Amazon Connectは双方向のショートメッセージサービス(SMS)機能をサポートすることを2023年11月に発表しました。この新機能についてご紹介いたします。
■機能概要
今までもAmazon SNSなどを利用したSMS送信は可能でしたが、Amazon Pinpointと組み合わせることで双方向のSMS通信が利用できるようになりました。
・Amazon Pinpointを使用してSMS専用の電話番号を取得し、Amazon Connectインスタンスに紐づけることでSMS送信(AWS → ユーザ)と受信(ユーザ → AWS)が可能。
・エージェントは会話履歴全体にアクセスでき、顧客とのコミュニケーションはAmazon ConnectのCCP(Amazon Connectソフトフォン)チャット画面で行う。
■メリット・デメリット
メリット
・SMS送受信用のUIを作成が不要で即座に利用可能
SMSは携帯電話のメッセージ機能を利用するため、お客様側の入力画面等のUI作成が不要です。 また、エージェント側は標準搭載されているCCPチャット画面を利用するため、エージェントにスキルを付与することで利用開始できます。
・SMSは開封率が高い
携帯電話番号への送信の為、到着率は100%に近いです。また、SMSはメールよりも開封率が高いと言われており一般的には、メールの開封率は20〜30%程度ですが、SMSの場合90%以上と言われています。確実にお客様にお届けすることができるツールといえます。
・お客様の返信が容易
お客様は受信した画面に直接返信ができます。メッセージ内に記載されているURLに移動し、IDとパスワードを入力してから問い合わせるなどの手間は不要となります。
・お客様の携帯にも履歴が残る
送受信したテキスト内容をエージェントだけでなくお客様も確認ができます。双方で履歴が確認できることで、過去の情報を振り返りながらサービスや商品に関する疑問や課題のよりスムーズな解決に役立ちます。
・文字数制限がある
1回のメッセージは全角67文字、もしくは分割送信により630文字までです。67文字を超えた文字数は67文字毎に分割され送信されます。そのため多くの情報を送信する場合には適していません。
・お客様がメッセージを送信する場合SMS利用料がかかる
SMSを送信するには利用料が発生するため、頻繁なやり取りは顧客負担額の増加につながり適していません。また、送信する文字数でも利用料金が変わる為、お客様から頂くメッセージ内容は簡潔に済むような内容を検討する必要があります。
・SMSのURL付きメッセージは警戒されやすい
SMSを利用したフィッシング詐欺被害が近年増加していることで、お客様側でもSMSに対する警戒意識が根付いています。 企業側が送信する場合、お客様の名前を挿入するなどお客様にフィッシング詐欺だと思われないための工夫が必要です。
1.アンケートSMSを工夫してCX向上に繋げる
問合せ後のアンケート調査でSMSを利用する企業が多いと思います。
SMSの双方向サポートを活用してアンケート以外に、お問合せ内容が解決しているかや不具合が継続していないかなどのフォローメッセージを送信することでカスタマーエクスペリエンスの向上に繋げることに役立ちます。
💡活用例💡
「昨日お問合せ頂いた◯◯は解決しましたか?解決していない場合、このメッセージにご返信ください。担当者がメッセージに返信いたします。」
などお問合せ頂いた内容を踏まえたメッセージをお送りすることで解決率の向上の他、きめ細やかな対応によるCX向上につなげることができると思います。
2.コールセンターのIVRとSMS連携をしてSMSでお客様のご要件を伺う
IVRとSMSを連携を行う場合、FAQへの誘導やコールバックの予約が多いと思います。ただし、FAQでは解決せず問合せをされたお客様や、FAQの内容をより簡潔に説明してほしいと考えているお客様はSMSの誘導だけでは十分なサポートができません。
SMSの双方向サポートを活用して、問題解決に役立てることが可能です。
💡活用例💡
IVRガイダンスにSMS送信に関するガイダンスを追加します。
送信メッセージに、「今回のお問合せ内容を記載しご返信ください」のような内容を記載します。お客様がお知りになりたかった内容をSMSに返信していただくことで、適切なFAQのURLをお送りしたり、必要に応じてコールバック予約に誘導しお客様とコンタクトを取ることができるようになります。機会損失を予防するとともに、顧客満足度向上にもつながるでしょう。
1.Amazon Pinpoint料金
例えば、1日100件メッセージを送信した場合、$7.451、その1割に当たる10件を受信した場合、$0.85 となり、Amazon Pinpoint の1日の合計コストは $8.301となります。
注: Amazon Pinpoint SMSの料金は国、地域、および電話番号のタイプによって異なります。同じ国や地域内でも、宛先の電話番号の通信事業者によって料金が異なる場合があります。
さらに、メッセージのサイズによっては、Amazon Pinpointはメッセージを複数に分割する場合があり、分割された各メッセージに対して課金されます。詳細については、「Amazon Pinpointの料金」をご参照ください。
2.お客様に掛かる費用
お客様がSMSメッセージを送信した場合にかかる費用は、お客様がご契約されているキャリアの定める料金となります。受信にかかる費用は発生しません。
個人契約のSMS利用において、1通あたりの送信料の相場はおおよそ以下の通りです。
■まとめ
今までコールセンターにおいてSMSを使用する際、主にお客様への通知手段として活用されていました。しかし、双方向サポートを導入することで、チャットやメールのような非同期のコミュニケーションチャネルに変化する可能性があることがわかりました。活用方法によっては呼量の削減にもつながると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
]]>Amazon Connectでは、エージェントの習熟度を使用して問い合わせを効果的にルーティングする仕組みが提供されました。
機能の概要は以下の通りです。
・各エージェントの習熟度は、多言語スキルレベルや専門知識スキルなどの属性に基づき、そのエージェントのスキルレベルを示しています。
・エージェントの習熟度を用いてフローを構築することでルーティング要件を作成することで、顧客の問い合わせを最適なエージェントにマッチングさせることができます。
・顧客の問い合わせ目的に対して最適なスキルを有するエージェントが不在の場合でも、有効時間の設定によりルーティングのしきい値を徐々に拡張しエージェントを見つけることが可能です。
例えば、特定のスペシャリストに相談できる基準を設定し、エージェントが見つからない場合は要件を緩和してマッチングを行います。
有効時間の設定例:最初40秒間で専門的な知識の点数が5点以上のエージェントに着信しなければ、3点以上のオペレータも着信対象に含める。
大まかな設定の流れを紹介いたします。
配置した「ルーティング条件の設定」を開きルーティング条件を設定します。
以下は日本語のスキルレベル5のエージェントに25秒間優先的に着信する設定です。
設定後、フローの保存と公開をしてください。
以上で準備は完了です。
今回発表された機能を使ってコールセンター運用を想定すると、以下のようなことが可能となります。
お客様の問合せ内容がある程度特定できるフローを用いている場合に、専門スキルの高いエージェントから優先的に 対応することが可能です。 お客様への回答がよりスムーズになり、顧客満足度が向上につながります。
また、知識豊富なエージェントが対応することで通話時間、後処理時間も最適化されるでしょう。
同時に経験の浅いエージェントには段階的に経験を積めるよう、トップスキルのエージェントが時間内に対応できない場合にサポートに入る設定も可能です。
問い合わせ対応が効率的に行われるだけでなく、エージェントのスキルアップにも貢献できるフローの構築ができそうです。
新人エージェントが経験を積むために、難易度の低い問い合わせを優先的に担当することがあると思います。 新機能では、エージェントの習熟度に基づいて、新しく着任したエージェントに優先的に問い合わせを振り分けることが可能です。
問合せ要件に対するスキル以外にもテクニカルスキル、言語スキル等の複数あるエージェントのスキルをAmazon Connect内で管理することが可能です。
エージェントのスキル管理を「属性」の各レベルで管理することができ、ルーティングプロファイルの付け替えなどせずに着信コントロールができるようになるためSVの管理工数も削減できそうです。
今回の機能で今まで以上に問い合わせに適したエージェントにルーティングさせることが可能になりました。
顧客満足度の向上はもとより、処理時間の短縮、さらにはエージェントの教育にも幅広く活用することができる機能だと思います。
今回の新機能はコールセンター業界で利用するPBXとしては目新しさがある機能ではありませんが、新機能を紹介することで、お客様のAmazon Connect利用促進に繋げたいということで紹介しています。Amazon Connectは日々進化しており使い勝手が良くなっていますので、これから追加される機能にも注目し、最先端の技術だけでなく、今まで不足していた機能が追加されたことも引き続きご紹介していこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
この連載記事はAmazon Connectの機能を実際に試して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントをご参照ください。
Amazon Connectには、コンタクトセンターでの電話やチャットの対応状況や、オペレータの状況をリアルタイムに把握するためのリアルタイムメトリクスという機能が存在します。
「保留中のお客様」、「キューに入っているお客様」、「エージェントの対応時間」などの活動をリアルタイムで表示することができるのですが、今回のアップデートで応答・放棄された問い合わせの数を測定することも可能となりました。
この機能では、1秒から 7日の間でカスタムの時間しきい値を定義し、一定時間内に応答または放棄された問い合わせの数を測定できます。
これらのしきい値を使用すると、例えば数秒以内に電話が切られてしまった問い合わせが頻発していることが確認できたとして、下記のような検討ができます。
・間違った IVR オプションを選択してしまうアナウンスになっていないか?
