コンタクトセンターにおけるAI導入検討時のポイント

20170120_brain.jpg昨今のAI/機械学習分野の状況を振り返りながら、「コンタクトセンターへのAI導入って進んでいるようだけど、そもそもAIで何ができるの?」「機械学習の概要くらいは調べたけれど、どう活用すれば良いのかピンとこない・・・」という方に向け、今回は当社マーケティングソリューション部のメンバーが「AI導入検討時のポイント」について本記事にまとめています。



本格的なAI時代の到来

2016年は、AI(人工知能)というキーワードが、ニュースやメディアを大いに賑わしました。まさにAIブームといえる年でした。コンタクトセンター分野においても、その傾向は顕著に現れ、様々な企業がその取り組みを発表しています。

  • 「AIで顧客の感情分析 損保ジャパン、保険金支払い円滑化」 日本経済新聞電子版 2016/12/15日掲載記事
  • 「顧客対応で最高評価、 三井住友海上のAIによるコールセンター改革」
    http://newswitch.jp/p/6945
  • 「日本旅行(NTA)、新たな中期経営計画で中核分野の販売高を倍増、ネット販売強化で45億円の投資も」 https://www.travelvoice.jp/20161226-80399

改めて技術分野に視点を戻すと、特にDeep Learning(深層学習) 関連においては、数年前までは予想出来なかった分野での成果が発表されています。AIによる囲碁アプリの活躍、レンブラントの新作発表、小説の執筆など、その進歩の速さに驚かれた方も多かったのではないでしょうか。

一方で、実際のビジネスの場での活用となるとまだまだ試行錯誤が続いていたようにも思われます。劇的な技術進歩があったものの、経験や人材不足により活用シーンを掴みきれず、企画段階で足踏みをしている企業もあるでしょう。

そして、いよいよ2017年は「AI導入元年」となり、実用化への取り組みが加速していくのではないでしょうか。

コンタクトセンターは、AIに置き換えられるのか?

コンタクトセンターでは、お客様のお問い合わせ内容に応じた、きめ細やかな対応が要求されます。コンタクトセンターの応対品質が低いことでその企業自体への不満が募るといったこともしばしば見受けられます。

そのようなコンタクトセンターをAIでの対応にそっくり置き換えてしまうことは、可能でしょうか?

我々は、すべてがAIに置き換わることは、「ない」と考えます。やはり人が人への対応を行うことで生まれる価値というのは、現時点でのAI技術ではまだまだ実現できないからです。

AIは、その進度から、特化型人工知能と汎用型人工知能とに大別されます(AIの分類にも様々ありますが一例として)。前者は、文字通りですが、特定の用途・役割を担う人工知能であり、上記のような囲碁や将棋用、はたまた工場の生産ライン用等々において人の代替を可能とする技術を指し、既に実現済みです。後者はより人間の知能・脳に近づき、特定の用途・役割を限定せず、自ら課題を特定し、考え、対応する人工知能であり、2030年頃には実現されるのではないか、とも言われています。

特化型人工知能を活用したソリューションにより、一部のコンタクトセンター機能をAIで置き換えることは現時点でも可能となりつつある状況ですが、AIがオペレーターに代わり、お客様の感情を読み取り、寄り添い、適切な対応を、適切な温度感を持って行うというレベルに達するには相当の時間を要すると考えられます。

コンタクトセンターのAI活用事例から見る導入のポイント

それでも先進的な企業は取り組みを進めています。

冒頭でお伝えした事例より、損保ジャパンの場合「AIで顧客の感情を分析し、円滑に保険金の支払い手続きを進められる体制を作ること」を目的に、また三井住友海上の場合は「過去の応答履歴を文章化した数百万件ものデータを分析。結果をワークフローマネジメントシステムにかけることで、入電件数の予測をより正確にし、オペレーターの最適な人員配置も割り出すこと」を目的にAIの導入をおこなったようです。

これらの事例から見える共通的な導入観点とは、AIが人の変わりになるのではなく「AIが人をサポートすること」を目的としていることです。

損保ジャパンの場合は、AI導入以前、感情を分析することを人が行っていたと推測します。しかし、この作業には、注意深く応対を行う必要があり、かなりの精神的プレッシャーを伴います。オペレーターには疲労とストレスがたまっていたことは、コンタクトセンターの現場を知る我々からすると容易に想像がつきます。

その疲労とストレスがたまる作業をAIに任せることにより、オペレーターの負荷を軽減させ、応対に専念させることができたすばらしい事例だと思います。

コンタクトセンターでは、顧客の応対品質をいかに高く維持しつつ、センター内の業務効率を向上させ、かつ働くオペレーターのケアをどのように行うか、ということが常に課題です。こういった課題に対して、AIが「どうすれば人のサポートをすることができるか?」という視点での検討がもっとも重要な導入ポイントと考えることができるのではないでしょうか。

まとめ

コンタクトセンターでのAIの活用については、まだまだこれからです。様々な進展が見込まれます。現在、導入を検討されている企業様も人を単にAIで置き換えるという発想ではなく、「どうすれば、人の役に立つか?」といった視点から検討を進めてみると、意外な場所での活用方法に気づくかもしれません。

今後は、コンタクトセンターのAI化に関する技術的な情報(Microsoft Azureの活用方法や事例など)もこの場で公開する予定です。ご検討になる際に、お役に立てれば幸いです。

また、弊社では、AI活用を踏まえたコンタクトセンターのあり方などをお客様と共に考えるコンサルティングサービスや、Microsoft社のAzure Machine LearninなどのAzure関連のサービスやPowerBIといったデータ活用ソリューションの提供や導入支援などを行っております。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

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筆者紹介

谷田 真孝バーチャレクス・コンサルティング株式会社
マーケティングソリューション部 部長
谷田 真孝(たにだ まさたか)

中堅SI企業にて、CRMやEC関連など顧客接点となるシステム導入プロジェクトを多種多様な企業にむけて行った経歴を持つ。
バーチャレクスコンサルティング入社後は、基幹システム導入プロジェクトやEC/マーケティング/コールセンターシステム導入プロジェクトに従事。


hyakuno.jpgバーチャレクス・コンサルティング株式会社
マーケティングソリューション部 マネジャー
百野 貴博(ひゃくの たかひろ)

DMP構築案件やCloudシステム構築時の技術調査に従事。
「顧客と共にシステムを考える」を心情に、ITに疎いというお客様にも伝わる「ITの例え化」の高みを目指し日々精進を重ねる。