カスタマーサービスの「セルフサービス化」で気を付けるべきこと

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以前の記事で消費者が「セルフサービス」(コールセンターなどを介さず自己解決すること)を好む傾向にあるとお伝えしましたが、この流れは今後も更に拡大していくと予想されます。

「うちもFAQサイトがあるから準備は万全!やったねコスト削減!」、、と思いたい所ですが、この潮流は一概に良いことばかりではありません。企業がセルフサービス化に対応する上で気を付けなくてはならないことは何でしょうか?

消費者調査から見る「セルフサービス化」のマイナス面

自己解決できなかった場合の顧客満足度は最低!?

Nuanceが2013年に実施した調査では、消費者から以下のような意見が出ています。

・58%の消費者がウェブを経由しても問題を解決できていない

・ウェブで解決策を見つけることが出来た消費者の約63%は、解決までに10分以上を費やしている

・ウェブで解決策を見つけられなかった消費者の約71%がウェブの検索を諦めるまでに30分以上検索に費やしている

・企業のウェブFAQで問題を解決できなかった人の約50%がコールセンターやウェブチャットなどでオペレータに連絡する

・59%の消費者は問題解決のためにオペレータに連絡しなくてはいけないことを煩わしいと思っている



昨今「セルフサービス化」が主流になっているのは事実ですが、企業のFAQがそうした消費者の行動パターンに合った形になっていない(検索しても見つかりづらい、サイトの構造が分かりづらい、「もしかしたら○○かも」といった提案がない など)ケースも多いのではないでしょうか?

今コールセンターに電話が掛かってくる人の中には既にウェブFAQを探った上で連絡してくる人も多いでしょう。上記の調査結果に基づけば、そうした人たちが電話を掛けている際は「最悪!」、「イライラ・・・」という最悪のムードが既に醸成されている状態かもしれません。。

自社FAQが利用されていないケースも?

すでに少し触れましたが、既に検索を実施した消費者の中には「自社のFAQサイトに到達していない」人もいるかもしれません。

例えば、「"会社名" 携帯 水没」などで検索した場合、多くの場合は各社のヘルプサイトに誘導されると思いますが、教えて!GooやYahoo!知恵袋など、QAサービスに先にアクセスしてしまうようなケースも想定されます。

こうしたサイトには古い情報や企業サイトと異なる回答が掲載されていることも多々あり、こうした情報を元にコールセンターや店舗にアクセスした際、企業と消費者の認識の食い違いが不満感の醸成に繋がってしまう可能性もあります。

自社FAQサイトの利用状況をサイト解析ツールでモニタリングしたり、外部QAサイトの情報を定期的にチェックしたりと対策を講じる必要があるでしょう。

FAQコンテンツの陳腐化/情報一貫性の欠如

例え自社のFAQが利用されていたとしても、その内容が古い情報から更新されていなかったり、ウェブの内容とコールセンターの回答の応対内容に一貫性がなかったりすると、同じく満足度低下の要因になり得ます。

前述の調査結果からも分かるように、FAQを見た上でコールセンターに連絡してくる人も多い為、応対内容の一貫性がなかったりすると、不安、不満に思う人もいるでしょう。

中にはFAQで解決したことをコールセンターを通じて再確認(答え合わせのような感覚)する人もいるでしょうから、そうした人も同様に、不安、不満を感じてしまうことになるかもしれません。

企業が持つチャネル間での情報の共有、一貫性の担保を意識する必要があるでしょう。

セルフサービス化の流れがある今こそ、情報チャネル設計の見直しを

「セルフサービス化」の流れはコールセンターのコスト削減や応対の効率化への活用など、多くの良い可能性がある一方で、消費者の行動に合わせた導線の最適化やコンテンツの鮮度維持など、新たな課題を生む面も持っています。

これらはITベンダーやビジネス誌などが意図的に作ったトレンドではなく、消費者自らが生んだトレンドであるが故に、対応は必至かと思います。

自社を取り巻く情報チャネルの把握、セルフサービス化に合わせた最適なチャネル設計に取組むことが必要でしょう。

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