日本のマーケティング情報サイトを賑わす「マーケティングオートメーション」。筆者も色んな場所で説明する機会をいただいていますが、一部の"マーケティング担当者"、特にWeb広告やソーシャルメディアを担当している方々からは
「マーケティングオートメーションって、結局メールマーケティングに毛が生えたみたいなものでしょ?」
「メールマーケティングはもう消費者には受けない」など、様々な意見をいただいております。
さて、本当に「メールマーケティング」は時代遅れなのでしょうか?ソーシャルやWeb広告が全て?
そして、そもそもその「メールマーケティング」、多種多様な策を打ち尽くした上で「時代遅れ」だと考えているのでしょうか? コンテンツを凝ったとしても、結局全メール会員に同じ内容を送っていたり、ざっくりと大きなセグメント分けしかしていなかったり、本当に「やり尽くした」結果なのでしょうか?
そこで今回は、「本当にメールマーケティングは時代遅れなのか」を、いくつか統計を基に考えてみたいと思います。
メールマーケティングはまだまだ現役!
USを拠点にグローバル展開するマーケティングエージェンシーepsilonの"Email marketing statistics 2014"によれば、2010年Q4から2012年Q4までの「Non-bounce(配信成功率。受信ブロックやアドレス不明などにより配信失敗にならなかった確率)」、「Open rate(開封率)」、「Click-through(メール内リンククリック率。CTR)」の推移をみると、いずれも大きな差が見られません。
これはソーシャルメディアなどその他のチャネルが台頭してきたことによる変化はありますが、メールマーケティングが効果を失っている訳ではない、という考察が可能かと思われます。
また、業界や業種ごとに見ていけば、メールマーケティングがまだまだメインストリームとして活躍していることもあるでしょうし、更に言えば、ソーシャルメディアやWeb広告などよりも効果が高い、例えばBtoBにおける見込み客(リード)の育成などはメールの方がアプローチしやすく、適したチャネルである場合もあるでしょう。
トリガー型メールは効果が高い!?
同調査の中に「トリガー型メールの効果」という興味深い統計があります。
トリガー型メールとは、ユーザーのアクションベースでメールを送信するタイプのメールを指します。例えば、
・家電製品を頻繁に閲覧しているメールマガジン購読者に、家電製品のタイムセール案内を送る
・低リスクの金融商品に関する資料請求をしたユーザーに対して、低リスク運用セミナーの案内を送る
・CRM製品の資料請求をしたユーザーが入力した業種をもとに、同業他社での導入事例資料の案内を送る
など、ユーザーの行動に応じて、最適なコンテンツを、最適なタイミングで送ることで、通常のメールマーケティングよりも高い結果を得ている。2012年Q4で比較すると、
・開封率 27.4%⇒ 46.7%
・CTR 4.5% ⇒ 9.0%
いずれも2倍近く上昇していることが分かります。
メールというチャネルの「普及、定着」は完了済み。今必要なのは「高度化」
「メールマーケティング」という言葉自体、ソーシャルメディアやLINEなど新しいチャネルが次々と生まれ、活用されている時代においては「置いてけぼり」感も否めませんが、それは「=効果が低い」ということにはつながらず、むしろ購読者の行動をトリガーとして個々に最適化することで、より高い効果を得られていることを統計は語っています。
とはいえ、トリガー型のマーケティングにはそれなりの工数が掛かることも事実です。そのメールマーケティングの「高度化」を自動化により支援し、効果測定まで実施できるのが、マーケティングオートメーションツールの強みの1つでもあります。
後編では、日本市場におけるメールマーケティングの現状と、トリガーメール実行を支援するマーケティングオートメーションツールについて取り上げます。