コンタクトセンターにおけるRPA活用事例と障壁、およびその打ち手

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コンタクトセンター業界(だけではなく日本全体)は、空前の人手不足時代に突入しています。労働人口(生産年齢人口)の減少、圧倒的売り手市場の形成、それに加え継続的に賃金が上昇し、採用・雇用維持の難易度は益々上がっています。

そのため、従来どおりの魅力的な職場づくりだけでなく、これまでとは異なる"非人的リソース"の活用が求められています。

ひとえに"非人的リソース"の活用といっても、比較的導入への障壁が低く、安価でクイックに導入できるRPA(Robotic Process Automationから、大量のデータを分析し、高度な技術・アルゴリズムが必要なAI・Cognitiveまで様々なツール・テクノロジーが溢れています。

そこで今回は、コンタクトセンターにおけるRPA活用事例とRPA活用の障壁、およびその打ち手についてご紹介いたします。

コンタクトセンターにおけるRPA活用事例

RPA導入に適した業務:作業

ヒトの作業を記憶させ、代行させることができるRPAは、以下のような特徴に該当する業務・作業に適用することで成果創出できる可能性が高いと考えられます。

反復作業 手作業が多い、人為的エラーが生じやすい、かつ週次・日次等で実行される作業
ルールベース 作業手順が明確であり、標準化されたルールに基づき意思決定がなされる作業。原則、文書化が可能なものは、自動化が可能。
例外の発生率が低い 複雑な条件分岐が少ない作業。
電子的な
インプット
読み込み可能で電子的なインプットがトリガーとなる作業。
ボリュームが大きい トランザクションボリュームが大きい、かつ頻度も高い作業。
利用システムの変更が不可 コスト・工数等様々な理由から、IF開発・仕様変更等、システムの変更が不可能/難しい作業。
安定的な
プロセス
十分に文書化・標準化されており、かつ安定的に作業遂行されており、業務量が予測可能で、運用コストが十分に把握されている作業。


標準的・効率的運営が求められるコンタクトセンターには、該当作業が多く存在していると考えられます。


コンタクトセンターにおけるRPA適用可能業務・作業例

コンタクトセンターの現場において、SV・管理者、オペレータの様々な業務・作業にRPAは適用可能です。


1.SV・管理者業務活用例

<運営管理>
・架電・キャンペーンリスト作成
・作業担当者割当
・コールレポートや、OP別パフォーマンスレポート等各種レポート作成(※図1)
・請求データや、オペレータの評価データ等の作成
・ホットボイス、クレーム、改善要望等特定データの抽出・加工
・二次チェック(作業結果・品質管理)


2.オペレータ業務活用例

<応対準備>
・メール、Webフォームからの問合せ内容等のシステムへの転記
・情報収集(Webクローリング)

<対応>
・応対内容に関連するQA検索
・アプリケーション横断した関連情報検索、チェック(ステータス等)

<後処理>
・応対内容登録・発注書処理等に伴う複数システムへの同一データ入力(CRM/基幹+α)(※図2)

各業務の全部、または一部をRPAによって自動化することで、処理時間短縮によるCPH向上、ならびに必要要員数削減によるコスト削減が可能となります。

(※図1)SV・管理者:レポート作成業務の自動化イメージ

【図1】コールレポートや、OP別パフォーマンスレポート等各種レポート作成

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(※図2)オペレータ:複数システムへの同一データ入力業務の自動化イメージ

【図2】応対内容登録・発注書処理等に伴う複数システムへの同一データ入力(CRM/基幹+α)

コンタクトセンターでのRPA活用の障壁と打ち手

このようにコンタクトセンターにおいて、RPAは"非人的リソース"の活用として大きな期待が寄せられます。しかし、RPAを導入・定着化していくためには、幾つか乗り越えるべき障壁があります。今回は、陥りやすい三つの障壁とそれに対する打ち手をご紹介いたします。

障壁①:自動化できる業務がない(と思い込んでいる)

⇒ まずは業務可視化・標準化を図る(≒BPR)

個々人の業務が属人化・ブラックボックス化している場合、確かに自動化は難しいものです。

しかし、いわゆるBPR(そこまで行かずとも業務整理・可視化)を行うことで、適用可否・対象範囲は自ずと見えてくるはずです。

障壁②:自動化に必要なスキルが不足している

⇒ 必要スキルを組織で"分割"し体得する

業務整理やBPRのための"コンサル力"、RPA導入のための"ITリテラシー"等の必要スキルを、一人で全て充足するのは難しいものです。

それぞれに長けた要員(もしくは可能性・やる気のある要員)が各々スキルを高め、組織として連携し活動することで解決の糸口が見えてくるのではないでしょうか。

障壁③:(スキルを持つ人がいても)自動化の余力/時間がない

⇒ (一時的にでも)他部門/外部の力を活用する

まずは、スキル保有者が活動できる余力を生み出すための"自動化"を行いましょう。

そのためには、例えば、情シス部門や外部業者を活用することも視野に入れるべきです。

そして、なによりも全社的取組みとして推進しつつも、早期に成功体験を創出することが重要です。類似業務は、(コンタクトセンター以外の)各部門でも存在している可能性があります。旗振り役(=CoE(Center Of Excellenceの略。詳細は別の機会にでも))を中心に推進スキームを構築し、全体最適を意識して進めていきましょう。


コンタクトセンターにおけるRPAの今後

まずは現場への導入と定着が喫緊のゴールになりますが、今後、コンタクトセンターの無人化・応答自動化は加速し、"AI化"によりRPAの有用性は高まっていくと想定しています。

コンタクトセンターの無人化・対応自動化は加速する "AI化"によりPRAの有用性は高まる
●Speech to Textを用いた、通話音声のテキストデータ化(その逆も然り)は実務に耐えられる制度になりつつある。

●更には、後処理ゼロ化や無人化・対応自動化ソリューションも出始めている。
<後処理ゼロ化ソリューション>
・Speech to Textで読み込んだデータの意味をAIが解釈
・CRMシステムの各項目への自動登録や、自由記述ランへの対応内容のようやく結果の自動登録を実行

<無人化・対応自動化ソリューション>
・問い合わせ内容をAIが判断し、適切に回答/処理
・AIが回答/処理できないものは、関連FAQや過去履歴と共に人間にエスカレーション

●主要RPAソリューションは、AI・Congitiveの標準具装をロードマップ上に表現している。
(例)
・RPA化すべき業務のサジェスト
・学習機能を用いた既存自動化済業務の自動高度化

●つまり、より簡単に、準提携業務や否定形業務まで、より様々な業務・作業に適用できるようになる。(左記コンタクトセンター特化型ソリューションで自動化できない領域でも適用可能と推定)

今後、ビジネスの時流に鑑みると、コンタクトセンター特化型ソリューションと、AI組み込み型RPAソリューションを併用し、"隙間なく"業務・作業を自動化していく、そしてそのために最適なソリューション選定と使いこなす人材の育成が必要不可欠となっていくと考えています。


当社においては、導入前の「自動化する業務整理」「RPA導入を含めた総合的な業務行為率化の提案」といったコンサルティングサービスから、PoC(=Proof Of Concept:実証実験)や本格導入の支援導入後の「運用・メンテナンス」の支援や、内製化のための人材育成や効果創出までの伴走支援までワンストップで提供しております。是非お気軽にお問い合せください。


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