バーチャレクス・グループは2024年6月に創業25周年を迎えた。
現バーチャレクス・ホールディングスの代表取締役社長、丸山栄樹が外資系コンサルティング会社出身だったことから、コンサルティング事業からスタートした企業である。
誰もが知る大手小売りメーカーのEC事業とコールセンターの立ち上げ計画・業務設計、その後の運営まで関わることになったことが飛躍のきっかけであった。
現在、グループの主力製品であるコールセンターCRM「inspirX(以下、インスピーリ)」誕生は、この大手小売りメーカーのコールセンター構築案件の経験が大きく寄与している。当グループ25周年を記念して、その歴史の一端を支えた自社開発CRMについて2回にわたり、記事を掲載しようと考えている。
第1回は、なぜコールセンターのシステム、それもCRMを開発するまでに至ったのか、そして、その開発コンセプトについて考察したい。
自社でのコールセンターCRMシステム開発とその背景
1999年から2000年前半にかけて、インターネットが普及したことから、国内でもコールセンターの立ち上げが相次いだ。
バーチャレクス・ホールディングスの前身である「株式会社バーチャレクス(現バーチャレクス・コンサルティング株式会社、以下バーチャレクス)」は、当時からコールセンターの立ち上げ、システム導入、アウトソーシングの提供まで一気通貫でサービスを提供していた。前述の大手の小売メーカーもクライアントの一社で、コールセンター開設にあたり、顧客の情報やコンタクト履歴を管理するツールとして、国産製品を希望していた。バーチャレクスでは、さまざまな製品を検討したものの、なかなか要件を満たすツールがない。
そこで、ないのであれば、作ってしまおうということで自社開発したツールが、のちの「インスピーリ」となる。
当時はコールセンター黎明期で、多くの企業のセンター運営を開始し、そこで利用するCRMを探していたことから、作ったシステムを転用していこうということになり、2001年から2002年にかけて製品化に至る。
そういう意味では、すでに製品化されて20数年経っているわけであり、インスピーリは、国産製品の中では草分け的な存在である。まさにコールセンター運営の現場で生まれた「コールセンターのためのCRM(顧客応対履歴管理)のソフト」だ。
インスピーリの開発コンセプトについて
ユーザーにとって優しい仕組みを開発
現場由来のソフトウェアだけに、開発に際し、最重要視しているのはコールセンター現場の声である。バーチャレクスでは、アウトソーシングサービスも提供しているため、自社でコールセンターも運営している。システム側では、コールセンター部門に定期的にヒヤリングを行い、現場からの声を活用して開発を行っている。
それ故に、コールセンター現場での使い勝手や画面の操作性、オペレーター支援系の機能は充実しており、他社製品との差別化のポイントであるのではないかと自負している。ユーザー目線で、ユーザーにとって優しい仕組みを開発することを意識しており、業務負荷の軽減というところに寄与するシステム作りを目指している。
操作性や分かり易いユーザーインターフェイスで業務効率化に貢献
例えば画面の操作性の良さや、シンプルなUIなどは、非常に意識しているポイントだ。オペレーターは日々、電話対応しながら難しい質問を受け、できるだけその場で解決しようと努めている。瞬間的にナレッジの確認や、顧客とのやり取りを入力するなど、パソコンの操作も非常に煩雑になることが多い。そこで、業務の負荷を軽減するよう、操作性やユーザーインターフェイス(以下、UI)の使い勝手を追及している。
現場にとってKPIの達成度は重要だ。応対率、一時完結率、対応品質、顧客満足度などの向上や、平均応答速度、平均通話時間、後処理時間などの短縮など、あらゆる面で現場に貢献できるシステムを心がけて開発している。
オペレーター支援機能、コールセンター内でのコミュニケーションを円滑にするような機能が充実
コールセンター運営の知見から、オペレーターを支援する機能、センター内コミュニケーションを円滑にするような機能もまた充実している。チャットや掲示板の機能、センター内に緊急度の高い要件を一斉通知するメガホン機能などがそれである。CRMにこれらが標準機能としてあるので、他のコミュニケーションツールの導入せずにセンター内のコミュニケーションが円滑になるということが利点である。
稼働中、オペレーターは孤独になりがちな面があり、コールセンター内でのオペレーター同士の連携、情報の共有は、業務効率化のポイントだ。単にコンタクト履歴を入力するだけでなく、そういった周辺の業務をシステムで支援し、機能も一つに集約させたいという開発コンセプトがあり、オペレーションプラスアルファの業務の部分でも充実した機能提供をしていきたいと考えている。
カスタマイズの際、コールセンターを熟知したエンジニアからの提案が大きな武器に
一方、実際に利活用されているクライアントの評価として、カスタマイズ性や拡張性が導入の決め手になったケースも多い。各々のコールセンター、カスタマーサポート業務にシステムがフィットし、使いやすさというところで、機能面をとがらせている。
無論パッケージの標準機能だけで、通常のコールセンター業務を遂行することは可能であるが、クライアント毎にご要望も上がってくるので、その際はエンジニアが対応し、カスタマイズしていく。バーチャレクスのエンジニアは、コールセンターでのCRM導入経験が豊富なため、単にクライアント様に言われたことをそのまま形にするのではなく、提案型の要件定義、クライアントが本当に実現したいことを引き出しながら、システムを構築していくことが強みでもある。言われたことに対して全く異なる手法で構築するケースもあり、「真の目的」に対して、最も適切な手法を提案していく。基本的に、クライアントがシステム構築に精通しているケースは多くなく、「こんな機能が欲しい」となんとなく言われた際に、そのまま実装することは正解と言えない。そういう意味では、カスタマイズを手掛けるエンジニアが、コールセンターの現場を知っている、業務を熟知しているということは、大きな武器になっている。
もともとコンサルティング事業からスタートしたため、システムのみならず、コールセンター立ち上げから運用まで多くの知見を持っている社員も多く、個別にコールセンターが抱えている問題や必要とする機能、要件の違いも把握している。そういうケースにカスタマイズ対応しつつ、その部分をバーチャレクスのナレッジとして蓄積し、汎用的にできないかを都度検討しながら製品機能に取り込んでいる。
直感的な画面UI、1画面で業務に必要な情報をすべて把握できるのが特徴
直近のバージョンアップでは、画面UIについて大幅なリニューアルをしている。これまで画面の分割が2列表示だったが、更に3列レイアウトも選択できるようになっている。基本的に1画面で業務が完結するというコンセプトだ。
これまでは右が入力画面、左が顧客情報という2列レイアウトだったが、求められる情報や連携システムが増えてきたことから、顧客情報、入力画面、参照画面の3列レイアウトに、ユーザー自身で選択できるようになった。
また、外部サイトのアイフレーム埋め込み表示にも対応しているため、チャットの履歴など、外部システムとの連携データをそのままインスピーリの画面でシームレスに表示することが可能だ。
少しでもオペレーターの負荷を軽減できるよう設計した結果であるが、「使いやすい」とクライアントからの評価も上々である。
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次回は、コールセンター運営経験のあるバーチャレクスで開発したCRMの優位性、そして、CRMを軸とした今後のソリューション展開について考察する予定だ。
バーチャレクスでは、コンタクトセンター、カスタマーサポート向けのITソリューションのほか、CXやDX支援、AIや自動化支援、アウトソーシングなど幅広いサービスの提供を行っております。何かお困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。