【第2回】Connect AI agentsの機能紹介―顧客対応・オペレーター支援・AI管理機能


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Catch up! Amazon Connectは、Amazon Connect Customerの基本機能やアップデートをご紹介するシリーズです。

前回の記事ではConnect AI agentsの概要と特長、コンタクトセンターで活用するメリットをご紹介しました。今回の記事では、Connect AI agentsの機能を顧客向け(AIチャットボット)、オペレーター向け、管理者・開発者向けの3つに分けて詳しくご紹介します。

※画面キャプチャ画像内の赤枠や赤文字の書き込みは弊社による注釈です。実際のAmazon Connect Customerの画面には表示されません。また、画面やメニュー名称は執筆時点のものです。アップデートにより表示が変更される場合があります。

目次

顧客向けのAI機能

 1.AIセルフサービス

 2.人へのエスカレーション

オペレーター向けのAI機能

 3.問い合わせの主題の汲み取り・リアルタイムAIアシスト

 4.ナレッジ検索

 5.アクション実行支援

 6.LLM Tool連携

 7.AIと簡易ワークフローを活用したオペレーターへの手順の案内

管理者・開発者向けのAI機能

 8.プロンプトカスタマイズ

 9.AIガードレール

 10.APIによるAIエージェント管理

まとめ

顧客向けのAI機能

1.AIセルフサービス

AIセルフサービスは、Connect assistantを通じてAIエージェントが顧客と直接会話する機能です。音声とチャットの両方で利用でき、FAQへの回答だけでなく、顧客の問い合わせに応じて必要な処理まで進められます。

現在AWSが推奨するエージェントセルフサービスは、AIエージェントが顧客との会話を続けながら複数ステップを推論し、必要なツールを呼び出して処理を実行します。例えばホテル予約なら、予約の確認や日付変更といった会話の流れに応じて、情報検索から変更処理まで一連の対応が可能です。

従来のIVRとAIエージェントの違い

従来のIVRでは、対話のターンが増えるほど分岐も増え、フローが複雑になりがちでした。一方、AIエージェントによる対応では、フロー側にはAIエージェントとの会話ブロックを配置し、会話終了時に呼び出されたツール(完了・エスカレーション・カスタムツールなど)に応じて後続処理を分岐させるだけで済みます。AIエージェント自体の振る舞いやMCPツールの利用方法は、フローではなくAIエージェント側の設定で定義します。これにより、会話のターンごとに細かく分岐を組む必要がなくなり、顧客との会話に柔軟に対応できるようになります。

MCPツール×AIエージェントの利点

このように、会話をしながら処理を実行する仕組みを支えているのが、MCPツールによるさまざまなシステムとの連携です。AIエージェントは回答を生成するだけでなく、MCPツールを利用して、Amazon Connect Customerのコンタクト属性やケースなどの更新、Amazon Connect Customerのフローの呼び出し、Amazon Bedrock AgentCore Gatewayを経由した外部システムの情報取得・更新などを実行できます。複数の処理が必要な場合もAIエージェントが会話内容をもとに必要なツールと順番を判断します。なお、AIエージェントが利用できる
ツールはあらかじめ設定し、セキュリティプロファイルでアクセス可能な処理を制御できます。

注意点

実際の業務への適用を考えるときの重要な検討ポイントとして、従来型のAmazon Lexを利用したボットも引き続き選択肢になります。入力内容と処理が明確な定型業務ではLexが適しているケースもあるため、何でも生成AIを活用するのではなく、業務内容に応じて技術を使い分ける方が、顧客満足度の高いボットを構築できます。

AIエージェントとAmazon Lexのボットの使い分け

2.人へのエスカレーション

AIだけでは解決できない問い合わせや、人による判断が必要な問い合わせでは、有人対応へ引き継ぐことができます。

エージェントセルフサービスでは標準で「Complete(会話の解決)」と「Escalate(有人エスカレーション)」が用意されており、解決した場合は会話を終了し、有人対応が必要ならフローへ呼を戻し、オペレーターが対応できるよう、キューに転送することもできます

