コンタクトセンターの業務改革と賢いシステム導入のためのクラウドサービス活用

s_cover_201704-1.jpg急速なテクノロジーの進歩で、日々その対応に変化を迫られるコンタクトセンター。しかし、ただ闇雲に最新テクノロジーを具備したツールを導入すれば、すべての課題が解決するというわけではありません。

今回は自らもコンタクトセンターを運営し、その経験をもとにシステムの提供も行う立場から、過度なシステム投資をせずにセンター改善や業務改善を推進するためにはどうしたら良いのかを考察します。


コンタクトセンターに必要な変革の推進と、そこに待ち受けるボトルネック

2015年あたりから、コンタクトセンターのトレンドとしてユニファイドコミュニケーションやオムニチャネルといったキーワードが出始めました。今まで電話やメールによる問合せに対して的確に回答する事が主業務だったコンタクトセンターの対応範囲を広げ、また蓄積した対応履歴データをコンタクトセンター外でも有効活用し、顧客体験や顧客満足度をあげていこうという流れです。

一方、日々のコンタクトセンター業務を行いながら、その役割を担うようなスキームを構築するのは難しく、いくつかの事例でみる限り(新しいコンセプトのもと統合的なセンターを立ち上げる以外は)ある一定の領域でのみ試行しているようなケースがほとんどです。大規模なセンターであればあるほど、それらの必要性や効果がある事をある程度認識しつつも、コンタクトセンターの業務を改革するまでに至っていない、もしくは判断できない状況であるとの認識です。 コンタクトセンターは企業のプロフィットを生み出す最前線の部隊であり、顧客ニーズをキャッチし顧客満足度をあげる直接的な中枢組織である事は我々も様々な場で発信し続けていますが、それを具現化する上でボトルネックとなる要素の1つにシステム投資があります。

Gartner社(ガードナー社)のレポートによると、「世界中の企業が直面する主な課題は、コール・センター・インフラストラクチャのコストを削減しつつ、顧客サービスのニーズを満たす上での大きな柔軟性を具備すること」とあります。

新しいテーマやトレンドに追従するために新しい技術やシステムは不可欠な要素の1つですが、これを一から構築するには多くの時間とお金がかかります。また新しい技術要素に関してはその不確実性から投資効果を見いだせない不透明さも意思決定を妨げる要因でもあります。

過度なシステム投資をせずにセンター改善や業務改善を推進するためにはどうしたらいいでしょうか?


システム初期投資をおさえた「クラウドサービス」という選択肢

最近いろいろなお客様から「スモールスタート」という言葉を耳にします。投資を抑えながら業務効果を検証し、新しいサービスや業務を生み出し成長させていきたい、というアプローチです。これは我々が関わらせていただくプロジェクトや我々が提供する「マザーセンターソリューション」など、同じ考え方を適用するケースが多くあります。 そして、システム投資予算を抑えながら、現場の業務品質をあげる事を試行していく事を考えた時に、クラウドサービスは1つの大きな選択肢になります。

個人情報管理にシビアな金融業界でも事例が出始めているように、AWS(Amazon Web Service/アマゾンウェブサービス)やMicrosoft Azure(マイクロソフト アジュール)に代表されるクラウド基盤が、セキュリティ要件や可用性を克服し、成長してきています。もちろん、オンプレミスなインフラを望まれる企業もまだまだ多いのも事実ですが、ビジネスや業務改革のスピードを求め積極的に検討を進める企業が増えています。

例えばコンタクトセンターで利用されるテレフォニー基盤もクラウド提供しているものが数多く存在し、従来の専用機器としてオンプレミスに導入するそれと比較して機能差もなくなってきています。クラウドサービスであれば世の中のトレンドや業務の繁閑の波によって変わる業務量にも柔軟に対応可能であり、設備の買い直しリスクも不要になります。

テレフォニー基盤以外にも、コールトラッキングシステムやデータ分析ツールなど、クラウドで利用する選択肢が増えています。これらは多くの要因で刻々と変わる問い合わせの理由や傾向に対応して、管理項目や対応に必要なナレッジ情報も変化させていく必要がありますが、このような要求も吸収する機能もあります。


システムはツール、プロセス定義と推進体制が重要

我々も、CRMをはじめ、BIやナレッジ管理などのクラウドサービスを複数提供しています。ただ一番重要なのは、ツールそのものではなく、それを効果的に使うためのプロセスを正しく定義し、しっかりと効果検証を行うための強力な推進体制であると考えます。

2016年からはAIやWebRTC(Web Real-Time Communication/ウェブ・リアルタイム・コミュニケーション)RPA(Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション)といった業務効率化を目指すテーマやソリューションも出始めていますが、これらも本来の目的を見失わず、業務改革を推進しながら最適なシステムやソリューションをチョイスし効果をあげていく必要があります。そしてそれにはコンタクトセンターに関わる業務要件とシステム要件の両面の知見を持ち合わせていなければなりません。

繰り返しになりますが、コンタクトセンターの業務改革においてシステムサービスは一つのツールでしかありませんが、そのツールはクラウドサービスとして様々な形態で利用できる時代となりました。適切なサービスを必要な分だけ利用し、その業務効果を見極めて拡大していくことが大切だと言えます。

我々の社内で蓄積されているノウハウや事例をもとにオムニチャネル化や業務効率化を具現化させていき、会社全体での顧客体験と顧客満足度向上の目指すためのお手伝いをさせていただければ幸いです。

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執筆者紹介

ken_emoto.jpgバーチャレクス・コンサルティング株式会社
システムソリューション&サービス事業本部
クライアントパートナリング部 部長
江本 研(えもと けん)

2001年より弊社にてカード会社や生保などの金融、メーカー、通販業界等の多数のコンタクトセンターシステム導入プロジェクトにコンサルティングやプロジェクトマネージャーとして従事。コンタクトセンター業務改革支援とシステム構築マネジメント経験を活かした、顧客の課題に対する的確な提案力が強み。