・間違った番号にお客様が電話をかけているケースが多いのではないか?
また、数秒以内に応答した問い合わせの数を測定することで、コールセンターで目標とする時間内で応答できている問い合わせが、全体の問い合わせのなかでどれほどの割合を占めているかを算出することも可能です。
メニューの「分析と最適化>リアルタイムメトリクス」を選択します。
キューのリアルタイムメトリクスへ移動し、右上の歯車マークの設定ボタンをクリックします。
「Xで中止されたコンタクト」と「Xで応答済みのコンタクト」が今回のアップデートで新しく追加された機能です。
ここで、期間を「1秒~7日間」の間で設定することができます。
今回は10秒間隔で放棄された問い合わせと応答済みの問い合わせの記録をとるように設定しました。
「BasicQueue」にルーティングされるように電話をかけてみます。今回は電話をかけ、エージェントが応答する前に電話を中断しました。すると10秒以内に中止されたコンタクトとしてカウントされ、表内の数字が1となりました。
今回の新機能でさらに詳細にコンタクトセンターのメトリクスを取得することができるようになりました。
Amazon Connect は日々進化しており、今後も新機能が追加されることが予想されます。これからもAmazon Connectのアップデートを追いかけていきます。
今月のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
]]>この連載記事はAmazon Connectの機能を実際に試して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントをご参照ください。
Amazon Connectには、キューのパフォーマンスを把握するための機能として履歴メトリクスで過去の一定期間のキュー/エージェント/電話番号のKPIを表示する機能がありました。
履歴メトリクスでは一般的なKPI指標(AHT、着信数、発信数、中止したコンタクトの数など)をコンタクト全体、キューごとの区分で見ることができましたが、数値での表示にとどまることが難点でした。
今回のアップデートではグラフィカルな表示でキューの一定期間のパフォーマンスを表示することができるようになり、日/週/月の単位でキューのパフォーマンスを把握することが容易になりました。
※履歴メトリクスと同一の指標ではありません。
メニューの「分析と最適化>ダッシュボードとレポート」を選択します。
メニューが表示されない場合、キューパフォーマンスダッシュボードへのアクセスが許可されていないユーザーでログインしている可能性があります。セキュリティプロファイルの設定を見直してください。
次に「ダッシュボードとレポート」の「ダッシュボード>キューパフォーマンスダッシュボード」を選択します。
キューパフォーマンスダッシュボードが表示されます。
一番上の表示エリアで、分析対象期間、比較対象となる月の選択、およびフィルター(絞り込み)の設定を行うと、パフォーマンスの状況が表示されます。
キューパフォーマンスダッシュボードの内容
【パフォーマンスの概要】
・対応したコンタクトの数
・サービスレベル20秒
・平均処理時間
・平均キュー応答時間
が表示されています。それぞれ比較対象の期間と比べてどれだけ向上 (緑色の文字) /悪化 (赤色の文字) したか自動的に分析されます。
分析結果のダウンロード、拡大表示は右上のアイコンをクリックします。各表示エリアの左下の線状のアイコンをドラッグすると、表示エリアのレイアウトを変更することができます。
【対応したコンタクトと平均処理時間のトレンド】
日別//月別の対応コンタクト数、平均処理時間(AHT)が表示されます。 各月のコンタクトの多寡だけでなく、平均処理時間と合わせて確認することで
・AHTが長くてコンタクト数が減少している月は、時間のかかる問合せが多かったから対応したコンタクトの数が減ったのかな?
・新人がたくさん入った数か月前と比較して、現在は対応するコンタクト数が増えてATHも下がってきているので、オペレータのスキルが伸びているのではないか?
などの考察を簡単に行うことができるようになります。
実際の分析では当該の期間のオペレータのシフトや、キャンペーンなど季節性のある行事に実施状況と合わせて確認するとよいでしょう。
Topic1で紹介したキューパフォーマンスダッシュボードと同様に、過去のコンタクトを横断的に分析するContact Lensの会話型分析ダッシュボードが新たに提供されました。
従来のContact Lensは個々のコンタクトの分析及びSpeech to Text化の側面が強く、期間を横断した分析については扱ってきませんでしたが、新機能を利用することで一定期間におけるContact Lensの分析結果を横断的に確認でき、 語句検出結果のトレンドの分析も可能です。
詳述するように、Contact Lens の会話型分析ダッシュボードはContact Lensのルール機能を活用していることが前提です。ルールを設定していない場合は、AWSの公式ドキュメントに従ってルールを設定しましょう。
会話型分析ダッシュボードの表示方法
メニューの「分析と最適化>ダッシュボードとレポート」を選択します。
「ダッシュボードとレポート」の「ダッシュボード>会話型分析ダッシュボード」を選択します。
表示されない場合、
①Amazon Connectインスタンスの設定でContact Lensが有効化されていない
②Contact Lensの利用が許可されていないユーザーでログインしている可能性がある
の2つの可能性があります。設定を見直してみましょう。
会話型分析ダッシュボードが表示されます。
一番上の表示エリアで、分析対象期間、比較対象となる月の選択、およびフィルター(絞り込み)の設定を行うと、パフォーマンスの状況が表示されます。
会話型分析ダッシュボードの内容
【パフォーマンスの概要】
キューダッシュボードでも表示されていた
・対応したコンタクトの数
・平均処理時間
・平均キュー応答時間
に加え、転送済みのコンタクト(受信)が表示されます。
それぞれ比較対象の期間と比べてどれだけ向上 (緑色の文字) /悪化 (赤色の文字) したのか自動的に分析される点はキューダッシュボードと同じです。
【パフォーマンスの概要: Contact Lens の会話分析によって分析されたコンタクトの内容】
パフォーマンスの概要と同じ項目が表示されます。
パフォーマンスの概要はすべてのコンタクト(Contact Lensでの分析対象外であるコンタクトを含む)のデータを表示しますが、 Contact Lens の会話分析によって分析されたコンタクトではContact Lensが有効化されたコンタクトフローによって生成されたコンタクトの概要を示します。
【コンタクトカテゴリ】
分析対象期間のコンタクトカテゴリ(Contact Lensのルールとして登録したルール名)について、下記を表示します。
・コンタクト(%):Contact Lensでの分析対象となるコンタクトのうち、当該のコンタクトカテゴリを持つコンタクトはどれだけの割合を占めているか。
・コンタクト:コンタクトの件数。
・AHT:当該のコンタクトカテゴリを持つコンタクトの平均処理時間。
・平均キュー回答時間:エージェントが該当のコンタクトカテゴリを持つキューに対応開始するまでの平均時間。
・転送されたコンタクト:転送が発生して別のコンタクトIDが採番されたコンタクトを個別に計上した場合のコンタクトの件数。
画像の出典:Contact Lens conversational analytics dashboard
【Movers&Shakers のトップ 5】
分析対象の期間と比較対象期間で、発生頻度が特に高かった、または低かったコンタクトカテゴリを表示します。発生率での表示のため、分析対象の期間のコンタクトカテゴリのトレンド(件数が特に多かった・少なかった)を把握することに役立ちます。
チャートは変化率の絶対値が高い順に表示されます。
・変化率:(コンタクト数%-以前のコンタクト数%)/(以前のコンタクト数%)で算出。
・コンタクト%:Contact Lensでの分析対象となるコンタクトのうち、当該のコンタクトカテゴリを持つコンタクトはどれだけの割合を占めているか。
・コンタクト:コンタクトの件数。
・先行コンタクト%:比較対象期間における、当該のコンタクトカテゴリを持つコンタクトの数を、Contact Lensの分析対象であるコンタクトの総数で割った割合。
・先行コンタクト:比較対象期間における、当該のコンタクトカテゴリを持つコンタクトの数。
画像の出典:Contact Lens conversational analytics dashboard
【上位のコンタクトカテゴリの平均処理時間】
出現回数が上位10個までのコンタクトカテゴリについて、当該の期間と比較対象となる期間とのAHTを並べて表示します。頻出するコンタクトカテゴリのAHTを比較することで、対応に時間がかかりやすいコンタクトの動向を考える手助けになりま