この機能を使うことで、例えば「住所変更はAIで完結させるが、契約変更を伴う場合はオペレーターへ転送する」といった設計ができます。AIエージェントパフォーマンスダッシュボードではハンドオフレート(AIエージェントだけで対応が完結しなかったセルフサービス問い合わせの割合)も確認できるため、「どの程度AIだけで完結しているか」を運用開始後に確認できます。

オペレーター向けのAI機能

3.問い合わせ意図の把握・リアルタイムAIアシスト

Connect AI agentsは、音声、チャット、メールなどの内容から顧客の問い合わせ意図を検出し、オペレーターに必要な情報をリアルタイムで提示できます。例えば新人オペレーターの場合、正しい情報の所在が分からず、検索時間、ひいては顧客対応時間が長くなることがあるため、リアルタイムAIアシストによる検索時間の短縮が有効です。

例えば顧客が「商品を返品したい」と話した場合、オペレーターが検索を始める前にAIが主題を検出し、返品条件や手続き方法などの回答候補を表示する、といった使い方ができます。

従来はオペレーター自身が顧客の話を聞きながら、どのマニュアルを見るか、どのキーワードで検索するかを判断する必要がありました。AIによって検索のきっかけとなる問い合わせ意図の検出を自動化できるのがポイントです。

エージェントワークスペースのリアルタイムAIアシスト画面

エージェントワークスペースで顧客の問い合わせ意図を検知し回答を生成している画面。

4.ナレッジ検索

Connect AI agentsはナレッジベース(AIの回答に利用するFAQなど)と連携し、顧客対応に必要なドキュメントや回答を検索できます。

検索ではナレッジベースを指定できるだけでなく、コンテンツタグによるフィルタ設定、取得する検索結果数の制限(検索結果が多すぎることで、AIの回答生成に時間がかかるのを防ぎます)、検索方法の設定ができます。AIが回答に利用する情報源を管理できるため、業務ごとに参照するべき書類が異なるなどの場合に、回答を制御がしやすいことがポイントです。例えば保険商品Aを扱うオペレーターには商品Aのナレッジを検索させ、別業務の情報は回答候補に含めない、といった設計ができます。

このナレッジ検索は、リアルタイムで自動表示される回答候補として使われるだけでなく、オペレーター自身が自然言語やキーワードで質問する形でも利用できます。

質問の例:住所変更するときの本人確認項目は?/この商品は途中解約できる?

業務マニュアルの検索では、正確な文書名やキーワードを知らないと目的のページへたどり着けないことがあります。自然文で知りたいことをそのまま入力できるため、検索に不慣れなオペレーターにも使いやすい機能です。

5.アクション実行支援

AIエージェントは情報を提示するだけでなく、オペレーターに代わって処理を実行することもできます。終話後の処理の一部をAIへ任せられれば、ACW短縮だけでなく、入力漏れ・処理漏れを防ぐ効果も期待できます。

例えば顧客との会話から必要な処理を判断し、顧客情報の検索や更新、ケース(問い合わせ内容の記録)の操作などを行う使い方が考えられます。Amazon Connect Customerのエージェントアシスタンスでは、Connect内だけでなくサードパーティアプリケーションの処理もAIエージェントから実行できます。

6.LLM Tool連携

LLM Toolは、AIエージェントが外部システムを操作できるようにするための仕組みです。現在のエージェントセルフサービスではMCPツールを利用でき、AIがさまざまなシステムの操作を実行できるように設定できます。これにより、AIが顧客対応中に必要なシステムの登録・変更の処理まで完了する業務フローが構築できます。

また、AIエージェントパフォーマンスダッシュボードが標準で備わっているため、ツールの呼び出し成功率だけでなく、ツール選択の適切さや、AIから各ツールに渡す情報の正確さも確認できます。

