"真のファン"化を促すロイヤリティプログラム導入のポイント

image1.jpg顧客との良好な関係性を構築・維持し、高めることは、企業として安定的に収益を確保するためには必要不可欠です。

いわゆる昔ながらのCRMの考え方そのものですが、昨今の企業マーケティング界隈においては、改めてこのCRMの重要性が再認識されつつあります。

顧客ニーズが多様化し、様々な市場で飽和化が進む中で、これまで一般的に既存顧客の維持コストの5倍程度といわれてきた新規顧客の獲得コストは更に膨張。苦労して獲得した顧客を離さず、魅了し続けることで"ファン"になってもらうこと、そして顧客生涯価値を最大化していくことが顧客戦略上の主要争点となっています。

モノからコトへと消費者の興味関心が移っていると言われるこのご時世において、製品やサービス単体でだけでなく、その周辺・付加価値においても競合他社と伍する、もしくはそれ以上の魅力を提供する必要があります。

今回は、ファン化を促すためのロイヤリティプログラム導入のポイントについて、各社の事例を見ながら考察してみたいと思います。

真のファン=強い愛着心があり、積極的に購買行動実績がある顧客

まず、特定の企業やブランドの「真のファン」とはどういう顧客のことを言うのかを改めて考えます。

特定の企業やブランドに強い愛着を持ち他に興味・関心を示さず、そして製品・サービスを長期に渡り購入・利用してくれている顧客と言えます。

ここでのポイントは、愛着心が購買行動に直結していることです。一般的にファンの定義というと、前者のみで捉えられがちです。しかし、企業・ブランドの命題である売上・利益を生むうえでは、両方を満たす、いわば真のファンを如何に増やせるかが重要です。

つまり、ファン化の取組とは、一般消費者というステータスから、真のファンになってもらうまでのアプローチを指し、

・どれだけ好きになってもらえるか

そして

・どれだけ購買行動を起こしてもらえるか

という2つのチャレンジに挑み続けることと言えます。

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ロイヤリティプログラムの概要と歴史

ファン化を促進するための取組みといえば、ANAなど航空会社のマイレージプログラムや小売店でのフリークエントショッパープログラムなどが一例として想起されるでしょう。

これらは、総称して、ロイヤリティプログラムと呼ばれ、一定期間忠実に愛用してくれた・購入してくれた顧客に対し、特別なサービスを提供する会員制度全般を意味します。

クレジットカード各社の特典や、Tポイントやスタバのスター(ポイント)など購入実績に応じ、換金性のあるポイントを付与するポイントプログラムも、その目的から広義の意味でロイヤリティプログラムと言えます。

最近では、バーニーズニューヨークやベイクルーズ(アパレル)、エクスペディア(旅行)、コカ・コーラ(飲料)、資生堂エリクシール(化粧品)等々で導入・展開されています。 ちなみに、ロイヤリティプログラムのルーツは、1981年にアメリカン航空が始めた「アドバンテージ・プログラム」だと言われています。

1970年台後半、米国政府の航空自由化政策により、米航空業界への新規参入が相次ぎ、アメリカン航空を始めとした既存航空会社の業績が悪化。「アドバンテージ・プログラム」はこの窮状を打破するための起死回生の一手でした。

これが見事にあたり、導入1年で100万人の会員獲得に成功。その動きをみたユナイテッド航空など同業他社がこぞって導入を進め、それ以降小売業界等に波及していきました。

ロイヤリティプログラム導入の際のポイント

このようにして生まれ、展開されてきたロイヤリティプログラムですが、各社事例を踏まえ、新たに導入するに際してのポイントを「プログラム内容面」と「プログラム運営面」から整理してみます。

<プログラム内容面>

心理と行動両方に訴求できる恩恵・特典を提供すること

ソフトベネフィット(コンシェルジュサービス、プレミアムイベントご招待など非金銭的特権)を提供することで特別感を演出し、ハードベネフィット(ポイント付与、景品や値引き、クーポンなど金銭的還元)を提供することで購買意欲を刺激する。

つまり、顧客が各々「自分は他の人より特別に扱われている、もてなされている」という感覚を喚起させつつ購買につなげられるサービスを提供することが望ましいと言えます。

なお、具体的な恩恵・特典を検討する際には、

・日頃の不満・不安を解消する経験(マイナスをゼロに)
・驚きや感動を与える経験(ゼロをプラスに)

を意識的に区別してそれぞれ考えると良いでしょう。

とにかくわかりやすいこと

どれだけ素晴らしい恩恵・特典が用意されていても、それを享受できるのかが不明確だったり、手続きが煩雑だとすると、そもそも利用されません。そして利用されなければ、当然ファン化は促進されません(場合によっては、マイナスに働くリスクもあります)。

どういう状態であれば、どういう恩恵・特典がどうすれば得られるのか。

真のファンになってもらうこと、真のファンで居続けてもらうことが目的である以上、シンプルで顧客にとってわかりやすいことが重要です。

<プログラム運営面>

ファンの状態を定量把握すること 

上記のとおり、顧客のファン化度合いを把握するためには、心理面と行動面の両方をおさえる必要があります。

前者については、NPS(Net Promoter Scoreなど)もしくはその近似値としてのCS(顧客満足度)、後者については購買実績・Webへのアクセス実績などがそのインプットとなります。

顧客・会員ごとに、これらインプット情報を管理・分析する(そして施策に活かす)ことが重要です。従って、NPSやCS、購買・サービス利用実績を顧客・会員情報に紐づけて管理する仕組みが必要不可欠です。

コストを意識すること

冒頭新規顧客の獲得費用に比べ既存顧客の維持費用は5分の一程度と述べましたが、当然ゼロではありません。クーポンや割引は販促費として、ポイントの付与は貸倒引当金として費用計上されます。イベントを開催するにもそれなりにコストがかかります(規模にもよりますが)。上記プログラムを検討する際には、しっかりと試算をした上で、実現可能性の検証をすべきです。

ポイント付与については特に注意が必要です。ユニクロやミスタードーナツのように、コストを理由にプログラムを廃止・縮小する企業も少なくありません。プログラム参加者のターゲットや増加見込みを考慮しつつ、設計することが必要です。

おわりに

ここまでロイヤリティプログラムの概況から、それを踏まえた導入検討時のポイントについて触れてきました。ロイヤリティプログラムを始めとした顧客ロイヤリティ向上を目的とした取組みは、益々企業にとって避けて通れないものになっていくと想定されます。しかし、ロイヤリティプログラムなどにより提供される価値は、基本的には商品・サービスの付帯価値であることを忘れてはなりません。ファン化の目的は製品・サービスの反復購入・長期利用の促進であるため、そもそもの製品・サービス自体が優れたものでなければ、極論どんな顧客ロイヤリティ向上施策も無意味です。

主としての商品・サービスの価値を高めつつ、従としてのロイヤリティプログラム等の施策展開を進める。

この合わせ技が、これから企業が生き残る成功の条件と言えるのではないでしょうか。

弊社ではロイヤリティプログラムを含むマーケティングやCRM領域のコンサルテーション、各種関連ツールの導入支援などを行っております。どうぞお気軽にお問合せ下さい。

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