す。
(例)先月はクレーム、暴言に相当する文言のコンタクトカテゴリは対応時間が伸びやすかったが、今月は対応時間が減少した場合
→システム的な変更要因のほか、現場での動きをオペレータにヒアリングするなどで理由を調査。 「オペレータがよくあるクレームのパターンを学習した」「SVによる対応の手助け」が理由として考えられる、など。
画像の出典:Contact Lens conversational analytics dashboard
【キュー別のコンタクト数】
分析対象の期間に対応したコンタクトがキュー別に表示されます。マウスオーバーで件数を確認することが可能です。
【対応したコンタクトと平均処理時間のトレンド】
キューパフォーマンスダッシュボードの「対応したコンタクトと平均処理時間のトレンド」と同じです。
キューはもちろん、Contact Lensを普段から利用している場合は特別な設定をしなくてもすぐに利用開始できるビジュアルなダッシュボードが提供されたので、コンタクトセンターですぐに使ってみる価値がある機能だと感じました。
一方で、表示する項目は自分でカスタマイズできないといった、ダッシュボードを自社業務に合わせて重用したいときには機能不足と思われる面もありますので、今後の継続アップデートに期待がかかります。
今月のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。お気軽にお問い合わせ下さい。
]]>この記事はAmazon Connectの機能を実際に設定して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントをご参照ください。
AmazonConnect Contact Lens(Amazon Connectの文字起こし・感情分析機能、以下Contact Lensと表記)を活用し、リアルタイムのメトリクスに基づくコンタクトセンターの管理者層に向けたアラートが設定できるようになりました。
従来、Amazon Connect単体ではリアルタイムなコンタクトセンターのKPIを表示できるのは、リアルタイムメトリクスかダッシュボードのサービスレベルの表示の2種類しかなく、KPIが一定の閾値を超えた際に通知する機能がありませんでしたが、今回のアップデートで任意の閾値を超えた場合に特定のアラート送信先に通知を送ることができるようになりました。
通知方法は、Eメールによる通知、EventBridgeイベント (AWSのほかのサービスやサードパーティーツールに、何らかのアクションを行うトリガーを発報する際に活用します)、または Amazon Connect のタスクから選択することができます。
※メールは届くまでに数分の誤差が生じます。どの設定のアラートも同じですが、単発のアラートだけでコンタクトセンターの運営に対して影響のある運用がなされるのではなく、持続的なアラート、または現在の状況を踏まえたアクションを取ることができるようにしましょう。
アラート設定の例
今回は「待ち呼の数が10件以上発生した場合、別拠点に応援に入ってもらうため、担当者にメールで通知する」という設定を実践します。
メール送付先となる担当者もAmazon Connectのエージェントとして登録されている状態です。
まずはAmazon Connectのルールを設定します。
1.「分析と最適化」のメニューから「Contact Lens > ルール」を選択します。
2.「ルールを作成」ボタンで「リアルタイムメトリクス」を選択します。
3.発報したいアラートの条件を設定します。
ここでは「待ち呼の数が10件以上発生」がアラートの条件なので、メトリクスは次のように設定します。
Contact Lens > ルールの設定画面の様子(1)
4.アラートを通知する方法を設定します。
ここでは「担当者にメールで通知」をしたいので、Eメールの通知を送信を選択します。
送信先はAmazon Connectのエージェントなので、「ログイン、名、または姓で受信者を選択」を選び、担当のエージェントを設定します(エージェントは複数選択できます)。
通知メールのテンプレート(件名と本文)を作成できるので、任意の内容を書き込みます。
Contact Lens > ルールの設定画面の様子(2)
5.ルールの内容確認と保存の画面が表示されるので、内容に間違いがないことを確認します。
ルール名の設定も可能ですが、日本語は使用できず、半角英数字と「.」「-」「_」のみ利用可能です。
内容に問題がなければ公開ボタンをクリックします。
Contact Lens > ルールの設定画面の様子(3)
実際にAmazon Connectに電話がかかっている状態にして、アラートメールが手元に届くことを確認します。
エージェントは全員対応中で、キュー内に10本の待ち呼が発生しています。
エージェントの対応状況(リアルタイムメトリクス)
リアルタイムの状況をルールが検知し、担当者のもとにメールが届きました。
メールは送信先として設定したエージェントの「Eメールアドレス」のアドレスに送信されます。
着信したメールの例
簡単な手順でリアルタイムメトリクスに基づくアラートを設定することができました。
ルールのメトリクス設定は、例えば「待ち呼数が10件以上 かつ 稼働可能なエージェントが1人もいない かつ 待ち呼の最大の長さが30秒以上」のような、複数の値でアンド条件設定も可能です。
従来はリアルタイムメトリクスとにらめっこしたり、別ツールでコール状況を可視化していた管理者の負担も、細かい条件を設定することで、少し軽減されるのではないでしょうか。
なお、この機能はContact Lensの機能の一部となり、Contact Lensを有効化していない場合は設定が必要です。
Contact Lensの設定方法は公式ドキュメントをご参照ください。
今月のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
今回は、コールセンターのチャネル統合管理についてのお話です。
コールセンターは顧客や消費者とやりとりをするにあたり、以前はトラディショナルな手段(チャネル)である電話やメールを主に利用していました。
ですが最近ではLINEやWEBチャットなどの「チャットチャネル」による顧客とのやりとりも急速に増え、コールセンターではその対応に追われています。チャネルがマルチ化されることで、個々のチャネルでの対応ルールやオペレータスキルを身に付ける必要がありますが、業務やシステムが別々に管理されていると非効率な運営となるため、スーパーバイザーやセンター長にとっては、対応品質に問題が生じないよう工夫することが求められます。
オペレータのマルチスキル化など運営スタイルの変革も当然必要ですが、情報やツールが分かれてしまうことによる弊害は、コールセンターで利用するシステムによって解決することが可能です。バーチャレクスからソリューションを提案するとすれば、コールセンターの顧客対応業務を支援する、自社開発のCRMソフトウェア「inspirX(インスピーリ)」と、モビルス社が提供する「MOBI AGENT(モビエージェント)」と連携できるため、異なるチャネルの情報を統合管理することが可能です。
「MOBI AGENT」は、 チャットボットと有人対応のハイブリット運用ができる高機能な有人チャットシステムなため、さらに運営の幅を広げることもできます。また、コールセンターCRMであるバーチャレクス提供の「inspirX」と連携することで、電話、メール、FAXなどの従来チャネルはもとより、チャットやWebフォーム、SMSなど多様化する個別チャネルシステムを連携し、顧客応対履歴を統合化することができます。そうすることで、煩わしいシステム毎のオペレーションや分散しがちな情報を統一化できます。
コールセンターの役割が多様化・高度化する中で既存のシステムが業務のボトルネックになる例は少なくありません。特に複数の顧客接点を持つ企業の場合、応対やその後の情報入力の負担が問題になりがちです。こうした問題に対し、CRMのシステムリプレイスで解決を図ろうとする事例が増えています。CRMは顧客情報の蓄積のみならず、外部連携により、従来のシステムに柔軟性と効率性を付与するものでもあるからです。今回は、CRMシステムのリプレイスによって対応工数を削減しつつ、柔軟性の高いシステムを構築した事例を紹介します。
オーディオ機器の開発・製造・販売を手がける音響機器メーカーB社は、BtoC領域でのオーディオ機器販売と並行し、BtoBでも会議システムやカラオケボックス用の赤外線マイクを提供するなど、幅広い製品ラインナップを強みとしています。また、これら広範な製品群に対する問い合わせを、国内に設置した以下2つのコールセンターで受け付けています。
・コールセンターA:製品の仕様や使い方、パーツ販売、製品の購入前相談など
・コールセンターB:修理やパーツ販売の受け付けなど
