コンタクトセンターのトレンド 2015年版

ID-10085528.jpgテクノロジーの発達はコンタクトセンターにどのような変化をもたらすのか?

そんな疑問を解決すべく、今回はコンタクトセンターソリューションを提供するInteractive Intelligence Inc.が2015年年初に開催したウェビナー「コンタクトセンターの今年最も旬なトレンド」の内容を参考にしつつ、「今年はコレが来る!!」というトレンドワードを探ってみたいと思います。

1.顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)

何を今さら・・・、と思う位、これまでも再三取り上げられてきたテーマですが、 当日ゲストスピーカーで参加していたForrester者のJacobs氏は、急速なモバイル化やソーシャルメディア等、これまでの概念を覆す新たな技術を用いたコミュニケーション手法の発達により、2015年は主導権を増した購買者が「ワンランク上の顧客サービスを要求するようになる、 "顧客中心時代" の幕開けの年になる、と話しています。

実際、日本の各種メディアを見ていても、多くの企業、マーケティングサービス事業者がビジネス戦略における顧客体験の重要性を認識しているように映ります。

現在は多くの企業が顧客体験を業績に結びつける方法を日々模索している最中かと思います。 Jacobs氏は、今時点でこれに成功している企業を全体の25%程度だと言っていました。日本ではどの位の企業が成功している、と言えるでしょうか?

Jacobs氏の発言を受け、Interactive IntelligenceのPassios氏は、顧客体験の質を向上させるための施策をいくつか紹介していました。

・ダイナミック IVR・・・過去のコンタクト履歴(電話以外のチャネルを含む)から、IVRから発せられる音声を動的に変更し、より短時間での解決に導くソリューション。

・トークスクリプトのパーソナライズ・・・様々な顧客情報を参照可能とすることで、、顧客が全てを一から説明せずに済むようにしたり、潜在的にアップセル/クロスセルの機会を増やすことも可能。

・顧客に合わせたルーティング・・・顧客の趣味嗜好や振る舞いに応じて最も適したオペレータに繋ぐことで、顧客満足の向上や応対の効率化、が実現可能。

2. オムニチャネル

楽天やAmazonの「ECで買って自宅またはコンビニで受け取り」や、 KOMEHYOの「店舗&EC在庫連動&ECから最寄の店舗に取寄せ&出張買取り」などなど、様々な便利サービスが提供されている昨今、消費者は常に便利であり続けること、どんなチャネルでも常に同等、またはそれ以上のサービスが提供されることを望んでいます。

例えば、顧客は何か問題が起きたら「ググって」(Google 検索をかけて)レビューサイトなどを閲覧したり、企業のヘルプページを閲覧するかもしれません。

次はカスタマーサービスとチャットや電話などを利用するかもしれません。

こうした1人の顧客が複数のチャネルを移動する「カスタマージャーニーの複雑化」が、時代が進むに連れて起こり始めています。

これは対応が大変になる、求められる水準が上がるという企業側にとっての「ハードル」にもなり得ますが、また同時にこの「カスタマージャーニー」を記録していくことで、より最適な提案(売上に繋がるようなクロスセルやアップセル)にも繋がるかもしれませんし、顧客が満足できる対応が実現できれば、企業へのロイヤルティを高め、長く付き合っていける「お得意様」になってくれるかもしれません。

また、こうしたカスタマージャーニーの始点は「ネット」であることが多いのも、昨今の特徴と言えるでしょう。

最近はそうした動向に合わせて、電話を掛けてきた顧客が「自社サイトのどこを閲覧した上で電話を掛けてきたのか」といった情報を提供してくれるソリューションも提供され始めています。

3. クラウド

Jacobs氏はウェビナーの中で、企業は 2015年以降「コスト」よりも「 利益」の観点からクラウドに注目し始める、と予測しています。この利益追求の鍵が、アジリティ(敏捷性)とコントロールです。

