次世代型SVに求められる「BPR」「ソリューションデザイン」「現場運営」3つの視点

成長企業の常識、企業と顧客を成功に導く「カスタマーサクセス」―これからの時代の必勝法-人手不足対策は、さまざまな業界でビジネス上の最重要課題として掲げられています。特にコールセンターでは、離職率が高いことも相まって、慢性的な人手不足が続いています。一方、コールセンターは単なる「窓口」から、顧客とのコミュニケーション活性化・顧客価値創造の場として見直されており、人手不足の解消は急務です。

この問題の鍵を握るのは、優秀なSV(スーパーバイザー)の確保だという見方が、日々強まっています。現場の指揮官であるSVの質を高めれば、自然とオペレーターの定着率も高まり、人手不足の解消に繋がるというわけです。

ただし、優秀なSVは、どのコールセンターでも欲しい人材。数あるコールセンターの中からあえて自社のコールセンターを選んでもらうには、それ相応の動機が必要です。

つまり、競合他社とは差別化されていて、なおかつSVにとって魅力的な職場であることが求められます。今回は、当社BPO事業部マネジャーの経験から、そのヒントを探ってみます。


1.BPOトップマネジャーがコールセンターで働き始めた理由

私は、今でこそBPO部門マネジャーを拝命していますが、入社当初はコールセンターのアルバイトでした。なぜコールセンターを選んだかといえば、比較的給与水準が良く、時間の融通が利いたからです。

ミュージシャンを目指していた当時の私にとって、効率よく稼げて時間的な自由も確保しやすいコールセンターは、魅力的な職場に見えました。そういう意味では、当社との出会いは、偶然の産物だったかもしれません。

しかし、例えアルバイトであっても、ハンデを感じたことはないですね。これは私だけではないと思います。なぜなら、BPO部門の社員の多くがアルバイト入社で、コールセンターのオペレーターを経験しているからです。

実際私も、2003年に当社の案件のひとつだったISPサービス料金センターのオペレーターとして採用され、アルバイト入社しました。そして入社してすぐ、SVが20名~30名、オペレーターが200名~300名という大規模なプロジェクトに配属され、クレーム対応に当たりました。

オペレーターとして働き始めたばかりのとき、クレームの多さに驚いたことを覚えています。そのセンターは電話の大半がクレームで、長いものでは1回のクレーム対応に5時間半以上もの時間を費やすほど。1日8時間労働で、たった3回のクレームしか処理できないほど、ハードな内容でした。

普通はそこで辞めてしまうのかもしれません。しかし、私はその後も退職せずに仕事をつづけました。その理由は、現場を取り仕切る優秀なSV達が輝いて見えたからです。

彼らは日々押し寄せるクレームに屈することなく、次々に難題を解決していきました。他部署へのエスカレーションや上司とのコミュニケーションを駆使し、クレームという「怪物」を退けていったのです。入社間もない当時の私にとって、彼らはまさにヒーローのような存在でした。


2.3ヶ月が3年に~クライアントからの言葉で得た気づき

また、クライアントからいただいた沢山の激励や評価も、今の私を形作る重要な要素になっています。

あるクライアントは、私にこう言いました。

谷川さん、もっと自分の言葉で話そうよ!」と。

これは、基幹システムのリプレイスを行うプロジェクトで、システムのマニュアルを作成していたときに、クライアントからいただいた言葉です。

当時の私は、コンサルタントを目指し、3文字英語や英単語を駆使した説明に苦心していました。それがコンサルタントらしい説明だと思い込んでいたのです。しかし、クライアントはそんな使い古された定型句ではなく、もっとかみ砕いて地に足の着いた言葉で説明して欲しかったのだと思います。この言葉で肩の力が抜け、より仕事の本質に向き合えるようになりました。

また別のクライアントからは、「今まで沢山のコンサルを使って来たけど、バーチャレクス・コンサルティングが一番凄いと感じた」という言葉をいただきました。大手コンサル会社とは違い、コンサルティング部門、IT部門、BPO部門が連携して構築する一気通貫型のサービスが、クライアントの評価に繋がったのだと思います。

さらに「3ヶ月と思ったら、いつの間にかもう3年経ちましたね」という言葉をいただき、私たちの仕事が評価されていることに気づかされました。3ヶ月の予定で始まった業務構築支援でしたが、当初の目的を達成したあとも次々に新しいアクションに参画させていただき、いつのまにか3年ものお付き合いに発展していたのです。

もちろん、こういったクライアントからの激励・評価の影には、さまざまな苦労がありました。ひとつとして簡単に終わる仕事は無く、それぞれに工夫が必要でした。しかし、職域やポジションの垣根を越えた力の結集で、クライアントからの評価を勝ち取ってきたのです。

業務構築支援は、クライアントの懐に飛び込み、さまざまな課題を解決する仕事です。つまり「出来ない」では済まされないことが多いのです。しかし、だからこそクライアントからの評価がダイレクトに伝わってきますし、面白さややりがいを感じやすい仕事でもあります。


3.BPO事業部での担当領域・やりがい。そして、可能性にチャレンジできる風土がある!