2つのコールセンターに寄せられる問い合わせには、テレフォニー基盤(CTI)とCRMを組み合わせたコールセンターシステムにて対応。具体的には、電話もしくはメールで寄せられた内容を受付担当者が対応し、CRMに対応履歴を含めた各種情報を入力するという業務が行われていました。
しかしこの専用システムには以前、いくつかの問題がありました。
・カスタマイズの柔軟性が低く、些細な設定変更のたびに費用と時間を要していた
リプレイス前のB社のコールセンターシステムにはオンプレミス型のCRMが組み込まれており、カスタマイズや設定変更に対する柔軟性は低いものでした。業務で使用するPCのOS更新に伴い、別途改修が必要になったり、些細な設定変更のたびに費用と時間を要していました。
加えて、利便性の面でも問題がありました。費用の関係から頻繁なシステム改修を行うことが難しく、自然と業務をシステムに合わせる流れができていたことが原因です。
・他システム連携や情報検索に難があった
B社ではユーザーがWebフォームから入力した問い合わせをメールに変換し、オペレーターが確認した後に、コールセンターシステムに入力するという業務プロセスを採用していました。コールセンターシステムへの入力は手動で行う必要があり、月単位で見ると数十時間の工数が割かれていました。
また、問い合わせ対応に必要とされる製品情報は、外部システム(SAP ERP)に保管されており、数か月に一度はコールセンターシステムへの入力が必要だったとのことです。この作業に関しても手動入力が中心でした。
さらに対応済みの履歴についても、内容の分類がされない状態で保存されており、後から対応履歴を振り返りたい場合に時間を要していたとのことです。
B社ではこれらの状況を踏まえ、CRMシステムのリプレイスを決定しました。CRMシステムのリプレイスにおいて解決すべき課題としては、以下4つが挙げられました。
・設定やカスタマイズなどをユーザー側で簡単に行えるようなシステムが欲しい
・他システムとの連携機能を持った拡張性のあるシステムにしたい
・Webフォームとの連携により情報入力の手間を削減したい
・メンテナンスにかかる工数の削減のため、クラウド型のソフトウェアにしたい
こうした課題を解決するために、B社ではバーチャレクスのコールセンターCRM「inspirX(以下、インスピーリ)」を導入しました。インスピーリへの移行後は、次のような効果が確認されています。
B社のコールセンターシステムでは、前述のようにWebフォームから寄せられた問い合わせ内容がメールに変換され、メールの内容に従ってCRMへの情報入力と確認作業が行われていました。インスピーリへの移行後は、この情報入力が手作業からAPI連携による自動入力へと変更され、入力業務の効率化が達成されました。
B社のコールセンターに寄せられる問い合わせは、メール・電話が主流であり、その件数は月間で約2000件に達します。1件あたり1分程度の入力時間が短縮されたと考えても、1日あたり1時間、月単位では30数時間分に相当する工数が削減できる計算です。
移行前の専用システムでは、対応履歴を記録する場合、内容ベースでの細かな分類ができないという問題がありました。例えば、マイクの不具合報告であれば「ノイズが入る」「ザーザーと音が鳴る」など、内容は似ていても言い回しや表現が異なる報告を検索する場合、ひとつひとつ履歴をさかのぼる必要があったわけです。
インスピーリへの移行後は、これら「表現は異なるが、同種の内容に属する問い合わせ」をカテゴリで分類できるようになったことから、情報検索の時間削減が達成されています。
また、情報検索の手間が軽減されたことで、他部署からの情報提供依頼にも気軽に応じられるようになったとのことです。移行前のコールセンターシステムでは難しかった「顧客からの意見・要望をより具体的かつ的確に共有する」というタスクが遂行可能となり、顧客の声を開発やマーケティングに活かす「VOC活動」をスムーズに進められる体制が確立されました。
B社では、外部システム(SAP ERP)にて製品情報を管理しているため、専用システムに対して製品情報を手動入力する必要がありました。インスピーリへの移行後は、外部システムから抽出した製品情報を一括で登録できるようになり、入力にかかる工数やチェックの負担が軽減されたとのことです。
B社にインスピーリの選定理由を伺ったところ、以下4点を挙げていただきました。
最初の評価ポイントとして、「カスタマイズや設定変更をユーザーが行えること」を挙げていただきました。インスピーリは、ユーザー自身が管理項目を追加でき、ドラッグ&ドロップで表示項目を編集できるなど、セルフカスタマイズ機能が強みのひとつです。旧コールセンターシステムで使われていたCRMでは、些細な設定の追加や変更にかかる費用が問題となっていたため、この点を解決できる柔軟性が評価されたと考えられます。
B社では、CTIとCRMを並行して運用していたことから、2つのシステムに関するリプレイス計画立案と準備に多大な労力を投じていました。具体的には、数年おきにリプレイス計画の立案や費用の算出、社内の承認などが必要だったとのことです。一方、クラウド型CRMであるインスピーリでは、サーバーの保守期限を見越したリプレイスの準備などはほぼ不要です。そのため、担当者の負担が大幅に軽減されたとの評価をいただきました。
バーチャレクスでは、CRM導入に際して、コールセンター運営に精通した営業担当者が入念にヒアリング・回答を行います。B社からもこの点について、「できる・できないをはっきり回答していただけた」「課題に対してひとつずつ解決策を提案してもらった」といった評価をいただきました。
機能面では、カスタマイズの柔軟性に加えて入力支援機能を評価いただきました。また、クラウド型ならではの初期費用の低さも魅力であったとのことです。クラウド型とオンプレミス型を5~10年スパンで比較すると、実際の費用はそれほど大きな差がありません。しかし、リプレイスにかかる労力やカスタマイズの費用などを含めて試算すると、クラウド型は総合的に優秀であることは事実です。
もうひとつ、プラットフォームとしてAWS(アマゾンウェブサービス)を採用しているという信頼性の高さも選定の理由になったようです。
近年は、CRMを顧客情報管理以外の分野に活用する事例が増えています。今回のB社の事例を見ても、顧客情報を管理する基盤であると同時に、複数のシステムを連結しつつ、コールセンターの価値を向上させるシステムとして活用していることがわかります。
近年のトレンドに目を向けると、以前は企業向けITシステムにおいてバックエンド(会社側)の中心であったERPが、CRMの機能を内包し始めています。つまりCRMは、バックエンド(会社側)とフロントエンド(顧客側)のハブになりうる存在として認知されているのではないでしょうか。特にコールセンター領域では、社内の情報を集約しつつ、電話とメール以外の新たなチャネル確立のために使われる動きが強まっています。こうした状況を俯瞰すると、CRMは社内外に価値を提供する起点であり、今後の企業ITのコアになりうる存在だと言えそうです。
今回は、音響機器メーカーであるB社へのインスピーリ導入事例を紹介しました。近年のコールセンターは、CTIとCRMを接続し、コールセンターシステムを強化、外部システムとの連携を高めることで、生産性と顧客満足度を向上させる事例が増えています。バーチャレクスでは、コールセンター領域のプロフェッショナルとしての強みを活かし、引き続き顧客のビジネスを支える機能を提供していきます。
この記事はAmazon Connectの機能を実際に設定して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントを参照してください。
Amazon Connect Contact Lens(Amazon Connectの文字起こし・感情分析機能、以下Contact Lensと表記)は、従来は通話の終了後に通話内容の文字起こしや感情分析結果を表示していましたが、 このたびのアップデートで通話中の内容も約30秒のラグタイムで通話内容の文字起こしや感情分析結果を表示できるようになりました。Contact Lensをご利用中であれば、Amazon Connectの追加設定は不要です。
Amazon Connectのメニュー「分析と最適化」から「コンタクトの検索」を選びます。
検索フィルターの「コンタクトのステータス」を開き、「進行中」にもチェックを付けます。
オペレーターと顧客の会話が始まると、30秒ほどのラグで検索画面にもコンタクトが表示される (*1) ので、詳細を開いてリアルタイムのテキスト化や感情分析を確認することができます。
*1:コンタクトの検索画面は自動更新されません。エクスプローラの更新ボタンを押して新着のコンタクトを確認します。
コンタクトの詳細画面の様子
なお、この機能はContact Lensの機能の一部なので、Contact Lensを有効化していない場合、設定する必要があります。
Contact Lensの設定方法は公式ドキュメントをご参照ください。
今月のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