企業はクラウドコンピューティング技術の導入によりビジネスを機敏に動かせ、機能性も旧来のシステムに比べてより細やかな制御が可能になります。

セキュリティ面の不安はいまだ残りますが、ウェビナーの中でもクラウドが「オンプレミスソリューションに比肩する安全性を備えている」という意見で全員一致しています。

セミナーパネリストのMcGee-Smith氏は、
"データセキュリティはビジネスの課題であってクラウドの課題ではない"という、なんとも的を得た意見を言っています。ごもっともです。

ウェビナーの中ではニーズの変化に柔軟に対応できる「融通性」も、クラウドの持つ特徴だと言及しています。拡張機能などはネットワークを通じて世界の何処からでも、いつでも追加できます。

コンタクト/コールセンターでクラウドを利用するメリットや導入前の検討事項に関しては、よろしければ以下の記事もご参照ください。

クラウド化がもたらすコンタクトセンターのコスト最適化
コンタクトセンターのクラウド化に向けて企業が考慮すべきポイント

4. モバイル

モバイルは単一のチャネルではなく、全てのチャネルに関係しています。実際米国では全ての社会人(と大部分の若者)がテキスト/ボイスメッセージ、ビデオ、チャット、ゲームなどの機能を提供するアプリケーションをダウンロードしたスマートフォンを所有しています。これらのアプリは全て、例外なく様々な顧客が利用する可能性のあるチャネルです。

Jacobs氏はコンタクトセンター責任者は、顧客の積極性に応える新たな技術の導入を推進する必要性がある、と強調しています。

例えばGoogle Nowを導入することで、一時的にサービス提供が停止してしまった場合にそのことを通知することが出来る、など斬新なアイディアも出ていました。

こうした議論の中、Passios氏は「オペレーターのモバイル化」も忘れてならない重要な課題だと指摘しています。

オペレーターがデスクから開放され、スーパーバイザーがコールモニタリングや分析をiPadで行ったり、、 モバイルツール対応への取組みは、サポートセンターがモバイル世代の顧客にとって魅力的なサービスの提供を考える良い機会にもなるでしょう。

5. ワークフォースの最適化

ビジネスのチャネルや形態が多様化するにつれ、サポートセンターの運営にもワークフォースを最適化するツールが求められてきます。

Jacobs氏はそれらのツールを3つの使用段階に分類して紹介していました。

・基礎期・・・コンタクトの質の向上やレコーディングに特化した、顧客に焦点を置くツール

・発展期・・・ワークフォースの管理、eラーニング、戦略プランなど、業務の効率化に関わるツール

・成熟期・・・調査/コンタクト分析/プログラム管理を通じて顧客体験と業務効率を評価し、カスタマーサービスの充足を図るツール

ワークフォース最適化に関し、Passios氏はワークフォース長期的予測ツールの利用が重要であること、リアルタイムのスピーチ分析は顧客体験の即時創造を可能にすると主張しました。

まとめ:

ここに挙げたトレンドワードは全て、「消費者・顧客のニーズ」を表しているように感じます。

これらのトレンドは、カスタマージャーニーや消費者の認知 → 購買 → 製品利用の各ステージのつながり、顧客の企業評価方法に対する理解を深めようとする企業の取組みの中で生まれたものとも言えるでしょう。

今後コンタクトセンターが戦略を立てる上で鍵となるコンセプトは、「顧客の手間を省くこと」ではないでしょうか?

企業は顧客が簡単にアクセスでき、且つ効率的に問題を解決できる&オペレータも効率的に対応を実施できるような新しい環境の整備を目指していくべきだと考えます。また、顧客が問題に直面したときどんなチャネルを使用しているか特定するために、企業がカスタマージャーニーを把握することも重要だと考えられます。

これらの新たなトレンドに対応するソリューション群は、顧客のことをきちんと把握し、適切に対応する手助けとなることでしょう。

※本記事は、https://www.onec1.com/ 掲載のContact Center Trends 2015 を参考に、修正&加筆したものです。

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