カスタマーサポートの「セルフサービス化」を促進する、FAQの"鮮度"の保ちかた

worry.jpgユーザーは企業のお客様窓口に問い合わせることなく、自らインターネット上で問題を検索して自己解決をする、「カスタマーケアのセルフサービス化」(過去記事「カスタマーサービスの「セルフサービス化」、「ノンボイス化」が企業にもたらす影響」を参照)が進んでいます。

そんなユーザーの自己解決を促す重要な要素として企業の「FAQサイト」が存在するのですが、更新が滞ったり、回答が探しにくかったり、コールセンターとウェブFAQで回答が異なっていたりなどの問題が起きると、お客様の満足度や信頼は一気に悪くなってしまいます。

こうした問題を回避する1つの対策として、今回は「FAQの"鮮度"を保つ方法」について考えます。

FAQの鮮度を保つ4つのポイント

1. お客様の声を集め、反映させる

FAQが「役立ったのか/役に立たなかったのか」というお客様の声を集めることは重要です。

こちらのパナソニックの事例でも述べられていますが、質の悪いFAQは役立ち度、お客様の満足度の低下に繋がります。役に立たなかったというお客様からのフィードバックを活かし、原因を分析し、改善策を講じましょう。(FAQが古い情報のままだった、なんてことはざらにあります。皆さんのサイトも改めて確認してみてはいかがでしょうか?)

例えば、プリンタにおける「インク」と「カートリッジ」のように、お客様と企業で部品の呼び方が異なる場合、FAQも分かりづらいと思われてしまう可能性があります。

お客様がどういった言葉で検索エンジン※やサイト内検索を利用しているのかを把握し、対象FAQにキーワードを追加するなど、分かりやすさの改善を計りましょう。

※GoogleはSSH対応により検索キーワードの確認が複雑になっています。対策はこちら


こうしたキーワードはコールセンターから出てくることも多いので、問合せ情報を蓄積し、後から検索、参照できる仕組みも必要です。

また、コールセンターからは新しいFAQ候補が生まれることもあります。簡単なことなのによく問い合わせが来る内容などは、問合せ削減(セルフサービス化出来る)候補となり得ます。センター内FAQ(オペレータの回答効率化)としてだけでなく、外向けのFAQ候補としてどうか、という視点でも見ることが、企業の利益にも繋がります。

そのような視点から、弊社CRM製品のinspirX 5(インスピーリ ファイブ)は「コール削減」機能を設け、問合せ削減対象となり得る問合せをマークし、後から簡単にチェック出来るようになっています。

2. FAQの形式を変える

製品やサービスによっては、テキストや図などの静的なコンテンツだけでは分かりづらいものもあり、FAQが問合せ削減に貢献しづらいケースもあります。

そうした際に効果を発揮するのが動画による「How To コンテンツ」です。

機械のセットアップ方法などを動的、視覚的なコンテンツの方が分かりやすい質問には動画が適しています。

機械製品では三菱電機キヤノンのプリンターなど、様々な企業がFAQに動画を取り入れています。(PCやスマホからアクセスできる製品やサービスであれば、FAQへのリンクを機能に盛り込むことでFAQ利用率UPも狙えるかもしれません。)

既存コンテンツの形を変えることで、より使いやすいFAQに変身させることも検討してみましょう。

3. ユーザーの力を借りて「オフィシャル知恵袋」の作成

Yahoo!知恵袋やOK Waveのような消費者参加型のQ&Aコミュニティも、FAQの鮮度を保つ手段の1つです。このようなユーザーコミュニティを企業がオフィシャルな形で運営し、自社のファン(ヘビーユーザー)を取り込むことが出来れば、ユーザー間での解決促進し、且つQ&A情報をコンテンツとして蓄積することも出来るため、サイト運営コストの削減も出来るかもしれません。(回答が正しいかどうか、定期的にチェックする必要はありますが。)

こうしたオフィシャル知恵袋の取組みは、シャープ富士通などが、特定の製品などで導入、活用しています。

4. セルフサービス化に固執し過ぎることなかれ!

"鮮度"とは少し違う視点ですが、問合せの要件次第ではコールセンターに繋ぐことが最適なケースも存在します。

例えばクレジットカードの紛失のように緊急性のある問合せは、お客様にとってセンシティブな問題であり、これをウェブで完結させることに固執すると、不安やイライラといった逆の効果を生む可能性が高まります。

問合せの種別によってはすぐにコールセンターに誘導出来る(FAQサイト上に「電話する」ボタンを設置し、クリック後すぐにコールセンターに繋がるようにしたり)導線作りをすることが、お客様の信頼の"鮮度"を保つ、重要なポイントにもなり得ます。

FAQに「一度作って終わり」はあり得ない

企業が公式で出すFAQはお客様を正しい方向に導く道標です。情報量が増え、インターネットやスマホの普及によるセルフサービス化が進む昨今だからこそ、FAQコンテンツの陳腐化がもたらす企業への信頼度低下は侮れないものだと感じます。

お客様の動向やニーズに合わせて定期的にFAQをメンテナンスしていく仕組みを作り、定常的に運用していくことが、いま企業に求められています。

尚、弊社では業務・システム双方を網羅したコールセンター運営全般に関するコンサルティングサービスも行っています。ご興味のある方は下記ボタンよりお問い合わせください。

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