]]>コンタクトセンターの基礎シリーズ記事一覧
【CCの基礎 #1】コンタクトセンターの本質的な役割とは
【CCの基礎 #2】コンタクトセンターシステムについて
今回はコンタクトセンターの自動化についてのお話です。
コンタクトセンターもノンボイスの定着やAIの台頭により、対応の自動化が進んでいます。ChatGPTを始めとするジェネレーティブAIを活用し始めたセンターも登場し始めました。
2023年前半時点では、ジェネレーティブAIは完全な回答を得られないため、FAQ候補の作成、研修用データの作成、テスト結果のフィードバックなど利用方法は限定されますが、特にスーパーバイザーに関していえば、明らかに今までの工数を削減することに貢献できています。今後も回答精度やデータのパーソナライズ化が進むことで、より自動化の流れは進むでしょう。
またセンター自動化が進むことで問い合わせに対する回答スピードがあがる、リピートオーダーが自動で完結する、など利用者/提供側双方に利点が生まれます。セキュリティおよび自動化を悪用するケースに注意する必要はありますが、単純な業務から少しずつ複雑な問い合わせ対応もできるようになるでしょう。
一方で、利用者からするとオペレータと会話したい場面は少なからず発生しつづけます。自動化が進むのに対し、イレギュラーな事態に関する対応策がない、もしくは見つけられなければ利用者は直接話をしたくなります。
その時、大半の利用者はシステムの対応に不満を抱えたまま話を開始します。最近「セルフレジ」で対応するコンビニやスーパーが増えていますが、決済方法やらポイントやらいろいろ求められた上で正しい決済ができないまま、結局店員を呼ぶ、のと同じ感情ですね。
自動化の範囲および設計が上手くいっていない場合、その割合は増えますし結果有人対応が増える可能性があります。少し前にWebサイトのFAQの内容をそのままチャットボット化したことで、「使えない」ボットを生み出し、その結果として有人対応の問い合わせが増えた、という事例が多くありました。
そして有人対応を開始する時点で不満を持ったまま会話が始まることで、対応時間が延びオペレータのストレスも増加してしまうということになってしまいます。
「量と質の両立」はコンタクトセンターの長年の課題です。その解決策の1つが無人化、自動化である事は疑いのない事実です。ただその使い方を間違えると「質」も「量」も改善されないことになります。
範囲や設計の必要性は前述しましたが、それでも運営を開始すると想定外な問い合わせが発生します。そうした問い合わせ対応を改善するには、コールリーズンを把握し適切なチャネルはスキルのあるオペレータへ誘導する、まさに今までと同じセンター運営に関する施策検討が必要になってくるのです。
バーチャレクスは、最新のITサービスを提供するとともに、コンタクトセンターを運営するクライアントと「伴走」支援することを得意としています。日々刻々と変わるIT技術に関するご相談や、問い合わせ対応に関する業務支援についてご依頼など、ご興味があれば遠慮なくお問い合わせください。
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この記事はAmazon Connectの機能を実際に設定して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントを参照してください。
Amazon Connectのルーティングプロファイルで、着信するユーザーの優先順位に「前回のインバウンドコールからの経過時間が長いエージェントから順番に着信する」というルールを設定できるようになりました。
今までは「受け可(Available)」にしてからの経過時間が最も長いユーザーに着信する仕様(または、ユーザー個人を指定してのキューの転送)でした。この新機能を利用することで、ACW(後処理時間)が短いユーザーにばかり着信してしまう、「離席」などのステータスに変更することで「受け可」になってからの経過時間をリセットできてしまう問題点を解決できます。
ルーティングプロファイルの「前回のインバウンドコンタクトからの時間に基づくルート」のチェックボックスをONにするだけで完了です。
この設定により、冒頭で取り上げた「ACW(後処理時間)が短いユーザーにばかり着信してしまう」という問題が解決していることを確認します。
同じルーティングプロファイルのユーザーが2名ログインしている状態を想定します。
Aさんが先にログインし、ステータスを「受け可」にします。
Bさんが次にログインし、ステータスを「受け可」にします。
この時点ではログイン後の着信が1回も無いので、入電は先に「受け可」にしたAさんに着信します。
Aさんが電話応対を終え、その後Bさんにも入電し、電話対応を終えました。
Bさんの方がACWの作業が早く終わったので、Aさんよりも早くステータスを「受け可」に戻しました。
その後、AさんもACWが終わり、ステータスを「受け可」にしました。
従来の設定では、早く「受け可」に戻したBさんに次の入電が入りますが、「前回のインバウンドコンタクトからの時間に基づくルート」をONにしているため、電話応対が先に終わったAさんに入電します。
とにかく素早く大量のコールを捌く必要があるセンターでは従来通りの受け可にしてからの経過時間で優先着信する仕組みの方が効率的かもしれませんが、着信数にあまりに開きがあるとオペレータの正しい評価・オペレータ間での比較が困難というコンタクトセンター運営上の課題も考えられます。また、単純に公平性の観点から入電数をできるだけオペレータ間で均等にしたいという考え方もあると思います。そういったコンタクトセンターのニーズに応える新機能なので、是非活用をご検討ください。
今月のレポートは以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
]]>顧客体験価値が重視される今、「コールセンターは企業の顔」と考える企業が増えています。同時に、コールセンターに求められる役割が増えたことで、さまざまな課題が発生するようになりました。それらには「顧客ニーズの多様化」や「増え続ける問い合わせへの対応」といった対外的なものから、「システムの老朽化」「オペレーターの応対品質のバラつき」など内部的なものまで、さまざまな内容が含まれます。これら複数の課題を解決する方法のひとつとして「CRMの導入(刷新)」が挙げられます。今回は、大手住宅設備機器メーカーの事例を参考にしながら、課題解決の手掛かりを探ります。
大手住宅関連機器メーカーA社は、キッチン・浴室・化粧室といった住宅関連設備の提供を手掛ける企業です。これら複数の製品に対する問い合わせ・相談窓口としてコールセンター(お客様相談センター)を設置しています。今回、コールセンターーを支えるシステムの一部をバーチャレクスのCRM「inspirX(インスピーリ)」へと刷新しています。その背景には、以下のような業界の変化があったようです。
○多様化するニーズ
A社の属する住宅関連設備業界は、新築住宅着工数の影響を受けます。新築住宅の着工数は、今後10年以内に年間60万戸を切る可能性が示唆されており、メーカー各社には新たな生存戦略が必要とされる状況です。こうした状況の中、業界内では多様化する顧客ニーズをどれだけ満たし、評価されるかが焦点のひとつになっています。
例えば、「新築のみならずリフォームにも対応する」「キッチンをはじめとした水回りは施主の希望を詳細に採り入れる」など、これまで以上に柔軟な対応が求められるとのこと。従来よりも多様化したニーズを満たすためには、顧客からの要望をしっかりと分類・整理し、対応するためのシステムが必要になるでしょう。
○変化するビジネスモデル
A社では長年にわたり、住宅メーカーを相手方として「BtoB」の取り引きを行ってきました。しかし前述のように、施主(エンドユーザー)からの要望に対応する必要が生じており、「BtoBtoC」もしくは「BtoC」といったビジネスモデルへと変化していく可能性が高いそうです。また、ビジネスモデルが変化していく中で成長を遂げるには、エンドユーザーから寄せられた情報を蓄積・資産化する仕組みが必要だと考えていました。具体的には、資産化した情報をベースにしながらエンドユーザーに対して良質な体験を提供し「A社だからこそ買いたい」といった指名買いにつながるような仕組みを目指しているそうです。
今回、導入対象とされたお客様相談センターは、もともとエンドユーザーからの問い合わせ対応がメインであり、BtoCに近い部門でした。一方で、BtoBに属する顧客からの問い合わせも行うことがあり、さまざまな問い合わせに対して精緻かつ迅速に回答することが求められています。
このような背景に加え、A社では以下のように具体的な課題も認識していたとのことです。
○システムの老朽化
A社のコールセンターを支えるシステムは、すでに導入から10年が経過。オンプレミス型の旧システムはハード・ソフトともに老朽化しており、コールセンター業務に支障をきたすようになっていた。
○可用性の低下
