カスタマーサクセス「聞いたことがない」86.3%、国内での普及はいよいよこれから

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 サブスクリプションビジネスの普及により、ここ最近よく耳にするようになったと感じる「カスタマーサクセス」というワード。国内においてもカスタマーサクセス概念の定着、浸透が進んできているのでしょうか。


 先だって全国の20歳から65歳の有職者26,296人を対象に行われた「カスタマーサクセスに関する調査」(*1)によると、「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがありますか?」という質問に対し、「聞いたことがある」と回答した人は13.7%の3,603人、対して「聞全国の20歳から65歳の有職者26,296人を対象にいたことがない」と答えた人は86.3%の22,693人にのぼる結果となりました。


 「カスタマーサクセスという言葉を聞いたことがある」と回答した人の中で「カスタマーサクセスが何かを良く知っている」と答えた人はわずか793人、「少し知っている」と答えた人は2,170人で、今回の調査対象者のうち、カスタマーサクセスが何かを理解している人の割合は、全体の3.0%にとどまるという結果となりました。

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 また、カスタマーサクセスを「よく知っている」「少し知っている」人のうち、「勤務先でカスタマーサクセスに取り組んでいる部署、または担当者がある/いる」と答えた人は25.5%、「今後取り組む予定」と答えた人は16.5%でした。

CS調査#1_あなたの部署でカスタマーサクセスに取り組んでいる部署、または担当者はいますか?.jpg

 回答者の属性別で見た際に顕著だったものとして、外資系企業(*2)に勤務する人のうち、カスタマ―サクセスを「聞いたことがある」人は51%、「聞いたことがない」人は49%とほぼ半数ずつだったことに対し、国内系企業(*3)に勤務する人の認知度は「聞いたことがある」人はわずか15%、「聞いたことがない」人は85%と、大きな認知の差が見られました。また勤務先のカスタマーサクセス取り組み状況については、「取り組んでいる部署、または担当者がいる」と答えた人は、外資系企業に勤務する人の48%、日系企業に勤務する人の23%、また「取り組んでいる部署、または担当者はおらず、今後も取り組む予定はない、かつ必要性も感じていない」と答えた人は外資系企業に勤務する人の3%、日系企業に勤務する人の22%となりました。外資系企業勤務者におけるカスタマーサクセスの認知、取り組み率は高く、必要性を感じている割合も高くなっている一方で、国内系企業勤務者の中での認知は低いうえ、認知がある人の中においても必要性を感じていない割合が高い結果となり、事業形態等の条件の違いは考えられるものの、国内外でカスタマーサクセスに関する認知や取り組みに関する温度差がある現状が表れた結果と言えるでしょう。

CS調査#1_あなたの勤務先で、「カスタマーサクセス」に取り組んでいる部署、または担当者はいますか?(企業資本別).jpg

 また従業員規模別で取り組み状況を見た場合、「取り組んでいる部署、または担当者がいる」と回答した割合が44%と一番高かった人の勤務先は10,000人以上、一番低かったのは8%で10人未満の従業員数企業でした。全体的に、取り組みの進み具合や意識の高さは従業員規模数に比例しているような結果となっており、10人未満規模の企業ではリソースの問題もあることが考えられますが、半数近くの人が必要性を感じていないと回答していました。反対に、従業員規模が大きくなるほど、カスタマーサクセスの必要性を感じている企業が多いことがわかります。

CS調査#1_あなたの勤務先で、「カスタマーサクセス」に取り組んでいる部署、または担当者はいますか?(企業従業員数別).jpg
 米国ではビジネスSNSのLinkedInが昨年初めに発表した「2018年最も将来性のある仕事ベスト20 (*4)」、そして今年の初めに発表した「2019年最も将来性のある仕事ベスト15 (*5)」のいずれにも、「カスタマーサクセスマネージャー」職がランクインしており、求められるスキル(マネジメント、セールス、カスタマーサービス、リーダーシップ、CRM)や報酬が高く、人気の職種になっています。

 日本においてはキーワード検索数やヒット数が増加しつつあるものの、職種においてはその定義が企業によってまちまちで、これまでのお客様サポート職や営業職などに対しても語感の良さだけで「カスタマーサクセス職」と打ち出しているケースも多く見られます。カスタマーサクセスとは職種である前に、これからの時代に必要な経営哲学であるという事をきちんと理解し、自社におけるカスタマーサクセスとはどうあるべきかを正しく整理することが先決なのではないでしょうか。

 昨年2018年は「カスタマーサクセス元年」という声が良く聞かれた一年ではありましたが、今回の調査においては全体のわずか3%の人しかカスタマーサクセスを理解していなかったという結果となりました。しかし、すでに取り組みが進んでいる企業も多く見られるため、今年以降国内におけるカスタマーサクセスの本格的な広がりが期待されます。日本国内では多くの企業が「サブスク型」に事業を転換しつつあるこの状況が落ち着いた頃に、サブスクビジネスと切っても切り離せないカスタマーサクセスの重要性が、初めて正しく認識されるのかもしれません。

(*1)【調査実施概要】「カスタマーサクセスに関する調査」

・調査方法  :インターネットアンケート

・調査実施期間:2019年3月20日~2019年3月21日

・対象地域  :全国

・対象者   :20歳~65歳の有職者(パート・アルバイト、専業主婦・主夫、学生を除く)26,296人

・調査実施  :バーチャレクス・コンサルティングおよびアイティクラウド

(*2)「外国法人もしくは外国人の出資あり、その比率は100%」「外国法人もしくは外国人の出資あり、その割合は100%ではないが1/3以上」
(*3)「外国法人もしくは外国人の出資はない。日本法人もしくは日本人の出資が100%」「外国法人もしくは外国人の出資があり、その割合は1/3未満」
(*4)The 20 Most Promising Jobs of 2018
(*5) LinkedIn's Most Promising Jobs of 2019

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