ソーシャルメディアキャンペーン6つの"型"と企画立案のフレームワーク (後編)

20161025_2_eyecatch.jpg(本記事は、前編記事「ソーシャルメディアキャンペーン6つの"型"と企画立案のフレームワーク (前編)」の続きです)

前回は、ソーシャルメディアを活用した企業マーケティングにおける認知獲得の現状を、各社のキャンペーン事例に触れつつ振り返りました。今回は、これを踏まえ、実際に認知獲得施策を企画・立案するうえでのフレームワークについて整理していきたいと思います。

参加型キャンペーン検討のフレームワークとは?

上記したように、参加型キャンペーンにはいくつかの"型"があります(そしてこれからもどんどん新しい型が出てくると思われます)。では、これらの型を理解したうえで、その企画に際し、具体的にどういった内容を検討すると良いのでしょうか。やや一般的ではありますが、以下にソーシャルメディアを活用したキャンペーンの企画・検討する際のポイントを5W1Hに当てはめ取り纏めてみたいと思います(共有・拡散を通じた認知獲得という目的=Whyは除きます)。尚、下記は特に検討の順序性を定めるものではありません。企業個社により状況は様々であり、検討の与件・制約が定まっているケースもあると思います。ただ、やはりまずは「Who」の検討から始めることを推奨します。

Who:対象セグメントを明確にする

消費者とファンは、企業に対する熱量が異なります。ファンの間で共有・拡散される企画で良いのか、それよりも広く、消費者を巻き込んだ企画にしたいのか、その範囲を明確にする必要があります。最も、企画展開を通した情報の拡散自体は、企業側で制御することは非常に難しいと言えます。「想定以上に拡散した」という誤算が良くも悪くも発生する可能性も高いのがソーシャルメディアの特性の一つとも言えます。そのため、どちらかと言うと、どこまで情報を限定したいか、企画・情報にリーチできる人に特別感を演出したいかを検討すると良いでしょう。

What:喚起対象感情を意識する

消費者やファンは、程度の差こそあれ、何らか琴線に触れ、心動かされた場合に知人と共有したい(=拡散したい)と思うものです。従って、キャンペーンにおいて、どのような感情を喚起したいのかを考えると良いでしょう。言い換えれば、思いついた企画が何らかの感情を喚起できる内容になっているか、判定することが望ましいと言えます。喚起したい感情の一例としては、面白い/楽しい、社会の役に立っている、懐かしい、感動した、有用/有益である、驚いた等々があります。これらのうちのどれか、または複数に訴求できる企画内容であるなら、成果が期待できます。

When:実施タイミングを図る

キャンペーンという性質上、平常時に実施するというよりも、何らかのイベントに併せて展開されるケースが多く見受けられます。新商品/サービスのリリース時といった特定の企業イベント、バレンタインデーやクリスマスといった特定の季節性のイベント、オリンピックのような特定時期でのイベントなどに便乗させて展開することで、そのキャンペーンの位置付けや意味の「わかりやすさ」が増すため、ストーリー構築も容易になるというメリットもあります。リアルなイベントに併せて企画を考えるというアプローチも有効です。

Where:活用メディアを決める

現在日本の企業マーケティングにおいて活用されている主なソーシャルメディアとしては、Facebook、Twitterに加え、LINE、最近ではInstagramといったものが挙げられます。これらメディアの特徴を踏まえたうえで、活用メディアを決定する必要があります。

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また、ソーシャルメディアで発信したキャンペーン企画の受け皿となるオウンドメディアの準備も必要です。既存ページに流すのか、それとも新たにランディングページを作って流すのか等も併せて検討する必要があります。

なお、この後に記載している展開コンテンツの形式と活用メディアは表裏一体の検討項目であることは言わずもがなです。従って、一般論になりますが、既に活用しているメディアがあるならば、そのメディアが得意なタイプのコンテンツを中心に検討することが望ましく、逆に活用したいコンテンツが見えているのであればそのコンテンツを得意とするメディアを中心に検討することが望ましいと言えます。

How:展開コンテンツの形式を考える

オンライン上で発信できるコンテンツ形式として、従来のテキストや写真・画像に加え、昨今では動画やVR/AR、ゲーミフィケーション的要素を加味したモノなど多岐に渡る選択肢が提供されています。テキストは、最も馴染みのあるコンテンツ形式ですが、ストーリーを伝えるためには時間をかけて読んでもらう必要があるというデメリットがあります。その点、写真・画像には、説明不要の訴求力があるといえますが、詳細やストーリーへの理解は受け手任せにならざるをえないという難しさもあります。動画は、これら両方の良さを有していますが、作成のハードルが高いと言えます。VR/ARやゲーミフィケーションを組み入れたコンテンツについては、先進的で面白いモノを生み出せる可能性を秘めていますが、技術的に導入できる企業は限られているのが実情でしょう。このように、それぞれのコンテンツ形式には一長一短があるため、上記活用メディアの検討と整合を取りつつ考えたいところです。

なお、展開コンテンツの形式という意味では、プレゼントやポイントの付与等参加インセンティブの提供も必要に応じ検討すると良いでしょう。当然、参加すること自体にインセンティブが働く企画の方が低コストで済むわけですが、どうしても拡散させたい企画の場合はそれなりの仕掛けが必要であり、企画の成功確度を高める上でも有効と言えます。

終わりに

マスマーケティング時代には資金力がなく、世の中に存在を伝えるための打ち手が限られてきた企業にとって、ソーシャルメディアは強い武器となります。

しかし、実際の展開・運用に際しては、企画力と継続力が問われることとなり、また、炎上リスクへの備えも必要不可欠です。

加えて、新たなサービスがどんどん世にリリースされていくことは間違いなく、それを支えるテクノロジーの変化のスピードにもついていく必要があります。Wikipediaによると、「Social Media」という言葉が英Wikipediaに始めて登場したのが、2006年7月。今から10年前です。これからの10年で更にどのような変革を遂げるのか、その把握だけでもなかなかに大変です。以前、「コールセンター向け顧客対応チャットボット導入検討時のポイント」にて、ソーシャルでのやり取りなどにチャットボットが活用されていることに触れました。SFに出てくるロボットのように、自動的に人間との会話を成立させる事例が増えつつあるということでしたが、周辺テクノロジーとの連携含め、劇的な変化を遂げていくことは間違いないでしょう。

こういった壁を乗り越え、消費者・ファンを飽きさせず、関係性を維持し続ける。まさに「言うは易し行うは難し」の命題ではありますが、だからこそ面白い、挑みがいがあるとも言えるのではないでしょうか。

弊社ではソーシャルメディアの活用を含むデジタルマーケティングやCRM領域のコンサルテーション、各種関連ツールの導入支援などを行っております。どうぞお気軽にお問合せ下さい。 


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