オンプレミス型のシステムであるがゆえに障害対応や設定変更にかかる労力・コストも無視できないものだった。
○変化に対応力が乏しい
老朽化したシステムでは、今後求められる多様なニーズに対応できるだけの機能がないことも課題だった。多様化するニーズやビジネスモデルの変化など、新しい要件に対応するため、「今後10年は使い続けられるシステムが欲しい」というのがA社の要望のひとつだった。
これら業界特有の背景や課題を受け、A社ではコールセンターの一部を担っていたCRMの刷新を決定します。選定したシステムはバーチャレクスのCRMパッケージ「inspirX(インスピーリ)」です。
「inspirX(インスピーリ)」は、コールセンター運営者でもあるバーチャレクスが、実際にシステムを使う人の視点で開発したクラウド型CRMです。マルチチャネルや情報共有、可視化など、顧客接点における履歴管理・情報蓄積・共有・活用を後押しする機能を備えています。
A社においては、inspirXへの移行後に以下のような効果が確認されました。
○応対品質、履歴入力の精度改善
A社では、旧システム運用時から、コールセンターで取得した問い合わせ内容を蓄積し、テキストマイニングによる分析を行っていました。分析結果は各事業部に共有し、製品ごとに問い合わせ内容の数や傾向を周知して、問い合わせへの回答や製品開発などに活かす試みも実施していたとのこと。
しかし、旧システムでは問い合わせ履歴入力の精度が低く、データ分析やその後の利活用が十分とは言えない状況でした。
inspirXへの移行後は、豊富な入力支援機能やわかりやすいUIによって顧客対応の品質が上がり、それに伴って履歴情報入力の精度についても改善が確認されました。対応履歴が精緻化されたことでデータ分析や可視化が進み、業務運営における傾向や対策を把握しやすくなったそうです。
○使い勝手の良さが現場から高評価を得る
また、実際にコールセンターで業務にあたるスタッフからも、使いやすいとの評価を得られています。わかりやすいUIに加え、外部システム連携を含めて「何でもひととおり実現できる」点が高評価につながっているようです。
○業務品質が改善
一般的にIT製品の導入では「生産性」と「業務品質」の2つが評価軸になる傾向にあります。このうち、A社ではコールセンター業務全体で品質の向上を体感できているとのことです。
○他サイトへ適用も視野に
A社では、将来的にinspirXをECサイトや会員サイトの相談窓口へ適用し、継続的に顧客満足度を高めていきたいとのことでした。顧客情報を扱う複数のサイトを連携・統合することで、更なる顧客体験価値の向上が期待できるでしょう。
● inspirXを組み込んだA社のお客様相談センターシステムイメージ
A社にバーチャレクスのCRM「inspirX(インスピーリ)」を選定した理由をお聞きしたところ、以下4つを挙げていただきました。
○コールセンター専業企業としての強み
要望や要件を理解する速度・深さともに優れていることや、開発実績が豊富であることなど、コールセンター専業企業としての強みを評価いただきました。
○使い勝手の良さ
UIや外部システム連携など、わかりやすく柔軟なシステムも評価ポイントとして挙げていただきました。
○開発体制の充実
他社に比べて開発体制についての提案が厚く、プロジェクトを進めていく上での不安が払しょくされたことも選定理由のひとつとのことです。
○コストパフォーマンス
機能面とコストを比較した場合、他社に比べてコストパフォーマンスに優れているとの評価をいただきました。
今回は、中長期的な業界の変化を見据えたCRM刷新の事例を紹介しました。今回の事例で紹介したシステムは、2021年10月の本番稼働以来、大きな障害もなく稼働し続けています。また、本番稼働時に追加しきれなかった機能についても開発を進めており、システムをアップデートし続けています。バーチャレクスでは、コールセンター専業企業としての強みを活かし、引き続きA社の顧客体験向上に寄与する機能を提供していきます。
この記事はAmazon Connectの機能を実際に設定して、バーチャレクス・コンサルティングのメンバーがコンタクトセンターでの利用を想定したコメントをします。
Amazon Connectについての詳細情報はAWS公式ドキュメントを参照してください。
Contact Lens for Amazon Connect は機械学習を利用してコンタクトの文字起こし、感情分析、評価などができる機能です。
6月16日のアップデートで顧客とのコンタクトに対応しているエージェントのPCの画面を録画する機能が追加されました。通話録音、通話内容の文字起こしに加えて対応中の画面を見ることで、SVがエージェントの対応を観察することがさらに容易になりました。
コンタクト詳細の録音を有効化している場合、録音再生エリアだった場所に録画が表示されます。「画面録画を表示」のトグルで録音の再生と切り替えることができます。
エージェントが操作しているすべての画面(3画面まで)が録画されるため、横長の録画になっています。見にくい場合は動画を右クリックして「ピクチャーインピクチャー」で開くと多少拡大して表示できます。
Amazon Connect公式の管理者ガイドに沿って進めます。
Amazon Connect クライアントアプリケーション をダウンロードし、PCにインストールします
(インストールが一瞬で終わるうえ、「ダウンロードしますか?」「PC起動時にデフォルトで起動しますか?」といったよくあるメッセージが出ないので、インストールが完了しているかどうか分かりにくいです。ご注意ください)
C:\Program Files\Amazon\Amazon.Connect.Client.Serviceにある「Amazon.Connect.Client.Service.exe」をダブルクリックで起動します。
コマンドプロンプトでtasklistコマンドを実行して「Amazon.Connect.Client.Service」があることを確認しましょう。
ローカルにアプリが配置されるディレクトリ(①)とログが保存されるディレクトリ(②)が自動で作成されます。
①はアプリの起動時に既に確認済みですが、下記2箇所にアクセスできるか確認します。
① C:\Program Files\Amazon\Amazon.Connect.Client.Service
② C:\ProgramData\Amazon\Amazon.Connect.Client.Service\logs
画面録画を保存するストレージを明示的に決めなくても画面録画自体は可能ですが、録画をダウンロードしたり、他のアプリと連動させるために自分が確認できるS3に動画を置きたいといった場合は保存先を指定します。
Amazon Connect>インスタンス>データストレージ の「ScreenRecording」で「編集」をクリックし、保存先のS3を新規作成または既存から選択します。
画面の指示に従うとS3バケットを新規作成することを推奨されますが、Amazon Connectの通話録音や文字起こしの設定を既に行っている場合は同じバケットを指定したほうがデータの整頓がしやすいと思います。
画面録画を有効にするフローを開きます。
「記録と分析の動作を確認」ブロックをフローに配置し、「画面録画」をONにします。
画面録画はデータが大きいだけでなく、クライアントPCも高負荷がかかるため、すべてのコンタクトでONにしておくのは現実的ではありません。
業務運用上問題なければ、全体のコールの一部を録画するように「分散(%)」ブロックを「記録と分析の動作を設定」ブロックの前に配置し、分岐を設定しましょう。
録画があるコンタクトをAmazonConnectの「コンタクトの検索」で検索しやすくするため、コンタクト属性を追加しておくこともお勧めします。
録画を再生するエージェントのセキュリティプロファイル(権限設定)に権限を付与します。
セキュリティプロファイル>分析と最適化>画面録画 で許可する権限のチェックボックスをONにします。
以上で設定は完了です。テストコールをして動画が確認できることを確かめてください。
画面録画はエージェントの操作を把握するためには十分な品質で、話している音声を聞きながら画面を見るとエージェントが顧客と話している時に何をしているのかよく把握することができました。複数の画面を録画できるところも、2画面以上でたくさんのアプリを使いながら運用することが多いコンタクトセンターの運用に向いています。
録画を後から確認できるのであれば、多忙なSVがエージェントの指導のために電話中ずっと張り付いていないといけないといった運用を回避できますし、エージェント自身もずっと隣で見られているプレッシャーからむしろミスをしてしまう、といったデメリットを避けることができます。
また、コンタクトデータの検索と組み合わせて「通話後の処理が長いメンバーを抽出して、その画面録画で何をしているのか見てみよう」といった、データと操作内容を組み合わせたコンタクトセンターの運営状況チェックも可能になりそうで、用途が色々と思い浮かぶ便利な機能です。
