CRMシステムは導入すべき?コールセンター新規立ち上げ・拡大時に考慮すべき検討項目集

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新規サービスのローンチや既存のサービスの拡大などに伴い、問合せや注文受付・営業用のチャネルとして、コールセンターの新規立ち上げや拡大を検討されている方もいるのではないでしょうか?

立ち上げやセンター拡張のタイミングで決めなくてはならない事項の1つが、「顧客情報や応対履歴を管理する仕組み」についてです。

こちらはCRMシステムを導入する企業もあれば、事業規模や管理する情報量、予算などの関係から、ExcelやAccessでの管理することを選択する企業もいますが、どういった基準でその判断を下すべきなのでしょうか?判断の基準になり得る検討項目の一部をご紹介します。

Excelなどの表管理ツールで管理するか、CRMシステムを導入するのかを検討する際、以下の表のような検討を実施する必要があります。

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顧客情報や履歴情報などデータ量

当然ですが、管理するデータ量が多いか(多くなる可能性があるか)少ないかは1つの判断基準になります。

ExcelやAccessもバージョンアップするごとに管理できる行/列数は増えていますが、増えれば増えるだけファイルサイズが大きくなり、動作が重くなりますので、対応履歴を蓄積したり、収集項目を増やしたりする想定があるのであれば、CRMシステムでの管理の方が効率的と言えます。

データ管理範囲

例えばオペレータごとに担当業務、顧客が明確に分かれており、コールセンター内で情報共有する必要がない(各オペレータごとに対応履歴が残っていれば良い)場合は、表管理ツールのみでも問題ないかもしれません。ただ、そのような状況は稀で、多くの場合はオペレータ、SV間での顧客情報や応対履歴の情報を共有する必要があると思いますので、その場合はCRMシステムでの管理が望ましいと思います。 ※ファイルサーバ上で管理/Excelの共有ブックを利用などでも対応出来ますが、データ量や以降で説明する「情報更新者数」によってシステムの要否が分かれるでしょう。

管理する情報の範囲

「データ量」にも近いですが、顧客数だけでなく、その顧客に紐づく過去の問合せ履歴や問合せ案件の対応状況など、継続的に蓄積されていく情報を登録、管理していく必要があるなら、ExcelよりもCRMシステムの方が効率的に管理、参照できるでしょう。

1案件に対する応対回数

1回の問合せに対して、複数回やり取りが発生したり、異なるチャネルでの対応が発生する場合などはCRMシステムの方が管理しやすいでしょう。

CRMシステムの場合(もちろんシステムにも因りますが)、1つの案件に対してN個の対応履歴が別々に管理出来るため、後々「誰からの/何に関する問合せに対し/どのようなチャネルで/何回やりとりの往復があったのか」といった集計が簡単にでき、業務効率化に向けた分析もやりやすくなるでしょう。

過去の対応履歴の確認、検索要否/情報の検索

対応に際して過去の問合せ履歴、類似の問合せ履歴検索などが必要な場合、CRMシステムの方が検索しやすく、業務を効率的に実施できるでしょう。

例えば「2015年中に、東京在住者で○○製品について問合せした履歴」を検索したい場合、問合せ履歴を「対応期間」「顧客の住所」「製品名」という複数の条件を指定する必要があり、Excelなどの表管理ツールだとこうした条件指定に時間が掛かります。CRMシステムには高度な検索機能が付いていることが多く、こうした複数条件指定を簡単に実施できます。

回答内容の重複

同じ内容の回答を複数のオペレータが実施する場合、より効率的な回答ができるよう、センター内ナレッジとして蓄積、共有することが望ましいです。表管理ツールだとそういったナレッジ、FAQを別シート、ファイルで管理したり、対応内容を都度読みながら確認する必要がありますが、FAQ機能付きのCRMシステムであれば、顧客対応しながらすぐにナレッジを検索、回答に活かすことが出来ます。

システムによってはFAQの利用履歴や点数、コメントでの評価をする機能を有するものもあり、良く使われているFAQは企業のウェブFAQに反映したり、評価の低いFAQを見直したりなど、定期的な問合せ対応の効率化、質向上に資する情報として活用することも出来ます。

情報更新者数/情報更新タイミング

同じ情報を複数人で、不定期に更新する可能性がある場合は、Excelなどの表管理ツールは適しません。共有ブックにしていたとしても情報の競合が発生してしまい、どちらかの情報を上書いてしまうリスクがあります。

CRMシステムであれば複数人で更新する場合もデータのレコードを分けたり、排他制御(編集中の顧客データがある場合、他の人が更新できないようにする など)を実施するように設計することも可能です。

統計・分析

シンプルな統計情報の抽出であれば、Excelなどの表計算ツールでももちろん実施可能ですし、グラフなどビジュアルな表現も加工する時間を費やせば可能です。

例えばX軸とY軸を適宜入れ替えたり、3軸、4軸など複数の項目で分析したりする場合は、そういった機能を持ったCRMシステムの方が効率的な集計、表示が出来るでしょう。

ただ、統計機能などはCRMシステムによってもまちまちなため、Excelなどの表管理ツール以上のことが出来るもの、出来ないものなど複数存在するため、一概に統計・分析は表管理ツールよりもCRMシステムの方が優れているとは言い切れません。

より高度な分析をすることが目的の場合は、BI(ビジネスインテリジェンス)やBA(ビジネスアナリティクス)といった、分析専門のツールを活用することをお薦めしますが、そういった分析ツールが「扱いやすい形でデータを管理する」という意味では、CRMシステムのようにデータを構造化して管理出来るツールとの相性が良い場合が多いでしょう。

情報へのアクセス

情報をどこで閲覧するのかによって、CRMシステムが望ましいこともあります。

例えば機械の故障受付を実施するコールセンターで、現地に修理へ向かうフィールドエンジニアが問合せ記録を閲覧する、または修理履歴を登録するといった作業が発生する場合、社外から情報にアクセスできる必要があります。また、SOHOなど在宅でのコール対応業務を実施する場合なども同様です。これらの場合でも表管理ツールを使うことも出来ますが、非効率になる上、セキュリティ上の懸念も発生します。クラウドで提供されているCRMシステムの多くは、システムを提供する企業がセキュリティに多額の投資を実施しているものも多く、そうしたシステムを利用すれば、効率的、かつ安全に情報にアクセスすることが出来るようになります。


上記はCRMシステムの導入を検討する上での一部に過ぎません。

実際に検討する際には、自社の今後のビジネス展開を考慮した上で、そのビジネスに必要な顧客管理に求める機能的要件、非機能的要件(セキュリティやアクセスのしやすさ、操作へのレスポンスの速さなど)を検討していく必要があります。

CRMシステムは表管理ツールに比べて導入や運用にコストが掛かりますが、業務効率化や売上への貢献など、その投資に見合う効果を得られる可能性もあります。

これからコールセンターの新規立ち上げ、拡大などをご検討の方は、上記表を参考に、CRMシステムの導入についても検討してみてはいかがでしょうか。

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