現在、私は東京及び九州における複数プロジェクトのマネジャーとして業務を行っています。また、新規業務の立ち上げ支援、業務設計・構築や業務改善推進といった「CRM/BPOソリューション構築担当」も兼務しています。もう少し具体的に仕事の内容を説明すると、

・コールセンターを中心とした事業のBPO支援
・電話でヒアリングした意見を集計分析し、マーケティング支援を行う事業
・情報システム部門のアウトソーシング事業
・オフィスデザインの構築事業
・ネットワーク監視事業
不動産業界向け物件情報サイトの違反広告の監視事業

といった具合でしょうか。当社はコールセンターのBPO事業に強みがある一方で、コールセンターに限定しないBPO支援も行うのが特徴です。

また、当社はコンサルティングのみならず、IT活用や導入支援、アウトソーシングまでを含めた提案ができる基盤を持っています。その点を評価されて仕事を任されることも多いです。

もちろん、仕事の規模や重要度から、クライアントが求めるレベルは高くなります。コンサルティング部門が提供するドキュメントのレベルが高いため、その中で定義した「あるべき姿」を実現してクライアントを納得させるのは、並大抵のことではありません。上手くいかない事も多々あります。しかし、だからこそ常にブレイクスルーを探り、挑戦を続ける風土が根付いています。

また、ジャンルを問わずさまざまなプロジェクトに参画してスキルを身に着けたいという要望が歓迎される風土も当社の特徴です。

実際私も、入社から14年ほどの間に10数プロジェクトの運営や立ち上げ、業務コンサルのお手伝い、社内研修構築及び講師等を経験させていただきました。

こういった当社の風土が、難題を解決するエネルギーの源泉となっていると感じます。また、目的を達成できたときの喜びは、新たなる挑戦に自分を向かわせるエネルギーにもなり、好循環が生まれています。


4.次世代型SVとして求められる3つの視点

これまでコールセンターの業務構築支援や立ち上げ支援などを多数経験させていただきました。その中で私が思うことは、これからのコールセンター業務の鍵を握るのは「次世代型SV」だということです。

次世代型SVとは、

・「BPR(業務改革)の視点」
・「ソリューションデザインの視点」
・「現場運営の視点」

という3つの視点を持ち合わせたSVのことです。

1つ目の「BPR(業務改革)の視点」は、自分が行っている業務に対して常に「何のために?」「誰のために?」という問いを繰り返す客観的な視点です。現在行っている業務を良い意味で疑い、「当たり前」と感じている自分を否定しながら「どうすればお客様にとって最適な流れでサービスを提供できるか?」という視点を持つことが重要です。

2つ目の「ソリューションデザインの視点」は、「コンサルティング力とIT力の融合を果たす視点」と言い換えても良いでしょう。無暗に先端技術を取り込むのではなく、本来の目的や実際に使う人をイメージしながら、最適なソリューションの構築を目指す視点です。

チャットボット、RPA、自動テキストマイニングなどの先端技術は、確かに魅力的です。しかし、ソリューションの導入自体を目的とせず、導入後のあるべき姿を目指してソリューションの設計(デザイン)を行わなくては、本来の効果は発揮できません。ときには、「RPAを導入する必要は無い。別のExcelマクロで十分だ。」といった結果が出てくる可能性もあります。こういう意見を、アサーティブ(率直・対等)に伝えられる人材が求められると思います。

3つ目の「現場運営の視点」は、簡単に言うならば「お客様の意見をリアルに伝えていける視点」です。お客様と直接対峙しているオペレーターからの相談、報告、対応中の動作などからリアルタイムな運営判断につなげる視点が重要です。コールセンターが吸い上げる情報は業務改善・効率化のみならず、企業の付加価値創造に繋がるものです。SVはこれらを素早く検知し、他部署や上司に展開しなくてはなりません。

このように次世代型SVにはBPR・ソリューションデザイン・組織運営の視点が求められます。現場がわかる立場だからこそ、「どうすれば最適な業務になるのか」を最前線で考えられる仕事だと言えます。また、次世代型SVとして成長できれば、業務改善はもちろん、昨今のトレンドであるAIのチューニングや、チャットボット・RPA最適化などのキャリアにも繋がるはずです。

SVは、苦労が多い仕事です。だからこそ、RPAやチャットボットなどをうまく使いながら無駄を削り、働き方改革をいち早く実現できる仕事でもあります。さらに、かつてのSVよりも担当領域が広がり、やりがいが向上していることは間違いありません。

私がアルバイトのオペレーター時代に憧れた「輝くSV達」の遺伝子を受け継ぎ、次世代型SVとして、新時代のコールセンターを作っていって欲しいですね。

当社BPO事業でのSVのポジションにチャレンジしてみたい方、どうぞ以下をご覧ください!

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執筆者紹介

バーチャレクス・コンサルティング株式会社
オペレーションサービス統括本部 業務運営管理グループ
CRM/BPOソリューション構築担当 マネジャー
谷川 陽介(たにかわ ようすけ)
2003年より弊社にてISP、飲料、飲食、オフィス用品通販業界等の多数のコンタクトセンター運営マネジメントを手掛ける。応対品質管理、業務設計構築、新規事業立上支援、社内研修構築含め、コンタクトセンター領域のプロフェッショナルとして従事。

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