Amazon Connectの通話を可視化・要約するLive Call Analytics(LCA)と生成AI活用


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コンタクトセンターでは近年、生成AIを活用した業務改善の取り組みが急速に進んでいます。通話音声のリアルタイム文字起こしや要約生成、感情分析など、AIを活用したさまざまな応対支援のユースケースが生まれつつあります。

Amazon Connectでも通話分析機能としてContact LensやQ in Connectなどが提供されていますが、バーチャレクスはさらに柔軟な通話分析を実現するソリューションとして Live Call Analytics(LCA) を提供しています。

本記事では、Amazon Connectと連携してリアルタイム通話分析やエージェント支援を実現するLCAの概要と、バーチャレクスが提供する日本語環境での導入支援についてご紹介します。

 
※サービス名、機能詳細は2026年2月現在の内容です。機能のアップデートなどにより将来的に変更される可能性があります。また、画像の赤枠や注釈は記事化するにあたり追記したもので、実際の画面には表示されておりません。

目次

コンタクトセンター運用でよくある課題

Live Call Analytics(LCA)とは

LCAの全機能とAmazon Connect標準機能の比較

LCAが解決する業務課題の例

①SVエスカレーションの削減

②リアルタイムモニタリング

③通話後業務(ACW)の効率化

バーチャレクスによるLCAのカスタマイズ内容

①日本語環境での利用に対応

②Amazon Connectエージェントワークスペースへの統合

③Amazon Connectで作成するボイスボットとの連携

まとめ


コンタクトセンター運用でよくある課題

コンタクトセンターでは、日々の運用の中で次のような課題が挙げられます。

  • FAQやナレッジを用意しているが、実際の応対の中で落ち着いて参照できないため、オペレーターが社内資料を十分に活用して回答を作成できない。その結果、回答の根拠に自信が持てず、確認のためにSV(スーパーバイザー)へエスカレーションせざるを得ないケースが増えている
  • 通話後の要約作成に時間がかかり、特に長時間の通話のACW(After Call Work: 通話後業務)が長くなる。
  • SVがオペレーターの会話をモニタリングしているが、SVが多忙であったり、複数の通話を同時に確認する手段がないため、リアルタイムでモニタリングすることが難しい。

これらの課題に対して、通話内容のリアルタイム文字起こしやAIによる要約生成、エージェント支援が可能なソリューションを活用することで、オペレーター・SV業務の効率化や応対品質の平準化を図る取り組みが進んでいます。この記事でご紹介するLive Call Analytics(LCA)は、これらの課題の解決に役立つコンタクトセンター向けの音声解析ソリューションです。

 

Live Call Analytics(LCA)とは

Live Call Analytics(LCA)は、AWSがGitHubで公開している音声解析ソリューションで、Amazon Connectと連携してリアルタイムの通話分析と、分析結果に付随したエージェント支援を行うことができます。

主な特徴として、以下のような機能があります。

  • 通話のリアルタイム文字起こし
  • 生成AIを利用した通話内容の要約生成(標準では英語で生成されるため、バーチャレクスの独自機能として日本語での生成機能を追加。詳しくは後述
  • 会話内容に応じたナレッジのレコメンド・トーク例の表示ができるエージェント支援
  • 通話内容のリアルタイム分析(感情分析・カテゴリの分類・キーワードやNGワードの検出)

これらの機能を組み合わせることで、通話中のオペレーター支援やSVによるリアルタイムモニタリング、通話後の業務効率化などを実現できます。

 

LCAの画面イメージ

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LCAのアーキテクチャ図(概要レベル)

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LCAの全機能とAmazon Connect標準機能の比較

Amazon Connectには通話分析・エージェントアシスト機能としてContact Lens、Q in Connectなどが提供されていますが、LCAを利用することで、日本語での要約生成といった便利な追加機能付きでオペレーター支援系の機能を利用できます。

機能

機能概要

LCA

Contact Lens

Q in Connect

リアルタイム文字起こし

通話中の発話内容をテキスト化してリアルタイム表示する

(手動更新)

×

通話要約

通話終了後に会話内容を要約として自動生成する

〇(日本語対応はバーチャレクス独自機能)

△(日本語未対応)

△(日本語未対応)

エージェントアシスト

会話内容を基にナレッジや応対例を提示する

×

リアルタイム翻訳

通話音声をリアルタイムで翻訳する

×

×

カテゴリ
自動付与

通話内容を分析し問い合わせカテゴリを自動分類

〇 ※

×

キーワード検知

NGワードや特定キーワードを検知しアラート表示

〇 ※

×

感情分析

顧客の発話内容から感情傾向を分析

〇 ※

×

ボイスボットとの連携

ボイスボットが対応した内容を要約してオペレーターに連携する

〇(バーチャレクス独自機能)

×

×

エージェントワークスペース統合

オペレーターが顧客対応の際に使用する「エージェントワークスペース」で利用する

〇(バーチャレクス独自機能)

△(一部機能のみ)

※Contact Lensと同等の分析基盤を利用。

 

例えばContact Lensでは、通話の文字起こしを確認する際に画面更新が必要となりますが、LCAではリアルタイムに文字起こしが自動表示されるため、SVが複数通話を同時にモニタリングしやすくなります。