ただし、(簡単ですが)クライアントアプリがあるためセットアップの手間が発生します。PCの台数が多いコンタクトセンターでは設定担当者の負担が少し増えそうだと思ったのと、通話中のCPU使用率の上昇が気になる(手元のPCで30%程度上昇。Zoomなどのツールと同じ感覚でしょうか)ので、研修中のメンバーにだけ設定するなど、マシンスペックも考慮した運用を同時に検討する必要がありそうです。
バーチャレクスでは、Amazon Connectの導入支援や、AWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービス「Connectrek」の開発・提供を行っています。
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~クラウドコンタクトセンターシステムに関する実態調査結果公開~
近年の働き方改革やコロナ禍による在宅勤務の拡大、またテクノロジーの進化や企業のDX推進など様々な要因のもと、コールセンターを取り巻く環境は近年急速に変化しています。これまでオンプレミスの電話基盤を中心に組み立てられていたコールセンターの仕組みも、顧客接点の多様化が進んだことで先々を見据えた拡張性や柔軟性が求められるようになり、対応を検討する企業も増えてきています。そんな中、ここ数年でコールセンター業界でも「クラウドシフト」が進んでいます。変化のスピードが早まっている現状の中でコールセンターの「拡張性」「柔軟性」を重視した際、「コンタクトセンターのシステムをクラウド化する」という選択肢は検討必須となっているのではないでしょうか。今回は、クラウドコンタクトセンターシステムの世界的プラットフォームである「Amazon Connect(アマゾンコネクト)」(*1)についての調査を行いました。
アメリカからやってきたクラウドコールセンターシステムの黒船、日本ではまだ認知度1割強
コールセンター事業運営に関わっており決裁権を持つ人4,916人を対象に、AWS(*2)が提供するクラウドコンタクトセンターシステム「Amazon Connect」を知っているかどうかを尋ねたところ、「知っている」と答えたのは13.3%、約6割の人が「知らない」と回答しました。27.3%の人は「名前を聞いたことはある」レベルにとどまっており、コールセンター事業に関わっている人たちの中において、その認知度はまだ低い状態であるようです。さらにAmazon Connectを知っていると答えた652人に対して、導入をしているか、または導入を検討したことがあるかどうかを聞いたところ、半数以上がすでに導入している、または導入を検討したことがある、という結果になりました。今回の対象者全体からみると、Amazon Connectの導入を検討したことがある人はわずか6.7%となっており、変化の波が押し寄せているコールセンター業界において、グローバルレベルでの情報収集から導入・検討まで進んでいる企業が少ない割合ながらもある一方、多くの業界内決裁者であってもその情報にすら触れていない企業との、大きなキャズムが生まれていることが浮き彫りになりました。定期的に情報収集をしているというより、自社内でシステムの検討/見直しが必要になってはじめて、新しい情報を能動的に取りに行く(行かざるを得ない)というのが現状なのかもしれません。
決め手は「クラウド」、時代の流れ反映
次に、Amazon Connectをすでに導入している、または導入を検討したことがあると答えた300人に導入・検討状況を聞いたところ、45.7%が現在導入している、48.3%が現在導入を検討中と回答しました。
導入(または前向きな導入検討)している290人に対して、その決め手となった項目を聞いてみると66.9%が「クラウドサービスである」ことを挙げており、時代の流れに合わせた変化に対応していくための「拡張性」「柔軟性」を求める企業が多いということが推察されます。
導入の進め方としては「POCをベンダーと協力しながら実施」していると答えた人が37.2%、また「POCを自社で実施(23.1%)」、「POCをベンダーに依頼(19.7%)」と、多数の人がPOCを実施(または実施予定)していることがわかります。自社で実施が困難な場合でも、外部に依頼して進めるケースも多いようです。
導入規模については51席~200席がボリュームゾーンでありつつ、席数が少なめである企業の方が、より導入(または導入検討)が進んでいることがわかります。
海外クラウドサービスがゆえの不便点がありつつも満足度は概ね良好
さらにAmazon Connectの不満・不便に思うところについてところ聞いてみたところ、「価格が高い(24.5%)*」、「使い勝手が悪い(21.7%)」、「コンタクトセンターとして必要な機能が不足している(21.4%)」、「電話番号が移行できない(20.0%)」といった項目が挙げられました。日本人にとって海外クラウドサービスがUI、UXの面で使いづらい、いわゆる「かゆいところに届かない」と感じるケースはよくあることでしょう。機能についてはひとつの製品/サービスに1から10までを求めるのではなく、その拡張性を生かして外部サービスをうまく連携させることで、より快適な環境が構築できる可能性は十分にあることが考えられます。この質問項目においては「不便・不満は特にない」と答えた人が26.6%と一番多い結果となり、Amazon Connectの性能・機能においては十分な評価が得られていることがわかります。(*2023年4月にフリーダイヤルの価格改定で46%値下げ)
最後に、Amazon Connectを既に導入済み/過去に導入していたことがあった人145人に対して、その利用満足度を尋ねたところ、実に81.4%が「満足している」と回答しており、Amazon Connectを活用した企業のコールセンターシステム改革が良い方向に進んでいることが推察される結果となりました。
足りない機能は補完できる、使い勝手はカスタマイズ可能
本調査でも不満として上がってきた「使い勝手」「機能不足」については、バーチャレクスが開発・提供する「Connectrek(コネクトレック)」で課題解消を支援することが可能です。ConnectrekはAWS基盤活用のコールセンターシステムクラウドサービスで、ソフトフォン機能やチャットソリューションなど、コンタクトセンターの現場目線で開発した機能をAmazon Connectに組み合わせて使用することができます。詳しくはConnectrekサービスサイトをご覧ください。
また、バーチャレクスではAmazon Connect導入支援サービスも提供しています。Amazon Connectを利用するために必要なシステム設定や構築作業および利用者向けトレーニングやQA対応等、企業様の必要に応じたサポートが可能です。
(*1)Amazon Connect(アマゾンコネクト):
Amazon Connect(アマゾン コネクト)とは、AWS(Amazon Web Services / アマゾンウェブサービス)が提供する、セルフサービスで構築が可能なクラウド型コンタクトセンターソリューションです。低コスト・短期間で導入でき、オペレーター-や作業スタッフの業務を効率化、コールセンターやコンタクトセンター、カスタマーサポートセンター運営の簡素化を可能にします。
(*2)AWS:
AWSとはアマゾン ウェブ サービスの略称であり、世界で最も包括的で広く採用されているクラウドプラットフォームです。AWSパートナーネットワーク(APN)はAWSを活用して、顧客向けのソリューションとサービスを構築しているテクノロジーおよびコンサルティング企業向けのグローバルパートナープログラムです。APNは価値あるビジネス、技術、マーケティングのサポートを提供することで、企業のAWSサービス構築、マーケティング、販売を支援します。バーチャレクスは以下の認定資格を保有しています。
【調査実施概要】
「クラウドコンタクトセンターシステムに関する調査」
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施期間:2023年4月6日~2023年4月7日
・対象地域 :全国
・対象者 :コールセンター事業関連職で決裁権を持つ20歳から 69歳の男女4,916人
コンタクトセンターの基礎シリーズ記事一覧
【CCの基礎 #1】コンタクトセンターの本質的な役割とは
【CCの基礎 #3】コンタクトセンター自動化のゆくえ
今回はコンタクトセンターシステムについてのお話です。
ひと昔前、顧客接点が「電話」しかなかった時代では、「PBX」「CMS」「CTS」がコールセンターシステムの"三種の神器"でした。それから様々なチャネルが誕生して、顧客も多様化し、情報も格段に収集しやすくなった昨今では、必要なシステムも変化しつつあります。
本稿では、コンタクトセンターシステムとして必要な機能や考え方について整理しました。
1.マルチチャネル対応機能
顧客からの問い合わせは今や電話だけでなく、メールやSMS、Webフォームなど様々なチャネルから発生しています。
