2016年CRM/コンタクトセンターの潮流(テクノロジー編)

tech2.jpg前回の記事ではCRM/コンタクトセンターの大きな潮流について触れましたが、今回はその潮流を実現するテクノロジー、とりわけコンタクトセンター周りのテクノロジーのトレンドについて、2016年はどんなことが注目されるのかを考えてみたいと思います。

クラウド化はトレンドではなく「新たなスタンダード」に

「クラウドコンピューティング」という言葉が世に出たのが2006年頃なので、今年でちょうど10年になると言われています。

当初はセキュリティ面での不安などにより、導入が足踏む動きもありましたが、昨今はむしろ自社でシステム環境を管理するよりも、クラウドサービスを利用した方が安全かつ安価だとの認識も広まっています。

年間数十億円以上のセキュリティ対策予算を講じているSalesforce、金融機関のセキュリティ基準であるFISCの多くを満たすAmazon Web Service(詳しくはこちら)など、もはや巷の企業よりもより強固なセキュリティ環境を有するクラウドサービスベンダーが増えてきています。

自社でこれほどの環境を整備、維持していくには莫大な費用を必要とします。「クラウドだとセキュリティが心配」という固定概念は、今や捨て去るべき価値観なのかもしれません。

ただ、以前こちらの記事でも触れたように、自社のニーズに合わせてパブリック・プライベート・ハイブリットなどクラウド適用の仕方を意識することも重要です。

たとえば、自社独自の業務に合わせてシステムをカスタマイズしたい、重要な顧客データは自社で管理しておきたいなどの要件があれば、プライベートクラウドやハイブリッドクラウドが有力な選択肢になります。また、急にクラウドに移行するのが難しいということであれば、クラウド移行による費用対効果が高い部分から優先的にクラウドへ移行、運用を開始するハイブリッド型をまず目指すのも良いでしょう。

インフラ整備や保守コスト抑制やマーケティングシステムなど他部門システムとの連携強化などの観点からも、コンタクトセンターのクラウド化は必要不可欠となっていくでしょう。

コンタクトセンターが担うノンボイスチャネルが多様化。チャネル間連携によるオムニチャネル対応も本格化間近

以前こちらの記事でもWebチャットやSMSなどの「ノンボイス」でのカスタマーサービスニーズが高まると書いておりますが、今年もこれらの動きが加速すると考えます。

《セディナ、ウェブ接客サービス「セディナオンラインサポート」の提供を開始 》

《大手ECにWeb接客で対抗するアダストリア、メガネスーパー》

WebサイトやLINEなどのメッセージングアプリ、そして各企業が提供するスマートフォンアプリなど、消費者がよく利用するチャネルを通じたカスタマーケアの需要が今後さらに伸びていくことが予想されます。また、対応した内容をFAQサイトに随時連携していくことで、コンタクトセンターへの電話件数の抑制、消費者の自己解決を促進することも可能でしょう。

また、ソーシャルメディアやブログなどから自社に関する発言を発見する「ソーシャルリスニング」、その中でも商品の不具合などで悩んでいる、不満を抱えている消費者とコミュニケーションを取る「アクティブサポート」、そしてそうしたオンライン上の動向を監視、マネージする「ソーシャルコマンドセンター」の導入も、今後さらに進んでいくことが予想されます。

こうした複数チャネルは分断されがちですが、ベースとなるデータを統合し、連携・共有することで、どのチャネルでも同じ、個々人に合わせたOne to Oneでの対応が実現することができるようになります。但し、テクノロジー的には実現できても、運営する側の企業がそれらを使いこなすスキルを身に着けることも必須になるため、実現に向けた試行錯誤が今後も続くことかと思います。

販促など売上貢献に資するデータ分析、活用技術が普及

コンタクトセンターに蓄積された情報をテキストマイニングし、社内外向けFAQやトークスクリプトなどに活用する、こういった取組みは以前から実施されていますが、ここでご紹介したいのはその情報を「お悩み解決」ではなく、「販促」や「解約防止」、「ロイヤルティ向上」など売上貢献に資する活用例が増えつつあること、そしてそのために最新のテクノロジーを取り入れる動きがあることです。

《消費者の声を価値に変える。"キモチ"情報を活用したWOWWOWのロイヤルティ向上の取組み》

WOWWOWコミュニケーションズの例では、解約希望のお客様に「最近最後に観た映画は何ですか?」といった質問を投げかけ、回答内容をシステムに入力していくと、その人の趣味趣向に合った今後の放送予定番組の情報をオペレータにお薦めする機能があり、その情報から「○○様がお好きなアクションアニメ映画が来月放送されますよ」といった、サービスを継続的に利用したくなる情報を提供することで、解約防止に繋げるといった成果を出しています。

こうしたコミュニケーションはこれまでもベテランオペレータが実践してきたのですが、そのノウハウを蓄積してシステム化したことで、誰でもベテランオペレータのような提案を出来るようにしたことに価値があると考えます。

また、前回の記事でも触れたドイツのHSE24(ホームショッピングヨーロッパ24)社のように、通販番組を観て電話してきたお客様に対し、過去の購入履歴などに基づいてリアルタイムにほかのオススメ商品をオペレータに伝えるような取組みに挑戦する企業もいます。

コンタクトセンターに蓄積されるデータだけでなく、購買情報やWebサイトの行動履歴など様々な情報が組み合わさることにより、様々な形で売上に貢献できるデータの活用が可能となり、そしてそれに挑戦する企業も増えつつある状況にあります。

データ分析技術の発展や音声認識技術を使った通話内容の自動書き起こしなど、様々なテクノロジーの発展が、こうしたアクションの実現を下支えしています。

人工知能(AI)のコンタクトセンター活用

既にみずほ銀行三井住友銀行三井住友海上火災保険などで活用が始められている人工知能(AI)が、今後さらにコンタクトセンターにおいて広まっていくことが予想されます。

既に導入している企業の多くはお客様とオペレータの通話内容を分析し、「Aの質問にはBの回答」といった内容をトライ&エラーで学習していき、簡単な質問であればオペレータの力を借りず、AIのみで回答できる状態にもなっているという。

また、みずほ銀行では人の声の周波数などから感情を捉える試験も開始しており、電話では満足したと回答したが、本当は不満がある、といった対応履歴には残されない「見えない感情」部分を捉えることで、サービスの改善などに役立てていくことが予想される。

AIの活用は、コスト効率化(AIを活用すれば、複数のお客様に対して同時に対応することも可能)や応対品質の均質化などの観点から、コンタクトセンターにとって価値があります。ベテランオペレータにはまだ遠いかもしれませんが、学習を重ねていくことで徐々に近づいていくことが出来るでしょう。

ここでご紹介した以外にもVisual IVRやWeb RTCなどのトレンドもありますが、大事なことはトレンドに流されるのではなく、自社のビジネスモデルやお客様の属性、そして何よりお客様は何を求めているのかを深く考え、それに合ったテクノロジーを選定していくことが重要になります。

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