この記事はAmazon Connectの機能を実際に設定して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントをご参照ください。
Amazon Connect Contact Lens が、リアルタイムのメトリクスに関するマネージャーアラートの提供を開始
AmazonConnect Contact Lens(Amazon Connectの文字起こし・感情分析機能、以下Contact Lensと表記)を活用し、リアルタイムのメトリクスに基づくコンタクトセンターの管理者層に向けたアラートが設定できるようになりました。
従来、Amazon Connect単体ではリアルタイムなコンタクトセンターのKPIを表示できるのは、リアルタイムメトリクスかダッシュボードのサービスレベルの表示の2種類しかなく、KPIが一定の閾値を超えた際に通知する機能がありませんでしたが、今回のアップデートで任意の閾値を超えた場合に特定のアラート送信先に通知を送ることができるようになりました。
通知方法は、Eメールによる通知、EventBridgeイベント (AWSのほかのサービスやサードパーティーツールに、何らかのアクションを行うトリガーを発報する際に活用します)、または Amazon Connect のタスクから選択することができます。
※メールは届くまでに数分の誤差が生じます。どの設定のアラートも同じですが、単発のアラートだけでコンタクトセンターの運営に対して影響のある運用がなされるのではなく、持続的なアラート、または現在の状況を踏まえたアクションを取ることができるようにしましょう。
アラート設定の例
- ・待ち呼の数が10件以上発生した場合、別拠点に応援に入ってもらうため、担当者にメールで通知する。
- ・受け可状態で待っているエージェントの数が5人を超えた場合、SVにAmazon Connectのタスクで通知する。
マネージャーアラートを作成する手順
今回は「待ち呼の数が10件以上発生した場合、別拠点に応援に入ってもらうため、担当者にメールで通知する」という設定を実践します。
メール送付先となる担当者もAmazon Connectのエージェントとして登録されている状態です。
まずはAmazon Connectのルールを設定します。
1.「分析と最適化」のメニューから「Contact Lens > ルール」を選択します。
2.「ルールを作成」ボタンで「リアルタイムメトリクス」を選択します。
3.発報したいアラートの条件を設定します。
ここでは「待ち呼の数が10件以上発生」がアラートの条件なので、メトリクスは次のように設定します。
- ・「リアルタイム」の次のメトリクスの「すべて」と、フィルター「キュー」が、次の「問い合わせキュー」「返品・交換キュー」のいずれかに一致する。
- ・キューに保存されたコンタクト>=10
Contact Lens > ルールの設定画面の様子(1)
4.アラートを通知する方法を設定します。
ここでは「担当者にメールで通知」をしたいので、Eメールの通知を送信を選択します。
送信先はAmazon Connectのエージェントなので、「ログイン、名、または姓で受信者を選択」を選び、担当のエージェントを設定します(エージェントは複数選択できます)。
通知メールのテンプレート(件名と本文)を作成できるので、任意の内容を書き込みます。
Contact Lens > ルールの設定画面の様子(2)
5.ルールの内容確認と保存の画面が表示されるので、内容に間違いがないことを確認します。
ルール名の設定も可能ですが、日本語は使用できず、半角英数字と「.」「-」「_」のみ利用可能です。
内容に問題がなければ公開ボタンをクリックします。
Contact Lens > ルールの設定画面の様子(3)
動作の確認
実際にAmazon Connectに電話がかかっている状態にして、アラートメールが手元に届くことを確認します。
エージェントは全員対応中で、キュー内に10本の待ち呼が発生しています。
エージェントの対応状況(リアルタイムメトリクス)
リアルタイムの状況をルールが検知し、担当者のもとにメールが届きました。
メールは送信先として設定したエージェントの「Eメールアドレス」のアドレスに送信されます。
着信したメールの例
簡単な手順でリアルタイムメトリクスに基づくアラートを設定することができました。
ルールのメトリクス設定は、例えば「待ち呼数が10件以上 かつ 稼働可能なエージェントが1人もいない かつ 待ち呼の最大の長さが30秒以上」のような、複数の値でアンド条件設定も可能です。
従来はリアルタイムメトリクスとにらめっこしたり、別ツールでコール状況を可視化していた管理者の負担も、細かい条件を設定することで、少し軽減されるのではないでしょうか。
なお、この機能はContact Lensの機能の一部となり、Contact Lensを有効化していない場合は設定が必要です。
Contact Lensの設定方法は公式ドキュメントをご参照ください。
今月のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
執筆者紹介
プロダクトエンジニアリング&サービス部