参考:AWS公式ドキュメント Amazon Connect Customer管理者ガイド AI エージェントのパフォーマンスダッシュボード

7.AIと簡易ワークフローを活用したオペレーターへの手順の案内

Connect AI agentsは、Amazon Connect Customerのステップバイステップガイド(簡易的なワークフロー機能で、オペレーターが行う処理を手順形式で画面に表示する)と組み合わせて利用できます。AIエージェントが顧客の問い合わせ意図を判断し、適切なガイドへ誘導することで、次にどの作業を行うかをオペレーターに示せます。

例えば解約についての問い合わせでは、AIが解約条件に関するナレッジを検索し、回答候補を提示します。オペレーターがその内容を顧客に説明した後、解約受付用のガイドを表示することで、手順の抜け漏れを防ぎながら解約手続きを進める、といった業務の流れが考えられます。

ステップバイステップガイドの画面

ステップバイステップガイドの画面イメージ。資料を順に示すことも、簡単な記入フォームを用意することもできます。

管理者・開発者向けのAI機能

8.プロンプトカスタマイズ

Connect AI agentsでは、AIへ与えるプロンプトをカスタマイズすることで、用途に合わせてAIの振る舞いを調整できます。例えば、オペレーター向けのチャットボットでは読みやすさを重視するために簡潔に回答する、顧客向けのAIボットであれば共感的なトーンで話す、といったように、日本語で調整可能です。

Amazon Connect Customerの管理画面から設定でき、テンプレートも用意されています。

参考:AWS公式ドキュメント Amazon Connect Customer管理者ガイド AI エージェントをカスタマイズする

9.AIガードレール

Amazon Connect CustomerのAIガードレールでは、Amazon Bedrock Guardrailsを利用して、不適切なコンテンツ、回答させたくないトピック、特定の単語、個人情報などを検出・制御できます。ブロック時に顧客へ表示するメッセージも設定できます。

例えば金融商品の問い合わせで、特定の投資判断には回答させない/個人情報が生成結果に含まれる場合はマスキングする、といった利用が考えられます。

なお、AIガードレールの設定によってはレスポンスに追加の遅延が発生する場合があります。回答の安全性と応答速度のバランスを事前に確認することが運用上のポイントになります。

10.APIによるAIエージェント管理

Connect AI agentsはAPIを使った管理にも対応しています。大規模なコンタクトセンターではAIエージェントの数やプロンプトのバージョンが増えることも想定されます。従来のシステム設定と同じように変更管理・バージョン管理・監視の対象として扱えることは、運用上のメリットになります。

参考:APIの一覧

AWS公式ドキュメント Agent Workspace Developer Guide Amazon Connect Customer agent workspace AI Agents API

まとめ

今回はConnect AI agentsの主な機能を、顧客向け、オペレーター向け、管理者・開発者向けに分けてご紹介しました。Amazon Connect CustomerのAIは、単に問い合わせに回答する生成AIにとどまらず、オペレーターの業務支援や管理・運用のしやすさまで考慮された、コンタクトセンターで使いやすいAIであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

既存のコンタクトセンターシステムへ個別にAI製品を追加する場合と比べ、顧客対応の一連の流れの中へAIを組み込みやすいことはConnect AI agentsの大きな特長です。まずはナレッジ検索やオペレーター支援から始めたり、定型的な問い合わせだけをセルフサービス化したりする、十分に検証できた処理から外部システム連携を追加する、といった段階的な導入も考えられます。

今後もAmazon Connect Customerの機能紹介記事を発行しますので、更新通知を受け取りたい方は弊社のメールマガジンにぜひご登録ください。

弊社ではAmazon Connect Customerの導入・活用もご支援しております。お気軽にお問い合わせください。


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執筆者紹介

バーチャレクス・コンサルティング株式会社
プロダクトエンジニアリング&サービス部/AI統括室(兼務)
川村 正安
社内情報システム、AWS/Amazon Connect、Connectrekに長く関わり、現在はAI統括室を兼務しAIネイティブな働き方を社内に広げる仕組みづくりを推進。業務を自動化する仕組みの開発・運用を自ら手を動かして進めている。

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