また、生成AIを活用した要約生成やエージェント支援機能を組み合わせることで、通話後業務の効率化や応対品質の平準化にもつながります。

 

LCAが解決する業務課題の例

LCAを導入することで、冒頭に例示したコンタクトセンターの課題に対する解決策を講じられます。

①SVエスカレーションの削減

問い合わせ対応では、オペレーターが回答に自信を持てない場合にSVへ確認を行うケースがあります。
LCAのエージェント支援機能を活用することで、FAQやAIが提案する顧客対応例を参照しながら対応できるため、「念のため」とSVにエスカレーションする回数を減らすことにつながります。

 

②リアルタイムモニタリング

SVがオペレーターの通話の文字起こしをリアルタイムにモニタリングできます。LCAの画面を複数同時に表示することで、複数の通話を同時にモニタリングすることも可能です。

NGワードや特定キーワードを検知するルールを設定すると、検知と同時にアラート表示になるため、問題が発生している通話を早期に把握することもできます。

アラート表示の様子

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③通話後業務(ACW)の効率化

通話終了後に応対内容の要約をCRMなどに記録する場合、LCAの要約生成機能を活用することで、要約作成の時間を短縮し、ACWの効率化が期待できます。

要約文の作成は得意な人と苦手な人で品質の差が出やすい業務です。AIが下書きを作成することで、要約の作成に苦手意識を持つオペレーターの業務負担を軽くできます。また、要約文の品質も平準化できます。

 

バーチャレクスによるLCAのカスタマイズ内容

LCAはGitHubで公開されているソリューションですが、そのまま利用する場合にはいくつかの課題があります。

例えば次のような点です。

  • UIが英語で提供されている
  • 日本語環境での利用検証が必要
  • 導入時のアーキテクチャ理解や運用設計が必要(Amazon Connect以外のリソースの設計・管理が必要)

特に日本語での利用については、文字起こしや要約生成などの機能が実際のコンタクトセンター業務でどの程度利用できるかを事前に検証する必要があるため、PoC(概念実証)から始めるケースも少なくありません。

バーチャレクスでは、Amazon Connectを活用したコンタクトセンター構築の経験をもとに、日本語環境でLCAを活用するための導入支援サービスを提供しています。


主な独自カスタマイズの内容は次の通りです。

 

①日本語環境での利用に対応

LCAのUIだけでなく、要約生成などの機能も含めて、日本語で利用できるように構成しています。
社内での検証を通じて、日本語環境で利用可能な機能や注意点について整理しているため、PoCを実施せずに導入検討を進めることも可能です。

 

②Amazon Connectエージェントワークスペースへの統合

LCAの画面は、Amazon Connectのエージェントワークスペースのパネルとして表示できます。コールが着信すると、自動的にそのコンタクトの分析画面が表示されます。

これにより、オペレーターは通話対応中に別画面を開くことなくLCAの機能を利用できます。ソフトフォンの操作、
LCAの機能の利用、ナレッジドキュメントの参照などがエージェントワークスペースに集約されるため、オペレーターが顧客対応中にスムーズに操作できます。

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③Amazon Connectで作成するボイスボットとの連携

Amazon Connectのボイスボットと連携することで、ボットが一次対応した内容をオペレーターに引き継ぐ前に表示することも可能です。これにより、オペレーターは顧客がどのような問い合わせをしていたのかを事前に把握した状態で応対を開始できます。 

 

    まとめ

    Live Call Analytics(LCA)は、Amazon Connectの通話データをリアルタイムに分析し、文字起こしや要約生成、エージェント支援などを実現するソリューションです。

    Amazon Connect標準機能でも通話分析は可能ですが、LCAを組み合わせることでリアルタイム文字起こしや生成AIを活用した応対支援など、より柔軟な活用が可能になります。一方、LCAはGitHubで公開されているソリューションであるため、日本語環境での利用や運用設計には一定の知識が必要になる点は注意が必要です。

    Amazon Connectの通話分析をさらに高度に活用したい場合には、LCAの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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    バーチャレクス・コンサルティングは、Amazon Connectの導入・構築支援にとどまらず、運用設計や定着支援まで含めたトータルサポートを提供しています。また、Amazon Connectを中核としたコンタクトセンター基盤だけでなく、周辺システムを含めた幅広いAWS環境の設計・構築にも対応可能です。

    さらに、長年にわたり顧客接点領域に携わってきた知見をもとに、AI・生成AIの研究および社会実装にも注力しています。実際のコンタクトセンター運用を見据えたAI活用を検討している点も、バーチャレクス・コンサルティングの特徴の一つです。

    コンタクトセンターのクラウド化や、Amazon Connectの活用、AIを用いた業務高度化に関心をお持ちの方は、現状の課題整理からご支援可能です。まずは貴社状況のご相談から、お気軽にお問い合わせください。 vs_toiawase.png

    執筆者紹介

    バーチャレクス・コンサルティング株式会社
    プロダクトエンジニアリング&サービス部
    北村 紫織(きたむら しおり)
    2017年新卒入社。自社CRMソフトウェア「inspirX(インスピーリ)」導入案件の経験を経て、自社クラウドサービスCRMソフトウェアのvirtualex iXClouZ、AWSクラウドサービスAmazon Connect、Amazon Connectをベースとした自社独自開発のConnectrekの導入プロジェクトおよびサービス企画に参画。

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