プロダクトエンジニアリング&サービス部