チャネル毎に履歴を管理しても、顧客目線における時系列での履歴を把握できず、大切な要望や重要な転換期を見落としてしまうことにもなりかねません。これらはITの力を利用しないと統合できませんし、統合化することでCX向上にも役立てる事ができます。
2.データ分析機能
履歴データを集計し、分析することで様々な情報を把握することが可能になります。顧客の声(HotVoice)の収集や製品/サービスの改善につながるヒントだけでなく、センター運営上の課題や対応方針も見出すことができます。
また、問い合わせ量とコールリーズンとの関係から、最近の問い合わせ傾向やペインポイントを見つけ出すこともできます。これらは分析ツールを使いこなすことで効率的に行うことができます。
3.センター運営管理機能
ここでは問い合わせに必要な情報整備やスーパーバイザーが運営するために必要な機能群を指します。例えば問い合わせ対応に必要なFAQやナレッジ情報は他の情報と正しく連携し誰が答えても同じであり、その内容はできるだけ素早く(場合によっては能動的に)検索できる必要があります。
またセンターを運営していく上で次々に発生する事象(有事、ハードクレーム、NGワード検知など)をスーパーバイザーは常に把握する必要があります。それを解決するために、エスカレーション機能、感情分析、一斉通知機能などがその一例として挙げられますが、これはフロアやセンターが分散されていたとしても関係者には正しくタイムリーに連携される必要があります。
4.クラウド基盤利用
これはSaas利用という観点だけでなく、AWSやAzureを利用したマネジメントサービスも含みます。つまりデータセンター上にシステムを構築し、それを運用保守する事が(要員的にもスキル的にも)難しい状況にある中では、様々なクラウド基盤を利用しない手はありません。情報システム部門は(パッケージ/サービス問わず)その運用から解放される(もしくは委ねる)事で本来のITを利用した事業運営をどうすめるかに時間を使う事ができます。
上記で記載した分析ツールもサービスとして多数存在しているので、大規模な投資をしてシステム構築をせずとも自分達に合うツールが何かを、試しながら選定することができます。
5.自動化ツール
自動音声応答(IVR)など、以前より存在するセルフ対応機能は備えていますが、この分野ではAI技術を利用したよりきめ細かな対応を実現することが可能になっています。音声認識や音声合成、インテリジェントルーティングなどの技術を組み合わせ、より精度の高いチャットボットやバーチャルオペレータが対応することで、単なる自動化ではなく、顧客体験させる様々な施策展開を自動化する事ができます。
顧客ニーズや働き方の変化、そしてAIの台頭でシステムに求められる機能は大きく様変わりしました。しかし顧客からの問い合わせに対して早く正しく対応する(場合によってはそれ以上の価値を提供する)ことが目的であることは昔も今も変わりはなく、今後も全てがシステムで自動化されることはないでしょう。コンタクトセンターシステムをうまく利用し、顧客満足度を向上させていくセンター運営を継続的に実施/改善していくことが、今後より求められます。
バーチャレクスでは長年のコンタクトセンター運営経験を活かした機能が多数搭載されている、マルチチャネル対応のCRM製品「inspirX(インスピーリ)」を提供しています。標準のままでも必要なカスタマイズも、またオンプレミスでもクラウドでも、企業様のご要望に応じて利用する事ができる柔軟性を持ったシステムですのでご興味があればお問合せください。
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日本でも働き方に関する話題が増える昨今、コールセンターの業界における在宅コールセンターやフルリモートコールセンターも一般化しつつある中で、コールセンターシステムのクラウド化が浸透し、リモートを支援するツールの普及も進んできています。その一方でコールセンターの現場で働いているスーパーバイザーやオペレータの業務PCの画面には各種ツールのウィンドウが多数立ち上がっており、ディスプレイ渋滞という新たな問題も発生しています。「サービスや商品を必要な時に必要な分だけ」消費できるサブスクリプションというビジネスモデルが、コールセンターで使用するツールにも広がってきたことが、上記の課題を引き起こすひとつの要因にもなっているとも言えます。複数ツールを使用するということは各種ツールの操作を覚える必要があるため、オペレータへの運用負荷がかかり、その結果作業効率が落ちたり、
オペレータの離職に繋がったりと、人材が定着しない事態にも陥ってしまうことなります。
顧客満足度の向上や、運営効率化を目的としているはずの便利なツールたちが、なぜこのような事態を引き起こしてしまうのでしょうか。以下に、具体的な課題と解決策をまとめました。
● 「複数ウィンドウが開いていて画面が煩雑で使いにくい」
→ 問い合わせ時に必要な情報を一画面に集約することが望ましい。(CRM×FAQ)。
● 「外部FAQと内部FAQが異なるためナレッジ管理が二重になる」
→ 外部FAQと内部FAQのナレッジは1つのシステムで管理するのが望ましい。多くのセンターでは外内部FAQのメンテナンスに多くの工数を取られ、カスタマーサポートの体制を維持するだけでも大変なのが現状。外部FAQサイトは「作る→使う→分析する→メンテナンスする」というサイクルで管理することで利用率を上げる必要がある。お客様にはお伝えしない内部向けの情報も含まれるケースもあるため一元管理がよい。(CRM×FAQ)
● 「業務の効率化や品質向上のために導入される音声認識を活用したシステムが、オペレータの欲しい回答候補をレコメンドしてくれない」
→ 現時点ではオペレータが会話を解釈し、手動検索との二段構えで対応する。コールセンターではテキスト化で後処理短縮というニーズとFAQの回答候補のレコメンドといったオペレータ支援システムとして期待されて導入されますが、音声認識のテキスト化されたものからではなかなかオペレータの欲しい回答候補をレコメンドしてくれない。昨今ではAI搭載型のFAQやAI連携対応FAQなどもあり、自然文検索が出来るようになってきたが、異なる表現の質問の言い回しをAIが正確に判断するにはもう少し時間が必要とであると言われている。(CRM×FAQ×AI)
このように、コールセンター運営の効率化、顧客満足向上には、お客様対応業務の一画面化が望ましいといえます。一画面完結を実現するためには、CRM(顧客管理)システムの選定がカギとなります。個人情報の管理のほか、問い合わせの対応履歴、顧客へのアプローチ履歴など、顧客のあらゆる情報を管理することはもちろん、電話、メール、チャットなどの複数チャネルの対応履歴も一元管理できるとウィンドウの数を一気に減らすことが可能となります。
バーチャレクス・コンサルティングが開発したコールセンターCRMソフト、「inspirX 5(インスピーリ ファイブ)」は、カスタマーサポートやヘルプデスクのオペレーション顧客応対時に、その顧客に紐づく契約などの任意や補足情報を参照・管理することができる「顧客サブモデル」の登録機能が搭載されています。また、画面分割を3列レイアウトに変更することが可能なため、画面左側に顧客情報・補足情報を表示しながら、右側の3列目でFAQなどオペレータ支援系のタブ画面を表示出来ます。この3列目のタブ画面には外部FAQなどの別ツールを埋め込み表示する機能があります。ここで外部FAQと内部FAQの一元管理のできるスカラコミュニケーションズ製の「i-ask(アイアスク)」を埋め込み表示させると、ナレッジを一元管理しながら一画面完結のオペレーションを実現することが可能となります。
さらに株式会社エーアイスクエアの開発した自然言語処理AIエンジン「QuickQA(クイックキューエー)」を「i-ask(アイアスク)」に連携させると検索時のFAQの検出率向上に繋げることが出来ます。
本記事でご紹介したCRMソフト(inspirX)、FAQツール(i-ask)、AIエンジン(QuickQA)を組み合わせて使うことにより、問い合わせ対応時に必要な情報を一画面に集約、また電話チャネルだけでなくメールの送受信も1システムで対応出来るため、スムーズな顧客応対に繋げることが可能となります。また、外部FAQと内部FAQのナレッジを1つにすることで、複数画面の煩雑さを軽減させるだけでなく、FAQのメンテナンス工数削減にも貢献します。さらに、AIエンジンをFAQと連携させることで検索時のFAQヒット率、またリアルタイム音声認識でFAQサジェスト検索が必要な際のFAQヒット率向上に繋がります。
進化し続けているコールセンター周辺テクノロジーですが、上手く活用しないとその恩恵を受けられません。業務効率化、顧客満足度向上に繋げるコールセンターシステム環境構築についての課題、お悩みがありましたら、お気軽にバーチャレクスまでお問い合わせください。
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