コールセンター地方拠点化のポイントや課題について(前編)

170818_bpo_topimage.jpgコールセンターの地方拠点化は、ピークを越えたと言われていますが、それでも人件費、設備維持費等が都市部より安価であるため、企業側からするとメリットがあります。また災害等予期せぬトラブル発生時のリスク分散、すなわちBCP対策(事業継続対策)という観点で検討する企業も増えているため、コールセンターの地方進出は、依然として一定の割合で進んでいます。

一方で、全国的に時給の上昇が続いており、特に北海道、九州、沖縄といった地方ほど上昇率が高い傾向にあります。そのような中、コールセンターの地方拠点化を決めたものの、人材や採算性の確保に苦しんでいる企業も多く、安易に地方拠点化を進めてしまうとセンター運営の継続が危ぶまれることにもなりかねません。

今回は、そのような背景も踏まえた上で、BPOサービスを提供する立場からコールセンターの地方拠点立上げ時のポイントや課題について前編・後編の2回にわたって解説したいと思います。

コールセンター新規立ち上げの際、その運営形態から人材確保、導入するシステムなど様々な事柄を検討する必要があります。

その中で最重要判断基準となるのは、いわずもがな「人材確保」です。どんなに最新の設備、システムを整備できたとしても、業務に基づいたスキル要件にマッチした人材が確保できなければコールセンターとして機能しません。

そこで鍵となってくるのが【立地選定】です。

1. コールセンターの立地選定

コールセンターの立地を選定するための条件は、細かく分けると「都道府県/市区町村」「施設」が挙げられます。

ここで突然ですが、質問です。みなさんは新規で立ち上げると考えた場合、何県にコールセンターを作りたいですか?

このような場合、判断材料として、みなさんになじみがあるキーワードは「有効求人倍率」ではないでしょうか。

例をあげますと、当社グループ会社であるバーチャレクス九州がある佐賀県の有効求人倍率は1.21(2017年6月時点)。これは求職者100人に対して121件の求人があるということです。(※参考までに東京は2.08(2017年6月時点))

求人件数が増えれば増えるほど求職者にとっては就業先を選び放題。企業にとっては求職者の奪い合いで雇用できる人数が不足してくる事になります。

ですが、求職者全員が採用されるかというと、必ずしもそうではありません。

コールセンター進出企業が多い沖縄や北海道(札幌)も有効求人倍率は低く、一見すると採用しやすい環境に見えますが、フタを開けてみると、実情は厳しいようです。

なぜならこの「有効求人倍率」の数字には落とし穴があるからです。

この数字の落とし穴には下記のような原因が考えられます。

企業からの求人条件と、求職者の希望が一致しているか等は考慮されていないから
ハローワークのデータを基に算出しているから
1人の募集に対して複数の求人票を出す場合があるから
(他にも理由は多々ありますが)

その中でも①が大半の理由を占めています。

まずは、求職者の立場から考えてみましょう。求職者には、当然ながら働き先に対しての希望があることでしょう。給与、時間、勤務場所、職種、休日、雇用形態etc・・・挙げればキリがありません。

次に企業側の立場も考えてみましょう。ほぼ全ての企業が即戦力を求めているでしょう。 そして可能な限りコスト(給料)を下げたいと思っているでしょう。しかし求職者はその逆を望むのがほとんどです。(未経験者だったとしても、可能なかぎり高い給料で働きたい等)

つまり、企業、求職者共に相手を選んでいるわけですが、有効求人倍率は単なる数字でしかないため、この「選ぶ」部分が考慮されていません。有効求人倍率が低いから、募集すれば人が採れるだろうと安易に考えていては必ず失敗します。

では、何を参考にすればよいのか。

一つの指標としては、コールセンター事業者数とターゲットとする年齢層の労働人口(例えば:20-49歳)です。有効求人倍率が低くてもコールセンター事業者が多く進出していれば、その分競争が激しくなり、採用は厳しくなります。

逆に有効求人倍率は高くても、コールセンター事業者が少なければ、その分他業界との差別化を図ることで、採用しやすい環境を作れる可能性があります。

こういったデータはコールセンター白書や各自治体のホームページ等で確認できます。助成金や既存施設の利用など、立地選定にあたってはなにかと制約が多く、ゼロから候補を考える機会は多くないかもしれませんが、初期段階ではこれらのデータを参考にして検討された方が、採用計画をよりスムーズに実行できます。

2. コールセンターの施設選定

次のステップとして具体的な「施設選定」では、通勤を考慮する必要があります。

東京、大阪、名古屋など大都市周辺であれば毎日1~2時間かけて、窮屈な満員電車にゆられながら、大変な思いをして通勤をしている人が多いですよね。

総務省統計局の『社会生活基本調査』によると、平均通勤・通学時間のランキングで、1位を獲得したのは神奈川県で1時間40分。次いで千葉県・埼玉県の1時間34分、東京都の1時間30分と続きます。

下位は、宮崎県の50分、島根県の52分、大分県・福井県の53分...と続き、地方のほうが平均通勤・通学時間が短いことが分かります。

下位の都道府県にコールセンター進出を検討している企業であれば、通勤時間は最大でも片道30分を前提とし、その圏内に労働力を確保できる余地があるかについて、綿密な事前調査を行うべきです。メインの交通手段は電車・バス等の公共交通機関なのか、それとも車なのか。公共交通機関の運転間隔、鉄道であれば単線なのか複数路線なのか、JR以外の私鉄の乗り入れなども、重要な要素です。

これらは、統計データや外部サイトでも調べることができますが、事前に現地リサーチをすることをおすすめします。

現地リサーチの一番のメリットは、下記のようなポイントで、人の流れを把握する事ができるからです。

どのエリアに、住居が密集しているのか。
どのエリアにどういった層の人が住んでいるのか。
電車、バスはどの程度交通手段として日常的に利用されているか。実際にどのような人がどのくらい利用しているのか。

車がメインの場合、コールセンター設置予定施設内に駐車場を完備できることが前提となります。どうしても難しい場合は、近隣の駐車場の確認と、利用料金を考慮した募集要件の検討が必要となってきます。

これらの検討をおざなりにしてしまうと、後々苦労することになってしまいます。

次回は、実際の採用活動について考察していきたいと思います。

また、当社のアウトソーシングサービスについてご興味がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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y-hara.jpg執筆者紹介:
BPO事業本部 BPO事業部 企画構築グループ
グループリーダー 原 由直(はら よしなお)

2003年より弊社にてオフィス用品通販、医療機器、飲食通販、アプリサービス、保険業界等の多数のコンタクトセンター運営マネジメントを手掛ける。新規事業立上支援、コスト削減支援、社内研修構築含め、コンタクトセンター領域のプロフェッショナルとして従事。