電話口でのお客様満足度調査のメリット・デメリット
コールセンター運営における重要指標の一つとしてCS(=Customer Satisfaction/お客様満足度)があるのは周知の事実ですが、従来このCSを把握するためには、電話口でのアンケート調査が一般的です。この電話口で確認するというアンケート調査手法は確実に回答が得られるというメリットがある一方(それでも中には回答を拒否する顧客も当然一定数いますが)、デメリットもあります。以下一例として、
・各オペレーターの通話時間が長くなってしまう
・アンケート結果をシステムに登録する等の必要があり、後処理が嵩む
・(先程まで応対してくれていたオペレーターに対し)顧客側としても本音で答えづらい
・用件は済んだので早く電話を切りたいという気持ちがある中での回答となり、精緻な回答が得られない
等々が挙げられ、センター運営側としての生産性の低下や正確な実態把握につながらない可能性があります。
3つの効率的・効果的なお客様満足度調査方法
このような電話口でのアンケート調査以外にも、CSアンケート調査を実施、情報を収集する方法があります。上記デメリットの解消にも役立つ可能性があるため、以下に幾つか紹介します(なお、余談ですが、最近では、顧客の満足度を応対中の声質等から自動的に取得できるような技術も出てきているようですが、まだ一般的ではないため、ここでは割愛させていただきます)
①自動音声応答(IVR)を活用する
応対完了後、CSアンケートへの回答に関する承諾を得た後、IVRへ転送。顧客は、(電話問合せ時と同様の方法で)IVRから流れる事前設定されたガイダンスに従い、プッシュ操作入力で、アンケートに回答するというのが一般的な流れ。ちなみに高度・高級なIVRサービスの中には、プッシュ操作ではなく、音声認識、つまり機械的に用意・定義された質問が流れ、それに対し口頭で返答することでアンケートに回答するというものもあります。 なお、少し話は横道に逸れますが、ここ数年、ビジュアルIVRという、いわば次世代型IVRシステムとも呼べる仕組みが出てきています。ビジュアルIVRは、スマートフォン等モバイル機器の浸透により、そのUIを活用した、ビジュアルコミュニケーションを可能にする新しいソリューションです。これにより、従来型のIVRの課題(例えば回答するのにも、選択肢を最後まで聞き終える必要があるなど)についても、解消が望めます(UI上で選択肢が一覧表示され、一度に確認できる)。 従来型のIVRにせよ、新しいビジュアルIVRにせよ、オペレーターの負担・稼働抑制に直結し得る選択肢であり、費用感や利用用途等が適合するのであれば、適切なサービスの導入を検討するのも一考に値すると言えます。
②メールを活用する
各顧客の連絡先情報としてメールアドレスを有しており、CSアンケートに活用可能(使用許諾を得ている)なセンターにおいては、メールアドレスを活用するという方法も考えられます。上記IVRのガイダンスの代わりに、事前にCSアンケートページをWeb上に作成しておき、当該WebページのURLを準備。上記IVR活用と同様、応対完了後、CSアンケートへの回答に関する承諾を得た後、CSアンケート回答を依頼するメールに、当該URLを記載の上、送信。顧客は、任意のタイミングでCSアンケートに回答することができます。なおこの方法においては、上述の通り、個人情報であるメールアドレスをCSアンケートに活用するという使用許諾(オプトイン)が必要であることが重要であり、個人情報取得の際の利用目的等に明記しておくことが必要となることは忘れないでいただきたいポイントです。
③SMSを活用する
大枠の流れは上記メールの活用と同様ですが、全てのコールセンターが各顧客のメールアドレスを有しているわけではありません。そんなときに有効なのがこのSMSの活用です。コールセンターである以上、184等の設定により発番表示の制御がなされていない限り、電話番号は取得可能です。そして電話番号さえあれば、SMSが活用できます。そういった意味で、コールセンターと非常に親和性の高い手段と言えるでしょう。なお、実際の活用に際しては、メール同様、使用許諾が必要であること、メールに比して記載できる情報量が限られていることを踏まえていただきたい。
まとめ
以上、電話口でのCSアンケート調査以外の3つの方法を紹介しました。
なお、③SMSは(もちろんメールも同様だが)、CSアンケート以外にも様々な活用方法が考えられます。例えば、
・応対時に回答した内容が記載されたFAQが公開されているのであれば、備忘を兼ね当該URLを送信することで、手厚くフォローし、CS改善につなげる
・応対時の内容に即し、推奨キャンペーン情報やクーポンを配布することで購買につなげる
等々です。
IVRにせよ、メールにせよ、SMSにせよ、実際に活用する上では、電話応対完了後にシームレスにCSアンケート調査を実施できるよう、業務・システムを設計しておくことが重要であることは言わずもがなではあります。つまり、折角上記のような業務効率を高めるシステムを導入にしても、IVRへの転送やメール・SMS送信の設定に時間がかかるようでは本末転倒です。また、特にIVRへの転送においては、その間顧客は待たされている状態であり、アンケートに答える前に切電される、折角良い応対をしても結果的に満足度低下に繋がる、といったリスクも考えられます。実活用に向けての導入に際しては、この点を踏まえ一気通貫性を考慮し、検討を進めることが必要です。