ソーシャルメディアキャンペーン6つの"型"と企画立案のフレームワーク(前編)

20161025_eyecatch.jpg企業マーケティングにおいては、ターゲットからの認知・興味を獲得するため、様々な手法が駆使されてきました。この認知獲得手段のうち、最も効果的と言われているのが「口コミ」です。昨今では、アマゾンなどのECサイトを始め、様々なサイトでこれまでの閲覧履歴や購入履歴の分析結果から、自動的に"レコメンデーション"されるのが一般的ですが、こういった無機的な推奨よりも、身近な信頼のおける知人から推奨されるほうが、圧倒的に影響力が強いのではないかということは、容易に想像できます。

ソーシャルメディアの登場が、この「口コミ」による認知獲得という手法に大きな変化をもたらしたことは周知の事実かと思います。これまで基本的にリアルな場でしか受発信されることがなかったこの「口コミ」が時間と空間の制約を超えて一瞬で広がる。ソーシャルメディアを上手く活用すれば、安価・迅速に、そして効果的に一定の認知獲得が可能となったわけです。

今回は、このソーシャルメディアを活用した企業マーケティングにおける認知獲得の現状を、各社のキャンペーン事例に触れつつ振り返ります。そして、これを踏まえ、実際に認知獲得施策を企画・立案するうえでのフレームワークについて整理していきたいと思います。

ソーシャルメディアを活用した認知獲得方法とは?

以前「"真のファン"化を促すロイヤリティプログラム導入のポイント」で、真のファンになってもらうためには「企業やブランドに強い愛着心を持ってもらうこと、そしてその愛着心から購買行動を起こしてもらえることが重要」と言及しました。CRMの根本となる考え方ですが、この「愛着心」を育むその第一歩が、一般消費者に認知してもらうことに他なりません。知られなければ何も始まりません。ソーシャルメディアを通し、消費者やファンの反応を喚起する情報を発信することができれば、その情報がメディアを介して共有・拡散され、その結果、一定の認知獲得につなげることができます。各企業もこれを狙い、日々多くのキャンペーンを展開しています。

数あるソーシャルメディアキャンペーンの中でも「参加型キャンペーン」は、共有・拡散を通し、認知を獲得できる可能性が高いと言われています。「参加型キャンペーン」とは、企業側からの一方的なキャンペーン通知を受け取るだけといった従来の手法から脱し、企業側の投げかけに対しユーザーが反応することで成立する、つまりユーザーの参加を前提としたキャンペーンを言います。では「参加型キャンペーン」にはどのようなものがあるでしょうか。各社の事例を元に、整理・分類してみましょう。

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1. 単純参加型

企業のキャンペーン企画に、消費者やファンが個別に単独で参加する、最も一般的なタイプのキャンペーンと言えます。最近では、ソフトバンクの「ケータイ代一生分無料キャンペーン」が多くの関心を集めたのではないでしょうか。FacebookとTwitterを活用し、拡散。ケータイ代一生分無料相当の商品券(5,188,000円)を1名に、1,000円分商品券を1,000名にプレゼントするという企画で、最終的に42万名以上の応募があったそうです。

2. 共創型

消費者やファンの参加・投稿を受け、企業が商品/サービスなどを開発するもので、サッポロビールでは、ユーザーと共同で新しいビールを開発する「百人ビール・ラボ」プロジェクトの第5弾を2015年6月1日より開始しています。ビールを飲む人が思わず笑顔になるようにと思いを込めた「日本一笑顔になれるビール」を開発する百人ビール・ラボ社を設立し、ユーザーとサッポロが一緒にソーシャルで意見を出し合いながら、新しいビール開発を行うという企画です。ユーザーとの共創を軸に2011年から継続・発展しており、今後の広がりも楽しみな企画です(専用ページに加え、主にFacebookを活用)。

3. 競争型

企業のキャンペーン企画に、消費者やファンが参加し、他の消費者やファンとトップを競うもので、昨年コカ・コーラが展開した「ハロウィンダンスコンテスト」が一例です。動画コミュニティである「MixChannel(ミックスチャンネル)」とタイアップし、TVCMできゃりーぱみゅぱみゅが踊るダンスを真似した動画を募集。MixChannelアプリでの再生回数やLike数、Twitterのリツイートなどを含め総合的に審査、優秀作品には限定発売のハロウィンキャラクターパーカーなどがプレゼントされるという内容でした。

4. 共闘型

企業のキャンペーン企画に、消費者やファンがチームを組んで挑むもので、少し前になりますが、2013年に楽天が展開した「ソーシャルビールかけ」が好例です。楽天イーグルスが初のリーグ優勝秒読み段階を迎え、その応援キャンペーンとして、"ソーシャルビールかけ"ができる特設サイト「楽勝スタジアム」をオープン。FacebookかTwitterでログインし、ページに表示されるビール瓶(未成年ユーザーの場合、サイダー)のイラストを指でスワイプすると、全国の参加者による「シャカシャカ」回数がリアルタイムにカウントされ、優勝時には瓶の栓が抜け、画面に映し出されたビール瓶で疑似的にビールかけができるという内容でした。なお、参加者のシャカ(ビール瓶をふること)の合計数やシェア、ツイートが増えるにつれ、楽天優勝セールで使えるクーポンの総額がランクアップする仕組みも用意され、50万人の参加、合計2億シャカ超えを達成したそうです。

5. 協働型

企業のキャンペーン企画に、消費者やファンが個人として共に挑むもので、JALの「Flight with Friendsキャンペーン」がユニークで面白い事例として挙げられます。2013年から2015年まで既に3回実施されているキャンペーンですが、パイロットになって出発地と目的地を決定し自分の飛行機に友達を集めるか、友達の飛行機に搭乗するかして、計10名が搭乗すると応募完了。抽選で当選した1機全員(10名)に、計画したフライトプランの国内往復航空券をプレゼントするという内容です。今年度は、現時点でキャンペーンのお知らせは出ていませんが、今後も期待したいキャンペーンです。

6. 共有型

企業の企画に応じ、消費者やファンが各々のコンテンツを他者に共有するもので、この事例としては、企業とは異なりますが、高知県の「みんなでつくるInstagramフォトギャラリーWonder trip in TOUBUHAKU」があります。高知家・まるごと東部博は、「高知県東部の人のおもてなしとジオの恵みにであう旅」をコンセプトに、観光やイベント、体験、交流を楽しむ博覧会として、昨年4月から12月まで開催。このイベントのPRの一環で、季節毎のテーマに合致した写真を募集。Instagramに投稿された、東部博を訪れた際の体験が収められた写真がフォトギャラリーとして公開されていました。


後編に続きます)


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